#21 TOHO_HIBIYA


よくあるやつ…じゃない!

(C)2023 20th Century Studios

ザ・クリエイター 創造者


発達したAIの反乱によりロサンゼルスが壊滅。アメリカを中心とする西側諸国はAIを全面廃止。一方でニューアジアはAIの生産を続行。世界は分断した。アメリカはクリエイターと呼ばれるAIを開発する模造人間(シミュラント)を抹殺するため、特殊部隊の兵士ジョシュア(ジョン・デヴィッド・ワシントン)を潜入させる。クリエイターにつながる女性マヤ(ジェンマ・チャン)に接触したジョシュアだったが、長い潜伏生活の間に彼女を愛してしまう。


(C)2023 20th Century Studios


USA版「GODZILLA」の監督にして日本オタクのギャレス・エドワーズが勝負に出た。不安はあったが、上映回数減の気配がし始めたので鑑賞。想定以上に引き込まれて涙まで献上。観て正解。何が勝負か? 映像美は評判どおりだったけど、物語よね。


ターミネーター」以降悪イメージの定着したAI。本作も「戦争を始めた」戦犯として君臨。ところが進むにつれ勝手が違ってくる。シミュラントに悪そうなやつがいない。カギを握るシミュラントからして愛くるしい子どもじゃないか。


(C)2023 20th Century Studios


アバター」「猿の惑星:創世記」と並べれば想像つくだろう。本作では「人間が悪」…ってか明確に「アメリカが悪」。一方、日本、香港、ベトナム等東南アジア圏を総括したような設定のニューアジアは人間とAIの共存の道を探る。という構図。


ネガティヴイメージが強いAI。ところが現実では、着実に我々の生活に不可欠な存在になりつつある。大胆に「共存」という切り札を切ったエドワーズ。友好的AIストーリーの先駆けとして、映画史を飾る一本…になるかもしれない。


(C)2023 20th Century Studios


主演は「TENET」のワシントン。デンゼルさんのご子息ね。着実にSFアクション俳優としての地盤を強化。渡辺謙は「GODZILLA」でエドワーズ監督とコラボ。ごく自然に日本語が挟まる加減が良い。「we called him,ゴジラ」を思い出す。


シミュラントの少女を演じるマデリン・ユナ・ヴォイルズは情報が少ない。「エターナルズ」のジェンマ・チャンはあっという間に大物の風格。「ハイフォン」シリーズのヴェロニカ・グゥはベトナム代表。ハリウッド大作の出演が続く。


(C)2023 20th Century Studios


ジョシュアと少女との関係性を丁寧な脚本でゆっくり醸造させる。二人の姿は「ペーパームーン」の親子を連想。SF大作だが、二人のドラマ部分に時間をかけた。実はそこが共存のカギ。エドワーズが最も伝えたかったところだろう。


「よくあるやつ」と思わせて実は逆。「her」「ベイマックス」等AIとの交流を描いた作品はあるけど「AI=敵」を前提に交流を構築する展開はあまり見ない。今後の広がりを期待できる世界観。…エドワーズの勝負はどっちに転ぶ?



 DATA

監督・脚本・原案・製作:ギャレス・エドワーズ/脚本:クリス・ワイツ/音楽:ハンス・ジマー

出演:ジョン・デヴィッド・ワシントン/マデリン・ユナ・ヴォイルズ/ジェンマ・チャン/渡辺謙/スタージル・シンプソン/ラルフ・アイネソン/ヴェロニカ・グゥ/アリソン・ジャネイ



hiroでした。



GODZILLA←ギャレス・エドワーズx渡辺謙


ローグ・ワン←映像はこんな感じ


アバター←「人間の愚かさ」が共通点か