こんな国なら、私は喜んで非国民になろう☆そうやって抵抗しなければ、
戦後が戦前になる日も近い
左矢印の続きの記事です

動画の説明です。

信じた原発の未来「電気代が2000分の1、都会の地下室で発電」

 まず、沖縄大学学長の仲地博氏が、「沖縄大学の理念は、地域の共創。

今、原発を押しつけられた福島と、基地を押しつけられた沖縄の共通点が
浮かび上がっている」と述べ、原発問題と基地問題のつながりを示唆した。


 小出裕章氏が登壇し、ポツダム会議と同日の1945年7月16日、アメリカが
成功させた人類最初の原爆「トリニティ」の話から、講演の口火を切った。

 そして、「2つ目の原爆は、広島に落とされた」と述べて、原子力発電
について解説した毎日新聞の記事(1954年7月2日付)を紹介した。

そこには『原子力発電は、石炭に比べて莫大なエネルギーを持ち、
電気料金は2000分の1になる。都会のビルディングの地下室が発電所になる』と
書いていた。それを自分も信じた。しかし、まったくのウソだった」


原子力発電は効率の悪い蒸気機関だ
小出氏は「原子力発電は、効率の悪い蒸気機関」と言明し、
その仕組みを説明。広島原爆ではウラン800グラムが使われたこと、
100万キロワット規模の原発1基を1年間稼働させるためにはウラン燃料1トン
が必要で、同量の核分裂生成物が発生することなどを語った。

そして、「原発施設は過疎地に押しつけられた」と地図を示し、
福島第一原発事故の話に移った。

 Mark1型格納容器の断面図のスライドを見せ、
「炉内には、広島原爆1000発分の放射性物質が溜まり、発熱は続いている。
そのため、常に冷却し続けなければならない」と解説し、次のように続けた。

「民主党政権時、当時の野田首相が『事故収束宣言』を出したが、まったく
収束していない。

1~3号機の炉心は溶け落ちているが、どこにあるかは、わからない。
ひたすら水を注入し続けるが、汚染水があふれている」。

 「毎日400トンの冷却水を流し続けて、40万トンの汚染水が溜まってしまった。
いずれ、海に流すことになるだろう。
また、敷地の地下にはトンネルが縦横に走っていて、地震でひび割れ、
至るところに汚染水が漏れ出ているだろう」と推測した。

※ 【IWJブログ】原発を抱えたまま戦争の準備を進める愚かしさ~
岩上安身による京都大学原子炉実験所・小出裕章氏インタビュー
事故で放出した放射能物質は4.7キログラム

 小出氏は「国が、IAEAへ提出した報告書では、セシウム137は広島原爆の
168発分を大気中に放出した、と言っている。

海洋への放出は未報告。放射性物質は偏西風に乗って太平洋へ流れた。

そして、政府は半径20キロ範囲内の住民だけを避難させた
。同心円上で避難範囲を検討していたが、風向きで、まったく汚染が変わったのだ」
と話す。

 「福島の中通りもプルームが流れて汚染された。

そして、群馬県の西半分、埼玉県西部、東京の奥多摩などを汚染していった。
この地域一帯は、1平方メートルあたり4万ベクレル相当で、
通常は研究者しか出入りできない放射線管理区域に匹敵する」。

 「国の報告書では、大気中に放出されたセシウム137は、1.5 x10の16乗ベクレル。

星稜女子短期大学の沢野伸浩氏は、陸地に降下したセシウム137は、
2.4×1.5 x10の15乗ベクレルと試算。重量に換算すると
放出した放射能物質は4.7キログラム。陸地に降り注いだのは750gだ」と
データを示しながら、放射能汚染の状況を解説した。

法律を守るのは国家の最低限の義務

 
 小出氏は「日本は法治国家だと思ってきた。国民が法律を破ると処罰する。
ならば、法律を守るのは、国家の最低限の義務だろう。

福島原発事故を引き起こした、最大の犯罪者は政府だ。

国が安全の根拠にしているICRPの2007年勧告では、約100ミリシーベルト以下
でも、がん発症や遺伝的影響の原因になるなど、低線量被曝の因果関係を
認めている。
『100ミリシーベルト以下の被曝なら安全』と言う学者は、刑務所にいれるべきだ」
と強い口調で指摘した。

 さらに、放射線がん死の年齢依存性から、子どもへの被曝の影響は非常に
大きいことを指摘した。

「政府基準での、がん死の発生率は、一般人の限度である年間1ミリシーベルトで
は2500人に1人。
放射線業務従事者(年間20ミリシーベルト)は125人に1人。
福島原発事故の収束作業にあたる労働者(1回の作業の上限が250ミリシーベルト)
では、10人に1人のがん発生率となる。

