金太郎がやってきた! | 夜汽車の汽笛への憧情

金太郎がやってきた!



「金太郎」ことJR貨物の機関車EH500形が入線してきました。
今回購入したのは、比較的最近発売された、Tomixの2次形新塗装です。

EH500は比較的新しい形式でありながらも実車で色々バリエーションが存在しますが、中でも2次形のスタイルがお気に入りで、実は前々から欲しかったのです。しかし、既に製品化されているのは製品が古く、手すり類がモールドになっている上に、中古でしか入手できないので購入を見送っていました。

ようやく新仕様で発売されたと思ったら、タイミング悪く一身上の都合でド金欠になっていたのでまたもや見送っていました。
段々在庫が消えつつあったので半ばヤキモキしていたのですが、運良く収入回復の見込みが立ったので、半ば回復祝いを兼ねて購入です。

さて、「新塗装」とありますが、これは近年実車の方でJRFロゴが消滅しているのを反映したものです。
開封の儀
Tomix機らしく、パーツが盛りだくさんです。
最近のKATO製品がパーツ類取付済みなのに慣れると、若干煩わしく感じますね。

入線整備していきます。
諸々パーツを取り付けました。
ナンバーは2019年3月現在でJRFマークの消えた5、7、8が付属していますが、8号機を選択しました。8号機に特に思い入れがあるわけでなく、何となく好きな数字というだけですw
もっとも、5号機は屋根上の機器配置が違うらしいですね。
メーカーはEH500の場合、全車が東芝なので、最初から「東芝」のプレートが付いています。JR貨物は形式毎にメーカーを統一してるようですね。

屋根上は・・
こんな感じです。
断流器や列車無線アンテナ、発煙筒、ホイッスル等を取付ます。
反作用ピンセットのおかげでわりと楽に取付できました。やや賑やかな屋根上ですが、交直両用機の大先輩であるEF80からすると、かなりシンプルになってますね。

カプラーは我が家のコキ軍団がTNカプラー非対応なので、KATOナックルと互換性のあるGMナックルを使ってみました。
基本的にTNカプラーの台座からTNカプラーを外し、GMナックルを突っ込むだけです。
長さは中のものを使ってます。
見た目「密着自連」というよりは「自連」になってしまいましたが、カプラー周りが引き締まって良い感じになりました。

仕上げに区名札を取り付けました。
該当機は仙台所属なので「仙貨」です。


これにて入線整備完了です!
いやぁ、カッコイイです!

ヘッドライトはTomix機らしくオレンジです。電球色にやや近いとは言え、余力が出来たら電球色のものに交換したいところですね。

最後に、毎度恒例の実車に関する蘊蓄です。

EH500形は平成9年に登場した、交直両用の電気機関車です。
見ての通り動輪が8軸もある大型ボディーが特徴で、一見2両連結に見えますがこれで1両として扱います。

ちなみにこのような2車体で一両というスタイルのH級の機関車は初めてではなく、国鉄時代にEH10形という貨物用機関車が存在しました。EH500形はそれ以来のH級機関車と言うことになります。
試作機を含めて82両が製造され、東日本~東北の貨物牽引の主役となっています。

出力はメインターゲットが勾配の多い東北本線や青函トンネルとなっているため、交流区間では4000kwとなっており、これはかつて同区間で使用していたED75形の重連に匹敵します。

さらに、勾配区間などで設備の整った場所ではは30分定格を適用し、4520kwを誇ります。
なお、直流区間では変電所や機器の容量などの都合上、EF210形とほぼ同じ3400kw程度に抑えられています。
交流区間の周波数は50Hz、60Hzの両方に対応しており、当初は東北地区でデビューした同型式ですが、現在は関門トンネルを挟んだ北九州~山陽地区でもその姿を見ることができます。
以上から、ED75とEF81の両方の性格を併せ持った機関車と言えるでしょうか。
制御方式はIGBT素子を使用したVVVFインバータ制御で、駆動方式は昔ながらの堅牢なツリカケ式です。このため、発車時にはインバータサウンドとツリカケモーターの唸りを同時に聴くことができます。
登場時期が新世代の機関車としては比較的早めと言うこともあり、今時の機関車でありながらパンタグラフは下枠交差式のPS22です。
多目的な強力機とあって、公募により「ECO POWER 金太郎」の愛称が付けられており、金太郎をイメージしたロゴマークとイラストが車体に描かれています。

