「歴代最高得点を塗り替えたい」

浅田選手の強さが光った、バンクーバー帰国後の会見。

バンクーバーオリンピック 女子フィギュアスケートの最終得点を見た時、

もう、フィギュアスケートを見るのをやめようと思いました。

元スケーターや関係者が、マスメディアを使ってどんなに「あの点数は妥当」と繰り返そうとも、「何かがおかしい」「何かがおこっている」というファンたちの直感のほうが私には、ずっと素直で、正しいように感じます。

いや、ファンの気持ちなんてどうでもいい。

じぶんが滑るわけではないし、見るのに嫌気がさしたらテレビを消せば

いいのだから。

でも、選手は・・・。

フリースケーティングの後のインタビューで、絶句し泣き続ける浅田真央選手を見て、努力する天才と言われる彼女でさえも、

今回は、さすがに心が折れるのではないか・・・と思いました。

(別に彼女は、採点に不服で泣いていたわけではないですが。)

女子では初めてのトリプルアクセルを3度成功という偉業を成し遂げてなお、20点余りの差をつけられてしまった。

シニアとジュニアほどに、開いてしまった評価。

彼女がようやく認定を勝ち取った3A2Tのコンビネーションジャンプの

得点は、2A3T+加点で、易々と稼げてしまう現在のルール。


あまりにも残酷な結末に思えました。

ところが、屈辱的とも思える点差をつけられたわずか数日後。

バンクーバーからの帰国会見で、浅田選手は、こう語りました。

「ヨナ選手がプロにいくかどうか分からないけど、自分は勝ちたい気持ちがある。」

「(たとえヨナ選手が)引退しても得点は残るので、塗り替えられるよう頑張りたい。」

(そのためには)「シーズン通して安定したスケーターになること。

いまは自分が出来る一番レベルが高い演技をやっているけど、まだほかのジャンプの種類を増やすこともできるし、3―3回転も入れることが出来ると思う。オフにしっかり考えたい。」


まるで、スケートを始めたばかりの少女が新しい課題を与えられてワクワクしているかのように、きらきらと瞳を輝かせながら・・・。


浅田選手のモチベーションに火がついた瞬間を、見た気がしました。

その言葉は、単なる景気づけではありません。

わずかな時間の間に自分の問題点を知り、解決策を練り上げた

あとがありました。

どこまでもまっすぐに、じぶんの理想を追求していくその強さ。

迷いもなく、おごりもなく、疑いもなく。

そして、この言葉に「もうスケートは見ない」と思っていたはずの私が、

いままで以上にスケートを見ることが、これからの浅田真央の滑りを見ることが楽しみになりました。

だって、彼女が、目標を言葉にした時、

それはもうすでに標的がロックオンされている時だから。