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正しいリメイクではある

ディパーテッド


幼い頃からマフィアのボスコステロ(ジャック・ニコルソン)に目をかけられ、彼の支援で警察官になったサリバン(マット・デイモン)は特別捜査班の一員となる。その頃コステロを追っていた警察だったが、コステロを慕うサリバンの内通により今一歩で取り逃していた。一方、劣悪な環境で育ったビリー(レオナルド・ディカプリオ)は、警察学校を卒業するとコステロの一味に潜り込むよう命令を受ける。



トニー・レオン、アンディ・ラウ主演「インファナル・アフェア」のリメイク作品を再見。第79回アカデミー賞において、マーティン・スコセッシは本作で初めて監督賞を受賞。作品賞をリメイク作が獲得したのも初めてだ。


バレたら命はない。双方の潜入者が同時に存在すればその危険も増し増し。ジリジリと追い込まれていく緊張感。面白い。が、オリジナルが面白いのだから当たり前。エンタメは企画、設定が命。そこを楽するのってありなのかと思った。初見時は。


ただし、再見の今回、少し見え方が違った。ボストンという土地。警官とマフィアにアイリッシュが多いらしい。共に犯罪に関わる真逆の仕事。オリジナルで描いた街の光と闇を移民、貧困、差別などボストン特有の背景に置き換えたのが奏功。


結果、主要人物がなぜ警察に、マフィアに身を置いたのかが明確。紙一重の双方の組織で、命を削る日々を送る二人。キャラがオリジナルより若いのは、リメイクでの新設定の故。リメイクであることには変わりないけど、正しいリメイクの仕方かと。



レオンの役をディカプリオ。レオン特有の湿度のある色気はないけど、ヒリヒリした焦燥はディカプリオならでは。スコセッシとは何度目ですか。ラウの役はデイモン。ボストンといえばこの人、という印象。まだお肌もピチピチ。


二人の間にニコルソン。マフィアのボスなのにどこか「父」の優しさも醸す。ビリーのボスがマーティン・シーン。あのカットは印象に残る。その部下役マーク・ウォールバーグはオスカー助演男優賞ノミネート。アレック・ボールドウィンもいる安心感。


敵地で味方のふりを続ける二人。バレたらお縄になるサリバンと確実に殺されるビリー。24時間、昼も夜も続くストレスは想像すらできない。コステロの件が片付くとようやく彼らは解放されるのか…いや、すでに無間地獄に足を踏み入れている。


単品として高品質。でもやはり、リメイクでアカデミー作品賞はなしだろう、と結論。米国の賞なのでどうでも良いけどね。本作見て「いいね」と思った方は、オリジナルも併せてどうぞ。



監督:マーティン・スコセッシ/脚本:ウィリアム・モナハン/オリジナル脚本:アラン・マック/音楽:ハワード・ショア

出演:レオナルド・ディカプリオ/マット・デイモン/ジャック・ニコルソン/ヴェラ・ファーミガ/マーク・ウォールバーグ/レイ・ウィンストン/ジェームズ・バッジテール/アレック・ボールドウィン/マーティン・シーン



hiroでした。



インファナル・アフェア←オリジナルも傑作!


ウルフ オブ ウォール〜←スコセッシとディカプリオ


シャッターアイランド←これも。結構好き。