どーもです。

前編に『いいね』をくださった方々、本当にありがとうございました( 〃▽〃)
励ましのコメントも多数ありがとうございました( 〃▽〃)

ところが、皆様のお好みの続きじゃないかもしれないですけど( TДT)
でも、書いてみたんで読んでやってください(´・ω・`)


では、『強引ぐマイウェイ』へ、どうぞです。


そして、また…………………………また…………………………ナンバリングに変更…………………………………(泣)『前編』は、『1』になってしまいました。




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『やーい、やーい!小花苺だって!変な名前ー!!』
『あ、「いちご」が真っ赤になったー!苺だけに?あははっ』
『いーちーごー、いちごーっ、いーちーごー!!!ちっちゃいお花の苺ちゃんってば!』
『あれー?お返事ないぞ!「苺」だから、耳が無くて聞こえないのかな〰!?』

男子達の囃(はや)し立てる声。
ばか騒ぎをしながら、まとわりついてくる同級生達。


子供の私は、なぜ自分がそんな目に合うのかわからなくて、よく泣いては大人に諭された。

『苺ちゃんはすごく可愛いから。男子はかまいたくて仕方ないんだよ。男子は、好きな子をいじめちゃうものだからね。』と。





……………え?


…………………………はぁ!?

好きだからいじめる?
なんだそれ!?
こっちはたまったもんじゃない!
ざけんなっつーの!!!


そうやって。私は、悲しみと混乱に、憤りや憎しみを孕んだ感情を育てていった。








男なんて、嫌いだ。

そして、『あの男』みたいな背の高い男はもっと嫌い。

『あの男』みたいな体格が良くて力がある男も、嫌い。

イケメンで………その事実を自分でわかってて、『俺が好きだと言えば女は喜ぶ』と思っている、『あいつみたいな男』は、もっともっともっと大っ嫌いだ!!!















私は144cmと小柄で、でも逆にそれを活かしてモデルをしている。

特に小柄な女の子達からは人気があって。皆、『憧れてます』『コーデ、参考にさせてもらってます、真似してます』『可愛い、大好きですっ』とありがたい言葉をくれる。うふふ、ありがとう。私もみんな大好きよ。

……………そう。男嫌いの反動からか、私は女の子が大好きなのだ。

でも、それは百合の感情ではなく。例えていうなら、「フルーツと生クリームたっぷりのパフェが大好き」みたいな感情に似ているかもしれない。


そして京子ちゃんも、私が大好きな女の子のうちの一人。

京子ちゃんとの初対面は、ドラマでの共演だった。まだまだドラマの現場が不慣れな私に、京子ちゃんは優しく丁寧に色々とレクチャーしてくれた。本当に感謝してもしきれない、恩人。

京子ちゃんは、LME芸能プロダクションという大手の芸能事務所に所属していて、有名なCMやドラマや映画に出演している。演技力は監督や演出家を唸らせ、化粧映えは周囲がどよめくほど。人気赤丸急上昇中の、女優兼タレントさんだ。でも、そんなすごい人なのに、全然偉ぶってなくて、所作は丁寧、物腰は柔らかい。優しくて明るくて、そしてちょっと面白い、本当に素敵な女の子。


でも、京子ちゃんには秘密がある。
……………なんと、愛を否定しているんですって。LME所属のとある女優さんが、とある俳優さんに話していたのを偶然聞いてしまったの。『あの子、愛が欠落しているから、社長のオモチャにされてて、ラブミー部員1号だなんてふざけた呼ばれ方してるんだから。』って。

……………え〰嘘でしょ〰!って思った。どうせ、その俳優さんが京子ちゃんのことを気に入ってアプローチしようとしてるのが悔しいから、口からでまかせを言ってるんでしょって。

だって、あの京子ちゃんよ?愛は……………たくさん持ってると思う。

京子ちゃんは、何より演じることに情熱を燃やしている。それにメルヘンも大好きだし(時々異世界にトリップしてる)、お料理するのも食べるのも大好き。オシャレもお化粧だって大好きで、親友の『モー子さん』のことは…………あれは、まさに愛だと思う。かなりつれない態度をとられているっぽいのに、見返りを求めず想いをぶつけ続けている……………うん、愛だ!!

