●街のパン屋さんが生み出した本当にあった「幸せの循環」とは?

お金に好かれる専門家 山中シゲノブです。

人は誰かのためになら「素晴らしいエネルギー」を生み出せるものです。この記事でも書きましたが、「幸せの循環」のスタートは「誰かのため」から。

街のパン屋さんが生み出した「幸せの循環」のストーリーを読み本当に心が温かくなりました。

栃木県・那須塩原市にあるベーカリー「パン・アキモト」。


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戦後間もない1947年・昭和22年に「秋元パン店」として、今の場所にお店をオープン。昔から販売されている「甘納豆パン」が今も名物で、店舗だけ見ると、どこの街にもある普通のパン屋さんですが、実はこの「パン・アキモト」、ある商品を通じて世界に貢献しているのです。



それは・・・「パンの缶詰」



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災害が起こった際の非常食として開発されたもので、というと、乾パンのような硬いパンを想像するかもしれませんが、これがまったく逆。




賞味期限は3年間ですが、その間ならいつ缶を開けても、焼きたてのようにフワフワで柔らかいパンが食べられます。

しかも味は何種類もあるので毎日食べても飽きません。




そう語るのは二代目社長の、秋元義彦さん・63歳。



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秋元さんは、創業者のお父さんからお店を受け継ぎ、パンメーカーとして発展させましたが、この「缶詰パン」を開発したきっかけは、1995年の阪神・淡路大震災でした。


現地で食料が不足していると聞いた秋元さんは、少しでも役に立てればと、震災直後の神戸に、無償で2千食の食パンや菓子パンを送りましたが、その後知らせを聞いて愕然とします。




震災が起きて、すぐにパンを送ったんですが、あちこちリレーして送ったので、被災者に行き渡る前に、半分ぐらいが傷んで廃棄処分になった、というんです。

ショックでしたねぇ・・・。




日持ちがして、時間が経っても柔らかく風味が変わらない、おいしいパンはできないだろうか?




秋元さんは、被災者の意見も聞き、あれこれ考えた末に思い付いたのが「パンの缶詰」。さっそく開発に取りかかりましたが、実際に作ってみると、いろいろ難しい問題にぶつかりました。


パンを焼きあげてから缶に詰めれば雑菌が入り込む可能性があり、品質が損なわれてしまいます。何とか、焼きたて、フワフワのまま缶詰にできないだろうか・・・? そこでひらめいたのが、




そうだ、缶の中にパンの生地を入れて、加熱殺菌しながら焼いたらどうだろう!





殺菌はうまく行きましたが、今度は、新たな問題が起こります。パンが焼き上がったあと、缶のフタを閉める際、中である程度の湿度を保たないと、パンが「しっとり」しないのです。


しかし、水分が多すぎると、中でカビが発生して、パンがダメになってしまいます。保存性の高さと、しっとり感・・・相反するこの課題も、熱に強く、湿度の調節にも適した特殊な和紙を見付け、ベーキングシートの代わりに、缶の内側に敷くことで解決しました。


その他にも、様々な難題があり、途中、何度も挫折しそうになりましたが、励みになったのは、被災地・神戸からの声でした。




パンの缶詰、いつできるの? 楽しみにしてるから、あきらめないで頑張りなよ!





1996年秋、ついに、3年間風味と柔らかさが変わらない「パンの缶詰」が完成したのです。


さっそく、多くの企業や団体、学校、災害を経験した個人が非常食として購入してくれましたが、ある自治体から、賞味期限が過ぎた缶詰の処分を依頼されたとき、秋元さんの中に、どうしても割り切れない思いが残りました。




災害用の非常食は、本当は食べずに済む方がいいんです。だけどパン職人としては、せっかく作ったパンが食べてもらえず捨てられるのは、何ともしのびないんですよね…





そんなとき、2004年にスマトラ島沖地震が起こり、津波で沿岸諸国に大きな被害が発生しました。被災地のスリランカにいた知人から「売れ残ったパンの缶詰があったら、送ってくれないか?」と依頼を受けた秋元さんは、これをきっかけに、あるアイデアを思い付きます。


それは「救缶鳥(きゅうかんちょう)プロジェクト」



救缶鳥 缶詰と中身画像1


パンの缶詰を購入した人から、賞味期限が来る1年前に前倒しで回収。それを下取りし割引価格で新しい缶詰を買ってもらいます。



回収したパンの缶詰は、飢餓に悩む世界の国々に、NGO団体を通じて寄付。



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救缶鳥プロジェクトの缶には「メッセージ欄」があり、パンを受け取る側にメッセージを入れることもできます。


購入する側は、国際貢献ができ、新しいパンの缶詰を割引で買うことができます。寄付を受ける側はおいしいパンが食べられますし、パン・アキモトも新しく商品を買ってもらえるので、誰も損はありません。さらに、大災害が起こったときは、被災地にすぐパンの缶詰を送るシステムも作り上げました。



東日本大震災の際は、那須塩原のパン・アキモトも工場が被災しましたが、直後にパンの缶詰を1万5千食、被災地に送り、秋元さんは今でも、毎月社員と一緒に被災地応援に行っています。


先月の熊本地震では、2度目の大きな地震が起こった朝に、ワゴン車に積めるだけのパンの缶詰を積み、翌日にはまず1800食を届け、これまで、すでに2万食を送っています。



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救缶鳥プロジェクトは、 寄付やボランティアが盛んなアメリカでも好評で、今後は、海外のパン屋さんでも展開してもらえるように、支援していきたいと思っています。


■被災地へ送ったパンの半分以上が廃棄 街のパン屋さんが考えた名案が世界へ!


パンの缶詰を開発するだけでも素晴らしいのに僕はその先にある「誰かの喜ぶ顔」に感動しました。それは、、

パンの缶詰を購入した人から、賞味期限が来る1年前に前倒しで回収。それを下取りし割引価格で新しい缶詰を買ってもらいます。回収したパンの缶詰は、飢餓に悩む世界の国々に、NGO団体を通じて寄付。

です。

購入者の方には常に賞味期限のある商品を、、、そして、賞味期限が近い商品は処分せずに「絶対に喜んで食べてくれる人たち」に寄付。これなら「缶詰パン」を喜んでもらう人の手にしか渡らない流れになります。

「幸せの循環」って最初は「誰かのため」からでいいです。そしてそれが回り回って自分にも流れてくるだけなのです。



自分が笑えば必ず相手も笑うんです。

最後までお読みいただきありがとうございました。




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