一般会計に対する反対討論の中で発言した内容について、「一般会計予算の範囲外である」として議長に削除された部分があります。

当初予算なので、市の全ての業務が対象になっている議案です。

私たち議員団は、議題外ではないと判断していますが、公開された本会議の動画では既に音声が削除されているため、以下に記載します。

 

 

 今議会において、吹田事件に関する自民党議員による質問と地域教育部、教育監の答弁がありました。

 吹田事件とはなにか?ということですが、朝鮮戦争2周年目の 1952年6月25日、朝鮮戦争や軍需輸送に反対してデモ行進に参加した日本人と朝鮮人250人が逮捕され、うち111人が騒擾罪などで起訴された事件。日本政府は当時、アメリカの軍事行動を後方支援しており、デモ隊が行進した国鉄吹田操車場は朝鮮への軍需輸送の拠点とされ、民需輸送が後回しにされていました。

 裁判は1963年の一審判決までに11年、1972年の最高裁での上告棄却まで20年となり、長期にわたり「被告」とされたデモ参加者は社会的制約を受け、裁判中に6人が亡くなるなど、「非人道的な長期裁判」と指摘された。最大の焦点だった騒擾罪について一審も二審も無罪となり、二審は威力業務妨害罪のみ執行猶予付の罰金3000円となりました。

 

 この裁判では、イデオロギーにとらわれない幅広い弁護団が組まれました。初代主任弁護人となったのは、山本治雄弁護士で、のちに吹田市長になられた方で、山本つとむ前市議のお父さんでもあります。

 

 判決では、「集団行動の目的は、検察官の主張するように、吹田操車場において軍需列車を襲撃するとか破壊するとかにあったと認めることはできず、朝鮮戦争に反対し、吹田操車場の軍需輸送に対する抗議のための示威行進にあったと認めるのが相当である」「真に集団が操車場襲撃を企図していたものとすれば、操車場において、もっとそれにふさわしい行動があってしかるべきものと思われる」と、吹田操車場の襲撃を目的としていたとする主張を明確に退けています。

 

 また、警察の警備線は暴力ではなく、警官隊が八の字に道を開ける形でデモ隊を通していることは裁判で警察が認めており、写真でも記録されています。

 

 デモ隊の様子を裁判で証言した証人の地域住民たちは、「太鼓をたたいたり歌をうたったり、おもしろいなぁと思ってみていた」「兎狩りのような感じでした」と語っており、「恐怖のるつぼ」に陥れたのは、国鉄吹田駅に整然と入ったデモ隊が流れ解散となり列車に乗り込んだデモ参加者を銃撃した警察でした。

 

 また、デモ中に起こった一部の参加者による暴行をもって、デモ隊全体を「暴徒」とみるかどうかですが、デモ隊全体は、立ち止まることもなく、行為者を支援することもせず、粛々とデモを続けました。だからこそ、デモ隊全体に「暴徒」としての「共同の意思」がなかったものとして、騒擾罪は無罪になったのです。

 

 地域教育部長の答弁にあった「武力衝突」という言葉は、武装し軍事力を備えた集団と集団が対峙している様子が想起されるような表現であり、判決で示された事実と異なるうえ、博物館に寄贈された公判記録の資料を精査したわけでもなく、これまでの吹田市としての到達点を無視したものです。また、騒擾罪と威力業務妨害罪を同列に扱うかのような発言は、余りにも吹田事件に関する認識が不十分といわざるを得ません。

 

 市が行うべきは、答弁を訂正して関係者の名誉を回復するとともに、存命している事件関係者への経過の聞き取りと史料調査を行い、改めて郷土の歴史として正確に事実を伝えることです。

 歴史を修正するような市の姿勢は、断じて許されないことを強く申し上げ意見とします。

 

吹田事件を取り上げた自民党議員の発言内容の会議録がまだできていませんので、内容をご覧になりたい方は以下のリンクから視聴ください。

自民党藤木議員の質問動画を見るにはこちらをクリックしてください。

 

★「吹田事件と大衆的裁判闘争」(石川元也元主任弁護人)には、威力業務妨害について、実刑2人(懲役6か月で未決拘留通算)とあります。なので、正確には全員執行猶予付きではありませんでした。

 

★騒擾罪について。耳慣れない言葉ですので、ネットでの説明を載せておきます。

多衆が集合して暴行、脅迫をなし、地域社会の公共の平穏を害することで成立する犯罪をいう (刑法 106) 。

内乱罪が国の政治的基本組織を不法な暴力によって変革しようとする政治犯罪であるのに対し、本罪はこのような目的を必要としない点で区別されるが、犯罪規模の点でも差異がある。

本罪は多数者の共同を必要とする点で集団犯罪の典型とされる。騒乱参加者は、首魁、指揮、率先助勢、附和随行の各態様に従って処罰される。

なお破壊活動防止法は政治目的での騒擾の予備、陰謀、教唆、扇動を独立の犯罪として処罰する (40条) 。