毎週 日曜日はスピリチュアルなメッセージを転載しています。
大晦日には、百八つの除夜の鐘をつきます。
人間には百八つの煩悩(人間の身と心の苦しみを生みだす精神のはたらき)があるといわれています。
しかし、仏教では百八つどころか、「八万四千の煩悩」という表現もあります。
数は問題ではないのです。
煩悩は、箱型のティッシュペーパーのように、取っても取ってもわき出してくるものです。
煩悩の貯蔵庫が私たちにはあるのです。
元旦になれば、煩悩はまたつくられます。
親鸞聖人は、「煩悩の『煩』は身を煩(わずら)わす、『脳』は心を悩ます」と丁寧にその意味を示されました
『唯信鈔文意(ゆいしんしょうもんい)』より
しかし、「煩悩をなくしましょう」と言われたのではないのです。
性格を良くしようと言われたのでもありません。
人間が必ずもっている煩悩と、じっくり向きあいましょうと言われたのです。
私たちには、必ず煩悩があります。
「仕事が終わったら一杯やりたい」
「異性とデートしたい」
「ケーキを食べたい」・・・・。
これも煩悩です。
また、「子煩悩(こぼんのう)」という言葉があるように、たいせつなものには悩みや心配ごとがつきものです。
煩悩は、人生の悩みや苦しみを生じさせますが、しかし同時に、人生の楽しみを生じさせます。
煩悩があるから、生きる原動力になることもあるのです。
だから、煩悩は消せばいいというものではありません。
まず自分は、煩悩をたくさんもっていると「自覚」すること。
そして、自分の煩悩に光をあてて見ていくことがたいせつなのです。
「私は正しい」と心のバリアをつくっていては、自分の煩悩と向きあえません。
煩悩に向きあうことで、それまで気づけなかった自分を発見できるのです。
川村妙慶
「心の荷物をおろす108の智恵」より転載