ほら、ね。キョーコちゃんは『大好き』をたくさんもってるのよ。だから、『欠落者』なんかじゃない。と、そう思っていた。

でも、ふと気づいたことがある。


私は男が嫌いだから、19歳なのに初恋もまだで。でも、『恋ばな』はいつもいつも耳にする。なぜなら、私は女の子のことは大好きだから、みんなで一緒におしゃべりするのも好き。そうすると、必ずといっていいほど恋ばなに突入する。私からは話題は提供しなくて聞くだけだけれど、女の子はみんな一生懸命に恋ばなに花を咲かせている。

……そう、気づいたことというのは、その恋ばなを、京子ちゃんとは話したこと、ないな。京子ちゃんは恋ばなを言い出さないな、ということ。


ちなみに。京子ちゃんは、男の人にモテる。そりゃそうだ。だって、可愛くていい子だもん。当たり前よね。……………でも、いつもあり得ない曲解思考で男性からのアプローチをぶったぎっている。そしてさらに、これは噂だけれど、マネージャーさんの守りが鉄壁で、京子ちゃんへのアプローチは失敗に終わっているらしい。

もしかして、もしかしてだけど……………。京子ちゃんは、『愛』の中の『恋愛』の部分を、何らかの理由で失ってしまったのかな……。


なんて。勝手にそう思っていた。





そんな時、とある出来ごとがあった。

京子ちゃんと、ミュージシャンの『不破尚』とのテレビ局の廊下でのやりとりを、偶然少しだけ見ただけなんだけど。不破尚はすごく横柄な態度で、『お前の分際で』とか『キョーコのくせに』とか言って、京子ちゃんを罵っていた。対して京子ちゃんも、すごく恐い顔で『あんたなんかね』とか、『もう昔の私とは違うって言ってるでしょ』と、応戦していた。それを見た私は、直感的に『こいつだ』、と思った。京子ちゃんから『恋愛』を奪った男は、こいつに違いない!

…………背が高くて、イケメンで……………、うん、嫌い!!私も不破尚が嫌い!

京子ちゃん、私達一緒だね!!



と、そんなふうに、息巻いていたときもあったりしたけれど……………。


















本日私は、京子ちゃんをLME事務所に呼びつけ、もとい待ち合せをしている。京子ちゃんに、聞きたいことがあったからだ。

「ねぇ、京子ちゃん、敦賀蓮さんのことを知ってる?」と。

京子ちゃんにそう聞きたいのは、私自身もそろそろなんとかしないといけない、と思っていたから。

私だってわかっている。私の男嫌いは、この業界に生きていく者として、いや、それ以前に、人として生きていくには問題だ。有意義な人生を生きていくには弊害となる。何より、あんな男のことをこんなにまでも引きずっていること自体も悔しい。

だから私は、このドラマのオファーをいただいた時に、本気で思った。自分の『男嫌い』を治したい。『あの男』に似た男の人だからと、特に嫌ってしまう性分を治したい。
『少女時代のトラウマ』を克服したい………って。


誘惑の行き交う芸能界にいた私は、けれど、今まではマネージャーにしっかりと守られてきた。それは、年齢的にもスキャンダルは早いし、うちのような弱小芸能事務所の稼ぎ頭の私が、恋愛にうつつをぬかしても困るという社長の意向もあってだった。でも、そんな社長も今回は『守って』はくれない。……………ま、当たり前だけれど。


そして、敦賀蓮さんを恐がりたくない理由は他にもあった。なぜなら、その携帯作家さんは、まだ15歳の私を見つけてくれたのだ。ティーンズ誌でモデルをしている私を、成長したらこんな感じかなと想像をふくらませて話を書いてくれたという。私は今は、ちょうどその話の中の年齢と同じだ。自分のためだけに書かれたお話のドラマだなんて、この先一生、演じる機会には恵まれないかもしれない。こんな女優ともいえないような私だけれど……………演ってみたい。すごく、演ってみたい!

そう、思ったのに。

本気で思ってたのに……………。


……………だけどダメだった。顔合わせの時に敦賀蓮を生で見た瞬間、あの人に覆いかぶせられたり、抱き締められたりするのだと思ったら、もうダメだった。…………怖くて仕方がなかった。

でも、そんなのはおかしいと思う私もいる。だって、敦賀蓮には私怨などない。言葉も交わしたこともなかったし、目も合わせたこともなかった。だから、人となりも知らないくせに、一方的に嫌うのもどうかと思った。でも、ダメだった。敦賀蓮は、私が最も嫌いな男の条件を満たしていた。そして、撮影が進んできた頃に、なぜか突然私に向かって話しかけてきて。…………その時の、あの顔!声!物腰!雰囲気!!……………私は思ってしまった。この人、絶対にタラシでコマシだわ……!だてに『抱かれたい男性ナンバー1』やってない………!!と。



ああ〰〰〰!
もう………絶望的………………………!!!
………………終わった……………………!!!