寒冷地で運用することが前提となっているためか、北海道の国鉄形同様、側面の縦雨樋が車体外側に露出しているのも特徴です。
さて、上でも少し書いたとおり、EH500形は製造時期により形態が変化しており、大きく分けて、試作機(901号機)、1次形(量産先行車。1,2号機)、2次形(3~9号機)、3次形(10号機以降)4つに分類されます。
さらに細かな変化もありますが、ここでは省略いたします。
この中で1次形と2次形は色やベッドライトが3次形と大きく異なっているのが特徴です。
今回入線した2次形は、赤紫色の塗装に黒く塗られた運転台周りが特徴で、いわゆる量産仕様の3次形に比べて精悍なイメージとなっています。

さて、EH500形は当時老朽化していた国鉄形の交流区間用機関車、ED75形やED79形を置き換えるべく登場したため仙台に配置され、主に黒磯~青森で活躍を始めました。
じきに青函トンネルで活躍していたED79形の老朽化も目立ってきたため函館まで足を延ばすようになり、活躍範囲は広がります。
少数ながら交・直両用であることを生かして黒磯以南にも足をのばしており、東日本の広範囲で活躍をしましたが、初期不良と走行距離が長い事もあいまって一時的に故障が続出して離脱する車両が多くでて、対策を行うまで棺桶に片足を突っ込んでいたED75が復活した事もありました。
その後性能も安定したことから広範囲な運用に戻りますが、走行過多にならないよう、原則として黒磯で直流用機関車にスイッチする運用となりました。

2007年には関門トンネルで活躍していたEF81の老朽化が進んだことから、門司にもEH500が配置され、3電源方式対応の面目躍如といった活躍をすることになります。
さて、東北地区の貨物の雄となりつつあったEH500ですが、2011年に大きな転換期を迎えます。
3月に襲った東日本大震災で試作機が被災したほか、道路網が一部不通となったこと等から、迂回燃料輸送列車に投入されています。
また、常磐線等で行われていたJR東日本からの機関車借入を解消したため、常磐線南部でEH500の姿を見ることができるようになりました。
2016年には更に大きな転換期を迎えます。
北海道新幹線開業に伴って青函トンネルの架線電圧が20kvから25kvに変更されたため、青函トンネルの運用を後輩のEH800形に譲って北海道から姿を消すことになりました。
これにより走行距離に余裕ができてきた事から原則として黒磯での機関車交換はおこなわず、以南に足を延ばす姿が多く見られるようになりました。2018年には黒磯駅の電化切り替え方式が従来の地上式(ホーム上の架線に流れる電気を交流・直流で切り替える。このためホーム上まで直流専用、交流専用の車両が乗り入れできた。)から車上式(デットセクションを設け、車両側で交流・直流を切り替える。このため、異なる電化区間に乗り入れる場合は交直両用車が必要になる。)になったため、システム面でも今後はこの運用形態になると思います。
(機関車を交換する場合も黒磯駅ではなく、宇都宮貨物ターミナルで交換すると思われます。)
これにより、いわゆる「宇都宮線」区間や武蔵野線などで頻繁にEH500の姿を見ることができるようになっていて、西側では相模貨物駅まで運用範囲を広げています。また、これまで乗り入れていなかった奥羽本線にも勢力を拡大し、秋田まで入るようになりました。

一方、関門トンネルで活躍するEH500は、配属後暫く幡生~北九州貨物ターミナル間で活躍を続けてきましたが、設備増強に伴い2011年から福岡貨物ターミナルまで足を延ばすようになりました。なお、このEH500の福岡運用開始に伴い、1300t列車が東京~福岡間で直通運転できるようになっています。

現在のところ2013年を最後に増備されておらず、EH500で置き換え対象となる機関車も存在しないことから、当面はこのままの状態が続くと思われます。
今一番「脂がのっている」と思われる「金太郎」ですが、今後も末永く活躍することでしょう。

それにしても、やはりEH500は迫力ありますね!
おなじくH級の機関車のEH200もほしくなってきましたw