身体が柔らかいと

 

チコちゃんには叱られませんが、

 

中野ジェームズ修一先生から叱られます。

 

体が柔らかく、過度に柔軟があると関節に負担がかかり怪我のリスクがある(主旨)

 

今、NHK 『趣味どきっ!』 にて身体が硬い人のストレッチ講座が放送されています。

 

その中で、講師の中野氏 (フィジカルトレーナー) が実際にアドバイスした言葉です。

 

過度の柔軟、この定義に

 

中野氏の柔軟の評価に不可解な点が多く

 

ましてやNHKという大きな媒体を使っている為、

 

僭越ながら、同じフィジカルトレーナーという立場で

 

いくつか問題点を是正させて頂こうと思います。

 

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一言で『柔軟』と言いましても

 

一般の方が脱臼してしまうような、水泳選手の肩の柔軟性。

 

バレリーナが大きく脚を広げる180度開脚。(上・写真)

 

こういった特殊なストレッチは、

 

健康という範囲を通り越して、

 

一種の競技力であり

 

舞踏では表現力として身に付けるものです。

 

そういったアスリートレベルの話でなく

 

中野氏のストレッチは一般的な健康をテーマにしたものだと理解しております。

 

身体の硬い人へストレッチを推奨する点は私も賛成しております。

 

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では、中野氏の柔軟の解説のどこが間違っているのか?

 

まず中野氏が独自に作ったであろう

 

柔軟の3つの評価に信憑性やエビデンスがありません。

 

(強いて考えられる可能性として、リチャード・H・ドミンゲス博士を参考にしているか。

 

間違いが多く、とても推奨できる本ではないですが。)

 

3つの評価とは柔軟の出来ぐあいを、

 

【かたいねえーん】←柔軟不足

 

【適度ねウインク】 ←丁度良い柔軟性

 

【過剰ねガーン】←柔らかすぎてダメ

 

と分けたものです。

 

趣味どきっ!で紹介されたものの中で

 

2つほどご説明させて頂きます。

 

例1~肩のストレッチ

 

肩の柔軟を調べる方法で

 

背中の後ろで手を結ぶものがあります。

 

 

このポーズが出来る芸能人でありプロレスラーのLiLiCoさんは

 

中野氏から過剰(柔らかすぎる)ガーン 注意を受けました。

 

「柔らかすぎるのも関節に負担がかかり怪我のリスク。

 

だからやめてください。」

 

と注意を受けています。

 

私から中野氏へ。

 

このポーズが出来る柔軟性を持つ人が、肩に損傷を受けやすいといった根拠はありません。

 

勿論、脱臼癖があるとか、手術経験があるといった場合は除きます。

 

特に難度が高いわけでも、

 

危険が多いものでもなく

 

【肩甲骨はがし】というワードも耳にする昨今では

 

手軽に行えるチェック法でもあります。

 

中野氏に言っておきますが、

 

関節に負担がかかりやすいのは、

 

柔らかい人よりむしろ硬い人です。

 

中野氏がいう適度な柔軟は通常、柔軟が足りないとアドバイスされますし

 

手が結べない人は、

 

臨床現場で、肩こりや四十肩といったトラブルが多いものです。

 

更に補足をしますが

 

LiLiCoさんは肩が柔らかいからこそ、

 

プロレスの世界で怪我のリスクを減らせています。

 

過剰という評価は当てはまりません。

 

正しく評価するなら『柔らかくて素晴らしい爆  笑が正しいのです。

 

 

例2~内もものストレッチ

 

内もものストレッチ評価では、

 

横開脚は90度が適当で

 

90度以上は開き過ぎという判断をされました。

 

注 ) 90度はこのイラストの3分の2程度です。

 

イラストの開き方だと柔らかすぎる!と叱られてしまいます。

 

 

中野氏へ。

 

横開脚90度以上というのは、

 

老若男女問わず少し身体を動かす習慣があれば、

 

全員とまで言いませんが、柔軟に自信がない人でも

 

無理なく開いてしまう角度です。

 

女性であれば、

 

運動をせずとも自然に開くことも多いですよね?

 

キャリアを積んだトレーナーであれば

 

余程硬い人(素質で柔軟に恵まれていない人は確かにいらっしゃいます。)

 

そして股関節や筋肉を傷めていない限り

 

90度を超えて開くのは、割と自然な事と分かるものです。

 

そして、90度以上開いては危険ですよ!と止めるトレーナーは

 

私の知る限り出会ったことがありません。

 

もしかして、整形外科で使われる

 

関節可動域を調べるROMテスト

 

股関節なら外転45度(両足で90度)を根拠に

 

作られたのですか?

