寒すぎるので、バスで出勤することにした。
ICカードの残高もゼロになっていて、
バス代を賄うだけの小銭の持ち合わせもなかったので、
ママに小銭ちょうだいとお願いした。
すると丁度ママも小銭が切れていた。
その様子を見ていた息子が僕の小銭貸してあげようか?
と貯金箱を持ってきたが、息子の金など借りんわ!と父親プライドで一蹴。
一万円札はバス内で両替できないが、千円札なら可能だ。
一枚だけだったが、千円札が財布に入っていたし、
バス内で両替しようと決心し、家を出た。
乗車。
降車の際に両替する奴を辟易するパパとしては、
信号待ちによるバス停車中の良い感じのタイミングを見計らい、
両替を決行。
しかし、入れた千円札がういーんと出戻ってくる。
曲がってるのかと思い、のばしのばしまた入れる。
ういーん。
まだ戻る。
はぁ?
信号が青になり発車したので、次のタイミングでリトライ。
ういーん。すげぇ戻ってくる。
既に恥ずくて後ろを振り返る事はできない。
ういーんという機械音がバス内に響く。
見かねた運転手さんが入れてみるが無理。
両替機を再起動してみても無理。
やばい・・・もう少しで着いてしまう。
手持ちラストの千円。
小銭もバス代全額は持っていない。
一万円札はあるが、そもそも両替できないし、
さすがに一万円をICカードにぶち込むという豪快さは持ち合わせてはいない。
すいません、僕の千円とあなたの千円替えてくれませんか?
と他の乗客に懇願すればよいのだろうが、
こんなに両替機に拒否され続ける千円札を
見ず知らずの人間に替えてくれと頼むのは忍びない。
と言うよりあまりの恥ずさに振り返る勇気が無い。
もう着いてしまう。
やむを得ない。
もう一万円札をぶち込むしかない。
ICカードに一万円チャージする旨を告げたが、
既にお財布事情を説明済みの運転手さんに
手持ち小銭だけで、残りは今度で良いですから、と言われた。
一万円チャージという手法に対しての
奥の手感がにじみ出すぎてしまっていたのか、
それとも朝から機械に拒否され続ける哀れさを汲んでくれたのかは、
わからないのだが、さらに増した恥ずかしさと申し訳なさを抱きながら、
財布を逆さにし、手持ちの小銭を全て払って降車した。
息子に金借りときゃよかった・・・