2018年5月18日
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前回までのお話
紅ノ糸~シキサイレンビ~
武藤の死を合図にしたように、〈赤呪〉の塒である洞窟に雪崩れ込んできた〈狼〉。
洞窟内は、あっという間に阿鼻叫喚、地獄絵のようになる。
刃を交え、命を落とし合う盗賊達……仲間を守ろうとする頭のエンと若頭のユエ。
直康は、混乱の極みにあった。
冷酷非道な盗賊で、仲間を、師匠である武藤を殺した兄弟。
しかし、彼らは直康の目の前で必死で仲間を守り、戦っていた。
逃げる道もなく狼狽する直康の手を引く者があった。
朧だった。
直康の選択は、彼女の共に、頭のエンが消えた奥へと進むこと。
蜘蛛の巣のように張り巡らされた糸に、抗うことはできないのだろうか……