今シーズンのタイガース、まずは2位を確定させ、クライマックス・シリーズのファースト・ステージを甲子園で開催できるようになった。この結果に対し、全ての関係者に敬意を表したいと思う。加えて、多くのファンの期待に応えられたことに 私もホッとしている。

ただ、私は何度もこの場で言ってきたとおり、現状のクライマックス・シリーズには否定的である。どうにも現状の制度に諸手を上げて賛同できないのだ。

まず、ネックに思う事は リーグの1位と2位のチームのゲーム差がどんなに離れていようと日本一になる可能性があること。そして、チームがシーズン中に負け越したとしても日本一になれる可能性があるということにどうしても賛同できないのだ。

例えば、今年の両リーグのように 1位チームと2位チームのゲーム差が 10ゲーム以上離れた場合には クライマックス・シリーズは開催しないとか、レギュラー・シーズンを負け越したチームはクライマックス・シリーズに出場できない、とか、一定のハードルを敷くべきだと思っている。

日本一を決める格式高いポスト・シーズンに一定の条件を満たさなければ参加できないというのは至極当たり前の話だと思う。それを上から3番目のチームまで、全12球団しかない中でうち半分の6球団を無条件に参加させるという仕組みにはどうしても抵抗がある。

なぜ、こんな不条理がまかり通るのか。盛り上がれば良い、各球団の収益を上げたい、という理由以外、見あたらない。

もちろん、ファンに喜んでもらう事や、収益を上げる事は重要である。しかし、だからと言ってそれを理由に「日本一」というステータスを軽視してしまうのはいかがなものだろうか。

日本のクライマックス・シリーズとは 簡単に言えば、ただの「敗者復活戦」だ。その点、アメリカのメジャー・リーグは違う。

ナショナル、アメリカン両リーグの東・中・西、れっきとした各地区優勝チームに成績上位のワイルド・カードを加えたチームのみでリーグ優勝を争い、各リーグ優勝チームがワールド・シリーズへと向かうのだ。理にかなった制度だ。

ワイルドカードを「敗者復活」或いは不公平と見る人もいるだろうが、ワイルドカードに入るのにはそうとうな成績、勝率が必要なのだ。さらに数年前からワイルドカードのチームを上位2チームにし、その2チームによる1試合のプレーオフを行うことで各地区優勝チームとのハンディキャップを与えた。実に公平なシステムである。

結果メジャーでは1リーグ15チームあるが、ポストシーズンは3分の1の5チーム出場し、うち1チームは1試合で消えてしまう。一方1リーグ、6チームしかない日本に3チーム無条件出場の現行制度でのクライマックス・シリーズはやはり無理がある。

この考えは少数派の意見なのかもしれない。ただ、私はビジョンを持たない野球解説者にはなりたくない。私がマイノリティだろうが 正しいと思う意見は言っていきたい。

とはいえ、現状は現状だ。現行のルールに則っとり 今はクライマックス・シリーズが野球ファンの皆様に喜んで貰える様に、そしてタイガースが日本一になれるように、その事だけを願いながら見守りたい。


さて、話は変わって最近、私は運動不足である。最近に限った訳でもなく、現役を引退してから 14年間は運動不足である。

何かトレーニングをしなくては、と思った時、ふと疑問に思った。「トレーニング」にingが付いているという事は「トレイ」という単語があるのではないか、と。この時代、「調べる」という事が 本当に簡単になった。自分が疑問に思ったり、知りたいと思う事はすぐに「ネット」を利用すれば 解決する。

まずは「運動」という言葉を調べてみた。 運動は英語でexercise(エクセサイズ)、これを運動するになると take exerciseになる。なるほど、「トレーニング」とは繋がらない。そこで今度は「トレイ」の方を調べると「物を載せて使う 浅い容器」と出できた。

「えっ、これは違うな。」と思い、「トレーニングのトレーとは」と検索したら

「アイリスオーヤマ、トレーニング・ペット」

と出てきた。「なんのこっちゃねん!!」。

必死に 色んな言葉を入れ、検索し やっとの思いで たどり着いた。トレーニングのingなしの言葉は「トレイ」ではなく、「トレイン」なのだそうだ。そして身体を鍛える事を「トレイン」と言うらしい。

「トレイン」は名詞で 「列車・行列・順序」という意味だ。動詞になると「訓練する・体を鍛える」になる。そして「トレーニング」は 「トレイン」の動名詞だそうだ。動名詞と、聞いてそういえば中学生の頃、勉強したなぁ、となったが。。。

ただ、よくよく調べてみると 面白い事が書いてあった。車両が列をなしているのが「トレイン」で 1両だけで走る車両は「トラム」と言うらしい。つまり、その理論でいけば、続けて体を鍛える事こそが「トレーニング」という事になるのだ。

そう考えると、「運動不足」と言って 気が向いた時にだけ 運動するのでは 「トレーニング」とは言わないという事になる。

現状のタイガースに置き換えるならクライマックス・シリーズだからと言って この時期に必死で 練習したり特別な事をするのは 「トレーニング」ではない、という事にもなろう。

チームの全体練習も個々の練習も日頃のルーティーン通り継続して練習し、普段の自分の力を充分に出せるように準備する事が日本シリーズへの道となる。その道を制するには一両編成では心もとない。まさに特急列車のような勢いが必要だ。

日本シリーズでは パリーグの猛者と戦うので レギュラー・シーズンとは違う戦略・戦術が必要となるだろう。しかし、クライマックス・シリーズは、つまり、セリーグのチームなら タイガースが普段の力を出せたなら勝利する事は大いに期待できる。

等身大の野球、自分達の野球をする事が クライマックス・シリーズのカギとなるだろう。その為にも 2位になったと言って安心などせず、「消化ゲームなどない」という精神で残りの試合も戦って欲しい。あとは10月14日が待ち遠しい。