 

だとすればそれは勘違いで、硬い人向けのストレッチだとしても当てはめる指標ではありませんよ。

 

年の為に解説しておきますが、

 

関節可動域ROMテストの目的は、

 

①関節の動きを阻害している因子(損傷等)の発見

 

②障害の程度の判定

 

③治療法への示唆

 

④リハビリや治療等の評価手段

 

に使われるもので、講座の目的にあわせた柔軟の指標ではありません(笑)

 

ご存知とは思いますが、このROMテストの評価でも

 

年齢や、世界的にみると人種によっても数値が違うのですよ。

 

もし図星なら

 

今後、知った顔でテレビで解説をなさらないで。

 

私は、医学部でも使用する教科書で

 

医学部の教授が講義するカイロプラクティックの学校で

 

解剖も、整形外科学も、運動学も病理学まで一通り習得した者です。

 

見る人が見たら、嘘の情報は分かるのですよ。

 

このブログでは割愛しますが、

 

紹介された他のストレッチも

 

危険とは思えない柔軟を過剰!と評価するのは、

 

いくら【身体が硬い人】向けであっても行き過ぎています。

 

 

中野氏へ。

 

あなたが根拠のない評価

 

(特に 過剰ね) を作ったことで

 

健康増進を目的としたフィットネスの現場で混乱をきたしています。

 

日頃から柔軟を正しく伝えている

 

現場のフィットネスインストラクターから

 

ヨガやピラティスの普及に努めている先生方まで

 

中野氏の評価になぞると

 

プログラムの殆どが危険な動作になってしまいます。

 

日頃から、健康増進に邁進している先生方に

 

大変失礼というものです。

 

実際、TVを見たお客様から問い合わせが来て、返事に困っておられます。

 

( 受講者は会社をリタイアした年代で

 

運動経験がない人も多い。

 

当然、身体がお世辞にも柔らかいとは言えないが、

 

老後の体の衰えを予防するために来ている人も多い。

 

若い人や運動が好きな人ばかりではありません。

 

現場のプログラムとNHKの講座を照らし合わせると内容に乖離があるため、大変迷惑をしています。)

 

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トレーナーの世界では有名な方が

 

大きい放送局で発言してしまうと

 

視聴者は鵜呑みにしてしまいます。

 

発信力を持つというのは、それに見合った責任が伴うものです。

 

私は静岡では5年ほど活動をしておりますが

 

県武道館のトレーニングマニュアルの作成依頼を頂いたり

 

静岡県内に配布される医療ジャーナル

 

 【げんきのカプセル】にて運動やストレッチを連載・担当させて頂いております。

 

県や市の大きい病院や

 

街のクリニック、薬局、金融機関、図書館など

 

公共性の高い場所に設置されております。

 

医師や薬剤師、管理栄養士など様々なエキスパートと共にコラムが入るため

 

誤解を招かいないか、正しい情報であるか、何度もチェックします。

 

根拠のない柔軟評価を作ったことで

 

真面目な視聴者が実践すると

 

LiLiCoさんのように柔らかかった身体は、柔軟性を失います。

 

番組を見なければ柔らかいままであった身体を、

 

硬くして不健康にしてしまう責任は

 

どのようにとられるのでしょうか。

 

注意を受けたLiLiCoさんが真に受けていないことを切に願います。

 

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最後に中野氏にアドバイスを

 

私はカイロプラクターでもあり、

 

プロ競技ダンサーも手掛けていることもあるせいか

 

本来の身体の歪みや、

 

柔軟性を見極める作業を得意とします。

 

失礼とは思いますが、中野先生は、

 

何気なく立っている時の左右の肩の位置も平行ではないですし

 

あぐらをかいた時の膝の位置も左右差があります。

 

恐らく、あまり柔軟が得意ではない、柔軟をあまりやらないのだと思います。

 

中野先生が望むのなら

 

私が先生にストレッチ講習し

 

歪んだ身体も整体して差し上げたいくらいです。

 

TVでは同業者も注目している事を忘れないでください。

 

でも失敗を反省するのはダメだと伝道される先生ですから、伝わらないかもしれませんね。

 

失敗を反省するのはダメなんて…

 

第2回目の放送にてこれにも大変落胆致しました。