NETFLIX


スタント業界のターニングポイント


(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会

ベイビーわるきゅーれ


高校生の凄腕殺し屋ちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)。二人は卒業して組織に正規採用されることになり、同居すること、アルバイトすることなど採用の条件が課せられる。同居生活が始まり、ちさとが手際良くバイトをこなす一方、コミュ障気味のまひろはうまくいっていない。そんな折、ある仕事から足がつき、二人は裏組織から狙われることになる。



(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会


映画好きの間で好評。例によって上映館が少なくてスルーしたが、ようやくネトフリに降りてきた。今年、続編も公開された人気作を初見。大人を舐めてる、命の扱いが雑、ただのギャップオチ。ひと通りそんな感情を抱いたその先に本作の良さはある。


コメディパートはギャップが要。小娘と血生臭いバイオレンスの同居。橋本環奈の「バイオレンスアクション」と同じ色。ただのギャップなのかというと否。「ジョン・ウィック」並みのガンアクションは本気も本気。本当の要はアクションにあり。



(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会


それもそのはず。アクション監督は「GANTZ」シリーズなどのコーディネーター園村健介。まひろ役伊澤はスタントパフォーマーで園村の弟子。ただの小娘ではない。エンタメにおける見せるアクションの「今」がここにある、ということ。


アクションが要ならストーリーはギャップを楽しむだけで十分。それでも、二人の関係性に特化することで一定の質を維持。一見、怠惰で殺伐としたバイオレンス作品に人の体温を付加したことで、日本映画にあまりない挑戦的な作品のできあがり。



(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会


ボソボソ話すアクションプリンセス伊澤。アクションダブルとして「キングダム」「るろうに剣心」などの人気シリーズから「G.I.ジョー」「ジョン・ウィック」の日本ロケにも参加。実は国際女優。みなさんもきっとどこかですでに出会っている。


髙石は元ダンス&ボーカルグループのメンバー。本作後「わたしの幸せな結婚」にも出演するブレイク直前有望株。敵ヒロイン秋谷萌音はなかなかのインパクト。類似俳優は多いのでこれからが勝負。三元雅芸谷垣健治系列スタントパフォーマー。



(C)2021「ベイビーわるきゅーれ」製作委員会


感想よりも情報が多くなった。結局どうなのよ?…作品としては粗い。襲ってくるので対応しましたっていう展開なので、ストーリーに深みはない。ただ、そこを補填する二人のキャラであり、本気アクションは補填して余る。ってとこかな。


若いクリエイターの作品は勢いがある。阪元裕吾、髙石あかり、伊澤彩織、それと日本のスタント業界にとっては間違いなくターニングポイントになる作品。バイオレンスが苦手でなければ、ご覧になって損はないのかと。



 DATA

監督・脚本・編集:阪元裕吾/アクション監督:園村健介

出演:髙石あかり/伊澤彩織/本宮泰風/秋谷百音/うえきやサトシ/三元雅芸/水石亜飛夢/大水洋介/福島雪菜



hiroでした。



バイオレンスアクション←と似た世界観


ジョン・ウィック←最新作には伊澤も参加


GANTZ←園村健介がアクションコーディネート