違約金とか、いくらかかるんだろう。うちの弱小芸能事務所に支払えるのかな。それから私、芸能界から追放されたりするのかな。






…………………………でも………

いいの………………………?

これで、いいの……………?

こんなことじゃあ、あんな男に負けたことになるんじゃない……………?

嫌だ!そんなのは嫌!!!

なにか手はないの………!?

なにか打開策は……………

…………………………なにか……………


…………………………あっ、そうだ!京子ちゃん!京子ちゃんなら、敦賀蓮さんの人となりを知っているかも!同じ事務所だし、ダークムーンや、他のドラマでも共演してるし。京子ちゃんなら、なにかプラスになることを教えてくれるかもしれない!


だから、そう思った私は、LME事務所のとある部屋に通されて、京子ちゃんにたずねた。

『ねぇ京子ちゃん、敦賀蓮さんのことを知ってる?』って。

それを聞いた京子ちゃんは、一瞬固まったあと、「……………あ、あ〰、うん。知って、る、といえば知ってる……………。」となんだか曖昧に答えた。

「ほんとっ?」

私は藁にもすがる思いで、『かくかくしかじかで』と、敦賀蓮さんの人となりを知る必要性があることを説明した。

少し長い昔話も混ざってしまったけれど、京子ちゃんはとっても一生懸命に聞いてくれて。たくさん相槌を打ってくれるから、私は洗いざらい話してしまった。


「……………というわけ、なんだけど……………どうしても、敦賀蓮さんの存在が恐いわ、タラシでコマシな雰囲気が許せないは、だから、ましてやあの大きな体に抱き締められるだなんて……………!!!」
と、最後に怯えてみせた私に、京子ちゃんは、盛大に困った顔をした。

「……………あ、……………と、苺ちゃんの力に……………なりたいのはやまやまなんだ、けど……………で、も……………えと……………タラシでコマシ、は、否定できないと言いますか、」

「……………う〰わ!やっぱり?やっぱりそうなの!?」
しどろもどろの京子ちゃんに、私は、思わず詰め寄った。

「っあ、違っ!ごめん、そこは……………タラシでコマシってくだりの実際は……………私も知らなくて……………でも、わたしもっ、……………正直なところ、疑わなくは、ないけど………実際に見たわけじゃないし、……………だから、そんなあやふやなことは…言わない方がいいかな……とも思って……………でもタラシでコマシを否定できなくて、苺ちゃんに申し訳ないなって…………………ぁ、で、でも!仕事はすごいの!すごくすごくて、すごいの!私、敦賀さんのこと尊敬してて!ってか、もう崇拝してて!」
いきなり興奮気味になる京子ちゃんに、私もピンもくるものがあった。

「……あ!京子ちゃんがリスペクトしてる先輩……って、敦賀蓮さん?」

「そう!そう!!」
それから京子ちゃんは、敦賀蓮がいかに役者として、芸能界に活きる者として尊敬できるかを、様々な例を挙げて大声で語りまくった。

京子ちゃんの熱弁は、京子ちゃんが本当に役者として敦賀蓮を慕っていること、そして、敦賀蓮が役者として素晴らしい存在であることを十二分に私に伝えてくれた。

捲し立てて話したことで喉が渇いたらしい京子ちゃんは、自分の淹れたお茶をゴクゴクと飲み干す。

その姿を見ながら、私は、思ったことを口にした。「……………うん、すごくよくわかったよ。」

「……………ぷはっ。ほんとっ?」
ぱあっと、明るい笑顔の京子ちゃん。

「……………うん、でもさ……………、それとこれとは別………で……抱き締められても大丈夫かってのは……………ちょっと違くて……………」

そう。いくら役者として優秀でも、だからって、男性として覆いかぶせられてもいいかと言うと……………それは……………。


そんな思案顔の私を、同じような思案顔で見ていた京子ちゃんだったけれど。……………いきなり勢いよく、椅子を倒しながらその場に立ち上がると、びっくりして見上げる私に向けて、その両腕を広げてみせた。

「私っ、私が、敦賀さんの抱っこ、再現する!私が苺ちゃんを慣らしてあげるから!」
と叫んだのだった。