福岡でのTV収録とアルバムプロモーション。
デビュー当時から仕事で福岡に行くことがあっても、実家ではなくホテルに宿泊していた。
その時その時で担当してくださっていたマネージャーさんたちも、
はじめは、あれ?ホテルでいいんですか?と不思議そうだったなー。
強いこだわりがあった訳じゃなくて、
でも、なんとなく、実家に帰っちゃうとそのまま風邪引いちゃいそうな気がして、ホテルの部屋をお願いしていた。
そのうち、福岡でライブや仕事があっても、ホテルか実家か尋ねられることもなくなって、月日が経って。
だけど、なんだろう、そういうのって突然くるんだね。
なんかもういいかなぁーって。
ここ最近ゆっくりした時間がなかったから、と
マネージャーさんが2泊3日仕事旅に1日休みをくっつけてくれたのも手伝って、実家に泊まろうーって。
何が良いのか、何がダメだったのか、全く分からないけど、もう、いいかなーって。
母が作ってくれた夜ご飯を食べ、入浴に順番があったことを思い出し、祖父が1番風呂をすすめてくれて、
お言葉に甘えて十分にあったまり、かつて自分が使っていた部屋の、かつて自分が使っていたベッドで愛犬と眠り、仕事に行った。
この家から毎日学校に通っていたことがあったなんて、冗談みたいだった。
わたしのことなのに、わたしはわたしがここでどう生活していたのか、どんな気持ちでいたのか、感じ取れはするけど、
それを自分以外の人に深く説明出来る自信が、全くなかった。
言葉にすると、それこそ嘘になってしまうような、壊れてしまうような。
だけど、大事なわたしの一部だってことだけは分かっていて。
そんなことを思いながらわたしは笑っていて。
ちゃんと23のわたしを生きれているんだって少し自信になって、
でもやっぱり同じようにいつかのわたしは今日のわたしを覚えていないだろうなって思った。
悲しいことじゃない、生きることは。
だけど、やっぱり、生きるのは忘れていくことでは、ある気がする。
かっらぽになればなるほど、きっと、いい歌が歌える。
福岡プロモーションの生放送TV、生放送ラジオは全部チェックしたらしい母が、最後の夜に本当に話すのが下手ねって。
知ってるよ、って笑いながら答えた。
わたしは、簡潔に物事を話すのがとても苦手。
楽器も上手じゃないし、好きなジャンル以外の音楽には疎い。
だけど、それでいいの。
武道館公演で歌っているときに、ポーンと生まれた、音楽は自我じゃないのかもしれない、って気持ち。
あの時は分かったような分からないような、全てがふわふわしてた。
でも、今は、わかる。
もっと、正直に。もっと、素直に。もっと、空っぽにする。
もっともっとがんばる、じゃない。
もっともっと、力を抜いて、もっともっと下手になるのも大事。