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空気を支配するアギレラのパフォーマンス
バーレスク
歌手になる夢を抱きアイオワを飛び出したアリ(クリスティーナ・アギレラ)は職を探してニューヨークを彷徨う。目に止まったバーレスククラブでテス(シェール)のステージに魅了されたアリは、働きたいと売り込むが、オーナーでもあるテスに断られる。バーテンのジャック(キャム・ギガンデット)を丸め込み、強引にウエイトレスの仕事を始めると、トラブルメーカーのニック(クリスティン・ベル)の代役というチャンスが巡ってくる。
公開時、アギレラなんて名前しか知らなかったヤツが何かを感じて吸い込まれるようにスクリーンへ。その1週間後には相方に熱烈推挙して一緒に上映終了間際のリピート。そういう作品ってたまにある。サントラも未だヘビロテの本作を再見。
最初に言っておきます。ミュージカルではありません。歌われる楽曲のほとんどがステージなどでキャラがリアルに歌う。突然歌い出す歌がセリフになっちゃうアレとは違う。BGMでもなく劇中歌と言ってよい。ジャンルとしては音楽劇かな。
正直に言っておきます。ストーリーはよくある話。衝撃も感動もさしてない。終盤、ある奇策で経営危機を乗り越えるのだが、起死回生感はあまりない。が、大都会で夢を追いかける若者のポジティブな物語で「元気をもらえる作品」ではある。
映画の良し悪しはストーリーだけじゃない。本作で衝撃を受け感動するのはアリ=アギレラの歌声とパフォーマンス。弱いストーリーを凌駕するアギレラの圧巻のステージ。パワーボーカルとカメラワークで映画館はバーレスククラブの客席と化す。
失礼ながら決して美人ではないアギレラ。ところがスポットが当たって歌い出すと別人。歌という武器を手にした途端、自信に満ち、クールでキュートで光り輝く。これはアギレラだから成立する「アギレラの映画」に他ならない。
W主演の魔女シェール。音楽活動が主軸ながら「月の輝く夜に」ではオスカーも獲得。シェールの片腕に助演王スタンリー・トゥッチが布陣。「アナと雪の女王」のベルと「ロック・オブ・エイジス」のジュリアン・ハフが歌でなくダンスを披露。
失礼ばかり言うが…なんてことないストーリーを人気作品に押し上げたのは間違いなくアギレラ。こういうパターンの作品はなかなか出会えない。トップシンガーのパフォーマンスを寄りすぎることなく最大限に引き出したスタッフ。素晴らしい。
なんか良さそう→スクリーン鑑賞→想定以上にええやん!…こういう出会いあるから映画はやめられない。ポイントは、周りの評価を気にせず、自分の感性を信じることかな。みなさんにも、そういう映画体験、ありますよね。
DATA
監督・脚本:スティーヴン・アンティン
出演:クリスティーナ・アギレラ/シェール/エリック・デイン/キャム・ギガンデット/ジュリアン・ハフ/クリスティン・ベル/アラン・カミング/ピーター・ギャラガー/スタンリー・トゥッチ
hiroでした。
*画像は「映画.com」より引用。