え…っとですね
今日は僕にとっての「衝撃的王座戴冠劇」である…
WBO世界バンタム級タイトルマッチ
チャンピオン ジェイソン・マロニー
×
挑戦者 武居由樹
について少しばかり語るかなぁ
まず
僕の戦前予想は「武居選手の終盤KO負け」でありまして、これは大ハズレでありました
いやね
もちろん、勝って欲しい気持ちはかなり強かったさ
けどさ「希望」「願望」はキッチリと脇に置いて、自分なりの「見立て」「分析」「脳内対決」を経ての戦前予想だったわけよ
両者の戦績を見る
マロニー 27W19KO3L
武居 8W8KO無敗
武居選手はこのプロボクシングにおけるパーフェクトレコードにプラスアルファされるキックボクサー時代の戦績がある
23W16KO2L
だだし、キックボクシングは最大3Rであり、また、完全に似て非なる競技であることは言うまでもない
まず
このボクシングキャリアの「圧倒的差」と、これまでの対戦相手の「質」の違いが僕の戦前予想の根拠のひとつ
そして、その左強打を武器にする武居選手でありますが、スーパーバンタム級で東洋太平洋タイトルを奪いこそすれ、世界タイトルマッチの12ラウンドという長丁場は未経験であり、さらに、純正ボクサーのテクニシャンタイプ、それも、キャリア充分の現役世界チャンピオンが相手となると、あまりに「未知数要素」が多すぎて、さすがにこれを覆すのは難しいに違いない…と考えたわけであります
また、純正バンタムウェイトでの試合は「初」という背景もまた気になる部分であったし、「打たれ強さ」と「耐久性」への疑問も拭えなかった
となると
武居選手が王座奪取を果たすなら、その独特なる間合いと中間距離からの変則的左強打がカウンターとなって炸裂するしか考えられない…と僕の思考は至ったわけ
何度も考えても、幾度 妄想対決 をさせても、ベテラン世界チャンピオンのマロニーにやがては「拿捕(だほ)」され、致命打撃をどこかで被弾してしまう…というイメージに辿り着いてしまう
「正統派の技巧」と「キャリアの王道」を併せ持つ世界チャンピオンに、「僥倖なるKOパンチ炸裂」以外に、武居選手が勝つ可能性を僕には予見出来なかった
イメージ出来なかった
で、「希望」「願望」は胸にしまって、「終盤KO負け」の戦前予想を立てたのだ
しかし
蓋を開けて仰天よ
驚天動地よ
サウスポー武居選手の距離感と左強打に腰が引けた(⁈)マロニーはジャブさえまともに繰り出せない超消極戦法でしか対応できない
こんなことがあるのか⁈
僕の拙い分析を披露するのは恥ずかしいが…
マロニーが「サウスポーが超苦手」という可能性と、「タケイのパンチはヤバイ」とビビった可能性と、武居選手がマロニーを「技術・戦術」で凌駕した…の3つの可能性しかないわけだ
果たして、武居選手がここまで自由に動き、距離を支配し、「自分だけ」がパンチを当て続けて中盤まで圧倒する…と予想できた方がどれくらいいただろうか⁇
武居選手は随所に長いボディ打ちをカウンターし、マロニーの数少ないパンチにナチュラルなるカウンターを被せまくる
マロニーが「格下」に見えてくる…と言う「異様」なる見え方は衝撃的だった
武居選手に「難」があるとすれば、接近戦と消耗戦…であるとマロニー陣営も看破していたはず
が、マロニーは距離を潰せず、乱戦に持ち込めない…というふうに僕には見えたか
そして
ほぼ 武居選手が「完全に圧倒している」と言っていい内容でタイトルマッチは折り返しを迎える
言い方は悪いかも知れないが、武居選手はメチャクチャ早いわけでも、メチャクチャ鋭いわけでもない
全勝全KOの豪強打は誰もが認めるところであるが、当たらなければ宝の持ち腐れだ
変則強打の中間距離型に分類されるとは思うけど、ハメドやアルベルト・ロペスほどの型破りでもない
しかし、戦況は「チャンピオンいいところなし」という驚きの展開よ
で、僕の脳髄はショートしてしまう
武居由樹には言い得て妙なる、言葉にならない『唯一無二なる武器』が潜んでいるのだ…と僕の考えはついに至る
「武居由樹にしかない超独特」
が、歴戦の雄、百戦錬磨のマロニーを封じているのだ
しかし、これはやっぱり「異様」だ
が、中盤以降、チャンピオン マロニーも意地を見せる
が、主導権を奪うには至らず
そして、試合は武居選手優位でラストラウンドを迎える
武居選手、守勢に重心を置くことなく、これまで通りの戦いを始めた
と、ここに来て、「超異変」が発生する
いきなり、唐突に「効いて」しまう
いきなり、完全に「ガス欠」してしまう
軽快だった足が止まり、キレていたパンチは虫も殺せないほどに鈍る
「何事か⁈」
原因、理由がわからない
あまりに突然なる「逆転KO負け」寸前の状況だ
が、採点は「立ってさえいれば王座奪取」だと考えられる状況
「耐えろ‼︎」
が、しかし、チャンピオン マロニーもまた、極限的なる疲労困憊に陥り、ダメージはかなり蓄積していた
ついに
「あと一撃」
は、際どくも生まれなかった
「逃げ切った」
が、言い訳に聞こえるかもしれないけど
この最終12ラウンドの絶体絶命が、あと1ラウンド早く訪れていたら、武居選手はかなり厳しかった…と
で、この武居選手の絶対絶命のイメージは、僕が再三イメージして逃れられなかった「戦前予想」の結末に近いものでもあった
もちろん
武居由樹選手の王座奪取は最高に嬉しい
僕の戦前予想をよくぞ覆してくれたという感謝の気持ちと、酷い予想をしてしまい申し訳ないという気持ちが、同時に、一緒になって溢れてきましたわ
しかし
「違和感」は残った…
素直に大喜びできない…のはなぜか⁇
それは、武居選手が完全露呈してしまった最終ラウンドにおける「課題」と「弱点」だ
新チャンピオンとなった武居選手は、今後はそれらを「完全克服」するためのトレーニングと対策を陣営とともに練ることになるはず
で、僕は激しくこう思うのだ
「なんとか、なにとぞ、絶対に初防衛を果たしてくれよ」
と
そして、その…
武居由樹にしか持ち得ない、「得体の知れない強さ」をもっともっと魅せてくれよ
…と痛切に感じるのだ
まさに、僕にとって武居由樹とは…
「ミステリー」であり、「未体験ゾーン」
なのである
頼むぞ、これを解明させずに萎んでくれるなよ、と祈るような気持ちでもある
「足立区から来た、世界チャンピオンの武居由樹です」
と、初防衛達成後に「聞かせて欲しい」のである
最後に、このエピソードも「超」王座戴冠劇とは、やはり、無縁ではなさそうではある
御愛読感謝