E257系入線! | 夜汽車の汽笛への憧情

E257系入線!

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

割と広範囲のジャンルに渡っている当運転所の在籍車両ですが、JR世代の特急車はサンライズエクスプレスことJR西日本の285系のみでした。
昼行特急用はゼロだったのです。

ところで、今年の3月に中央本線の特急「あずさ」「かいじ」で活躍していたE257系が定期運用から撤退しました。臨時では活躍するものの、大部分は大改造を受けた上で東海道線の「踊り子」に転用されることになっています。
そんな折、KATOから久々にE257系が再生産され・・・・

ついに我が家に入線してきましたw


実はこの電車、登場したころから好きで、機会があればコレクションに加えたかったのですが、どうにも発売時期と当方事情に合わずに買いそびれていたのです。
ようやく資金繰りと発売タイミングが合致し、めでたく入線となりました。
最近このパターンが多い(小田急1000形、E233系0番台、EH500形、コキ107形)のですが、この電車も当初計画から10年越しの入線です。
実車が「あずさ」「かいじ」から撤退してからというのは何とも皮肉なものですがw

開封の儀です。
KATOのE257系11両。なかなか壮観です。
武田菱をモチーフにした塗装はアグレッシブなもので、E257系基本番台の大きな特徴となっています。模型でも綺麗に表現されていますね。

製品ままの状態。
ベースは比較的古い製品であるため、アンテナ類がユーザー取り付けになっています。

側面の行き先表示はステッカーになっています。最近のKATO製品は印刷済みになっていることが多いので、これもちょっと前の設計らしいところです。動力もフライホイールなしですが、重さもあり安定した走行性能です。

これらを取り付けて行きます。

避雷器や列車無線アンテナを取り付けます。

モハE256には公衆電話アンテナも存在します。
この辺り時代を感じますねw

行き先ステッカーも貼りました。
青梅ライナーなんかもあって惹かれたのですが、正統に「あずさ」の新宿行きをチョイスしました。
2000年代初頭の電車らしく、実車が3色LEDの表示なのでかなり地味にみえますねw


前面は交換可能なので、遊びで「かいじ」を付けてみました。通常は「あずさ」にしています。
LED式のヘッドマークというのもまた時代を感じますねぇ。
最近の特急車はヘッドマークが無いので、今となってはチャームポイントの一つです。と言うところで、サラッと入線整備は終わりました。

ここでE257系を色々見ていきましょう。
クモハE257です。凄い顔ですw
回送用の運転台ながら形式として「ク」が付くほどしっかりしたものが備え付けられているようです。それにしても、やはりどうみても先頭車には見えないですねw

2種類の顔です。
相当個性的な顔で、正直好みはかなり分かれるのではないでしょうか。
個人的には貫通顔の方が好きですが、どちらも「カッコいい」というよりは、愛嬌のある顔だと思いますw

E257系の最大の特徴と言えば、武田菱をモチーフにしたデザインでしょう。カラフルで車両毎にパターンを変えており、なかなか遊び心のある楽しい電車だと思います。模型でも綺麗に表現されていますね!
定期特急用としてここまでお洒落な電車も無いんじゃないでしょうか。

さて、ここで恒例の実車解説ですw
JR東日本E257系は平成13年に登場した特急形電車です。

基本番台は老朽化していた中央東線の特急「あずさ」「かいじ」の183・189系を置き換えるべく製造され、勾配や寒さに強い仕様になっています。

編成は半室グリーン車を含む9両編成を基本としつつ、2両を増結するスタイルとなっており、このため先頭車は非貫通のものと貫通構造のモノが存在します。また、特徴的なのは付属の2両の方は入れ換え用の運転台を持った車両が存在することで、一見簡易運転台に見せかけてちゃんとした運転設備をもっており、形式も電動制御車をしめすクモハとなっています。

走行機器は、当時常磐線で活躍していたE653系をベースとしつつ、同時期に製造されていたE231系で採用されたTIMSを搭載してメンテナンスや運行の省力化を図っています。
主電動機は145kwで、基本の9両編成は5M4T、付属の2両を増結した場合には6M5Tと、十分なパワーを持っています。
エアコンユニットを床下に配置することで、重心を低くして高速走行時の安定性を高めており、屋根上は通風器や冷房機がないためまっ平らになっているのも特徴的です。
山岳地区で走行するため発電ブレーキを搭載しており、ブレーキチョッパとブレーキ抵抗が床下に付いています。
車体は近年のJR東日本の特急車では標準になりつつあるアルミ合金製で、軽量化が図られています。
首都圏で使用する事から、全車に900mm幅のドアが片側1~2配置され、スムーズな乗降とバリアフリーに対応しています。
最高速度は130km/hです。もっとも、中央東線は高尾以西はカーブや勾配が多く、高尾~東京間は通勤電車が多すぎて最高速度も100km/hに抑えられており、130km/h出せる箇所はあまり多くありませんでした。
なお、同区間にはカーブに強い振り子機構付のE351系も存在しており、速達列車の「スーパーあずさ」はE351系のステージで、E257系の「あずさ」や「かいじ」は昔の急行「アルプス」に近い役割と言えそうです。