そして、国が定めた避難指示区域では、放射線業務従事者と同じ、年
間20ミリシーベルトを子どもにも適用する。

そこで暮らす0歳児のがん発生率は31人に1人。とても、許すことはできない」。

「しかし、国は、この事故を忘れさせようと策謀を進めている。
自民党は、まったく責任をとらない。
それどころか、安全だと言い続け、再稼働を進め、輸出を企む。
福島原発事故が起きた今、私たちは、未来の子どもたちからきっと問われる。
では、どうやって生きるべきか。自分は被曝をしても、子どもたちは守ろう」。

自衛のための核兵器は持てる、というのが政府見解


 休憩後、長崎原爆のスライドから講演は再開した。
小出氏は、アメリカのマンハッタン計画を解説。

「広島原爆はウラン鉱脈に0.7%しかないウラン235で作り、長崎原爆の爆薬は
プルトニウム。99.3%あるウラン238に中性子を当てるとプルトニウムができる。

その原爆製造の3つの中心技術は、ウラン濃縮、原子炉、再処理だ」。
※ 2014/02/15 【青森】「44トンのプルトニウム処理に必要なフルMOX大間原発」
~第2回脱原発弘前映画祭 講演 小出裕章氏ほか
>
※ 2014/02/03 米国からのプルトニウム返還要求「明らかな政治的メッセージ」~
岩上安身による京都大学原子炉実験所助教・小出裕章氏インタビュー


 そして、NHKの『核を求めた日本 ~被爆国の知られざる真実~』という番組で、
元外交官の故村田良平氏が、有事での核武装の可能性を示唆したことを紹介。

「1969年の外交政策大綱でも、『常に核兵器の技術は保持しておく。
また、それが、国益になると国民に周知させておく』と言及している。
自衛のためには核兵器は持てるというのが、政府の公式見解だ」と話した。

関連記事☆
2012/11/29 「原発推進の理由は、核兵器に転用できるプルトニウムを保持したいという『国家的欲望』にある」
~岩上安身による小出裕章 京都大学原子炉実験所助教インタビュー


軍事用語と平和利用で使い分ける「Nuclear」

 さらに、「2012年6月20日には、原子力基本法改定で、第2条に
『我が国の安全保障に資することを目的とし』という一文をこっそり入れ込んだ」
と指摘し、「Nuclearという言葉は、核とも原子力とも訳し、
核は軍事用語に、原子力は平和利用の意味に使い分け、別ものと
思い込まされてきた。

Nuclear Developmentは、北朝鮮、イランが言うと核開発で、日本では、
原子力開発となる」と続けた。

 「国連常任理事国の米、仏、英、ロシア、中国の5ヵ国は、
戦勝国で核兵器保有国でもある。NPT(核拡散防止条約)を作って核の独占に努めるが、
インド、パキスタン、イスラエル、北朝鮮も核兵器を保有した。

ただし、ウラン濃縮、再処理工場、原子炉、核兵器技術を持っているのは、
世界中で日本だけだ」とも言う。
戦後世代のはずが、もはや「戦前世代」に

 小出氏は話題を変えて、沖縄について話した。「沖縄に、戦後はあったのか」
と問いかけ、「地上戦で壊滅され、敗戦で見捨てられた。

それは、昭和天皇が防共の目的で、米軍に沖縄を差し出したから。

国土の0.6%(沖縄)に、在日米軍基地の74%が集中。
本土が戦争特需で沸く時も、沖縄は出陣基地に使われた。非核三原則もウソだった」
語った。

 沖縄国際大学への米軍ヘリ墜落事故(2004年)の写真を見せた小出氏は、
「米軍はヘリコプターのブレード(翼)の亀裂チェック用にストロンチウム90
を搭載していたので、現場を封鎖。

ヘリの残骸も、墜落現場の土も、はぎ取って持ち去った。
日本の警察は、その米軍の作業を守った。日本には主権はない。属国だ」と嘆いた。

 「自分は戦後世代だが、もはや『戦前世代』になりつつある。

愚かな国民には、愚かな政府。安倍首相は、特定秘密保護法、
武器輸出三原則の撤廃、集団的自衛権行使の容認、憲法改悪と、
戦争への道を一気に突き進んでいる。
それは、自民党に投票する国民がいるからだ」と述べて、講演を終えた。

その後の質疑応答では、
食の安全、米軍跡地に計画している放射線医療施設の危険性、
北朝鮮の核保有の実態など、多くの質問が寄せられた。
【IWJテキストスタッフ・関根/奥松】