【2013年2月13日】福島県でさらに甲状腺がんの子供が2人と公表されたことを考える | 福島原発事故★自主避難者として生きる

福島原発事故★自主避難者として生きる

福島原発事故の原因や汚染の現状、放射能や放射線の健康被害や影響。避難は必要か?など福島原発事故を判断する材料になる資料を集めました。

2013年2月13日、福島県の県民健康管理調査の検討委員会が、新たに甲状腺がんの子供が2人見つかったと発表しました。


これで2011年度の甲状腺検査で甲状腺がんが見つかった子供は3人に、さらに7人が甲状腺がんの疑いがあると見解を述べています。


もちろん福島県は「原発事故の影響とは考えにくい。もともとあったガンを発見しただけ」と東京電力福島第1原発事故との因果関係は否定しています。


この件について考察してみようと思います。


まず、福島県全体における未成年者のがんについての資料を見てみます。福島県の保健福祉部が平成20年(2008年)3月に作成した『福島県がん対策推進計画 』の53、54ページに、平成17年(2005年)の福島県内の未成年者(0歳~19歳)の死亡者数が掲載されています。


この資料はがんを12種類、具体的には肺がん、胃がん、大腸がん、肝臓がん、すい臓がん、胆道がん、食道がん、乳房がん、子宮がん、前立腺がん、白血病、その他のがん、に分類しています。


甲状腺がんは『その他のがん』に含まれるようですので、わかりやすいように抜粋します。


さらに患者数がわかりませんので宮城県対がん協会会長久道茂氏の推測方法 を使って推測患者数を計算しました。


それから、なぜ推測患者数を使うはめになるかといえば、資料が手に入らないからです。ちなみに福島県は患者数を正確に把握しているはずです。


【平成17年(2005年)福島県未成年ガン死亡者数、推測患者数】

   がん全体 その他のがん
死亡者数     8人        5人
推測患者数    16人       10人

※福島県の平成17年(2005年)の人口は、約209万人(国勢調査)


未成年者のがん死亡者数全体の8人のうち『その他のがん』が5人を占め、未成年者においてその他のがんがもっとも多いことがわかります。念を押しますがその他のがんは甲状腺がんのみを指すのではなくさっき並べた11種類に該当しないもの、すべてが含まれているということです。


上記の表と、現状の福島県の甲状腺がん検診の結果を比較してみましょう。


上記の表から考えれば、福島県内においてその他のがんは10人までなら福島第一原発事故前とかわらないと言えると考えられます。


2013年2月13日現在の福島県の甲状腺がん検診の結果を見てみます。すでに甲状腺がんと確定した子供が3人、甲状腺がんの疑いがある子供達が7人います。あってはならないことですが、疑いがある子供達が仮に甲状腺がんだった場合、甲状腺がん患者だけで、その他のがん全体の合計数である10人に達してしまいます。


そもそも甲状腺検査の対象は2011年3月11日時点で0歳~18歳だった者、約360,000人の子供達です。そのうち1次検査を受けれたのはまだ48%の175,848人にすぎません(2013年1月25日現在※1)。まだ半分以上が1次検査すら受けれていないのが現状なのです。


1次検査を受けれた175,848人のうち2次検査が必要とされたのは0.4%の735人です(2013年1月28日現在※2)。


この735人のうち2次検査を受けれたのはまだ29%の218人だけなのです。このうち3人が甲状腺がんと確定、さらにさらに7人に甲状腺がんの疑いと言っているのです。


つまり、福島県の子供たちに対する甲状検査はまだ半分も実施されていないのに、推定患者数で考えれば、仮に甲状腺がんが10人だとすると、その他のがんの全体の推定患者数10人と同じ数となってしまうのが、福島県の現状ということです。


※1第10回「県民健康管理調査」検討委員会(平成25年2月13日開催)資料 の18ページ左下の「合計」


※2第10回「県民健康管理調査」検討委員会(平成25年2月13日開催)資料 の23ページ左下の「合計」