平成16年には、老朽化していた房総地区の特急用の183・189系を置き換えるべく、500番台車が登場しています。
こちらはグリーン車のないモノクラスの5両編成で、両方の先頭車が貫通構造になりました。
基本番台車とは若干前面の意匠が異なっているほか、塗装も房総地区の海と砂浜・菜の花をイメージしたカラーで、見た目も大きく異なっています。
平坦線の房総地区で使用する事を前提にしていますが、東京駅付近の地下区間を走行するほか、団体用等で貸し出す事を前提にしているため、基本番台車同様発電ブレーキを搭載したり、耐寒構造をとったりしています。

高い汎用性と安定した性能から総勢246両が製造され、JR世代の特急車としては西日本の683系に次ぐ2番目の多数勢力になりました。(現在は683系の一部が交流機器を撤去して289系に改造されたため、最多勢力となっています。)

ここで基本番台車の歴史を振り返ってみましょう。
平成13年に「あずさ」「かいじ」用としてデビュー。
最近のJR東日本車らしい増殖力を発揮してあっという間に勢力を拡大し、平成14年12月に臨時列車を除いて183・189系を全て置き換えました。
その後、中央線系統のライナーである中央ライナーや青梅ライナーのほか、長野地区では快速にも投入されました。また、ダイヤ乱れや故障などによるE351系の代走で「スーパーあずさ」にも入ったほか、シーズンには夜行急行の「アルプス」にも使用され、E351系と共に中央東線のトップスターとして君臨したと言えるでしょう。
さらに、平成14~20年には湘南ライナー(おはようライナー等も含む)にも使用され、東海道本線でも見ることができたほか、団体臨時列車などで様々な路線にも乗り入れた実績があります。

中央東線とエースとして活躍したE257系ですが、思わぬ形で転機が訪れます。
東海道本線で使用している「踊り子」用の国鉄型185系がさすがに老朽化してきたため、置き換え計画が持ち上がりました。ほぼ時を同じくして、中央東線の同僚でフラグシップ的存在のE351系が、複雑な機構による老朽化が目立ってきたため、平成27年に中央東線に新型のE353系が登場します。
このE353系を中央東線に投入することにより、E351系を置き換えると同時に、E257系も置き換えて捻出することで老朽化した185系を置き換える事になったのです。
E353系は各種データを取るため2年程は試運転を繰り返していましたが、平成29年からついに量産車が登場し「スーパーあずさ」から投入が始まりました。E353系は僅か60両のE351系をあっという間に置き換え、さらにE257系の牙城だった「あずさ」「かいじ」にも進出します。
そして、E257系同様凄まじい増殖力をみせ、平成31年3月改正でついにE257系基本番台は臨時列車を除いて「あずさ」「かいじ」から撤退してしまいました。
さて、E257系基本番台車は、現在は定期運用を持っておらず、基本編成3本が東大宮常駐となって波動輸送用となっています。
波動輸送編成はゴールデンウイークには早速臨時列車ながら「あずさ」に返り咲いた他、房総方面で臨時さざなみ号にも充当されるなど、元気な姿をみせています。

他の基本編成は踊り子用への転用改造待ちで各所に疎開留置されているほか、4本が改造のため工場入りしています。
転用改造はグリーン車の全室化や機器更新も含めているため改造箇所が多く、かなりのスローテンポで、ようやく2本の改造が終わって2000番台を名乗るようになりました。
改造担当は長野工場と秋田工場で行われていましたが、令和元年5月に入って総合車輌製造横浜事業所も加わり、ペースアップが見込まれるものと思われます。
一方、付属編成は全て長野工場の廃車置き場とされる場所に留置され休車となっており、今後の見通しは不透明な状況です。
余談ですが、房総方面用の500番台車は房総特急やライナーの整理により余剰となっており、3本が豊田常駐となっています。この豊田常駐車、臨時「あずさ」や「富士回遊」号に使用され、基本番台車の如く中央東線で活躍しているのが興味深いところです。
500番台も一部は踊り子用となるという未確認情報もあり、E257系は系列全体で大きな転機を迎えていると言えそうです。

とりあえず今回はここまで。

次回も引き続きE257系について語ってみようと思います。