長い間、縁側に積まれたままになっていた新聞や本や雑誌。
その日も小学校から帰って来て、ただいま、おかえり、行ってきます!の速さで、遊びに行くつもりだった。
ランドセルを玄関に置いて、飛び出そうとしていた、その時、母に声をかけられた。
それ回収場所まで持って行ってくれる?
振り向くと、ビニール紐で十字に縛られた古紙の束が、いくつも、ある。
内心、うげーって感じだったけれど、
母も夕食を作り終えてまた仕事に戻る準備で忙しそうだったし、素直に従った。
ブーたれた気分で、ゴミ置場と家を出来るだけ往復しないで済む方法を考えた。
両手に紙束を無理矢理、四つ持った。
ビニール紐がただでさえ、手に食い込んで来て痛いのに、
四つ分の重さで、バランスが取れず、しっかり結んであった十字縛りがどんどんゆるくなっていく。
あとちょっと!あと十歩くらい!もう少しでゴール!と油断していたころで、紐が勢いよく解けた。
自分が横着した癖に、思わず癇癪を起こしそうになる。
散らばった広告紙や新聞紙を涙目で拾い集めていると、
去年リビングの壁に掛けていたカレンダーが混ざっていて、思わず手を止めた。
それは、私が気に入っていた絵本のカレンダーで、
毎月捲るのを楽しみにしていた。
写真や額縁に入っている絵はずっと大事にするのに、どうして、カレンダーは使い捨てなんだろう?
さっきの怒りをすっかり忘れて、その場にしゃがみ込み、暫くカレンダーの挿絵を眺めていた。
あれから時は流れて。
今年もスタッフさんに、2019年のカレンダーを作りたいのですが、と提案された。
正直なところ、全く乗り気でない私。
でも待っていてくれている人がいるのも、幸せなことだ。
どーしようかなぁーと考えていた時に、
小学生の頃のあのエピソードが蘇った。
そして、一生大事にして貰えるカレンダーを作りたいなぁって。
暦は毎年違うし、カレンダーはそれを確かめるものだから、
その年その年で新しいものを買い求めるは、当たり前のことなんだけど。
だけど、その年だけ使って終わり、じゃなくて、
ずっと大切してもらえるカレンダー、というものがあってもいいんじゃないかなぁって。
そして、みんなが大切にしてくれるそのカレンダーが、
私の作ったものだったら、どんなに嬉しいだろう。
そう思ったらどんどんやる気が出てきて。
私は落ち込んだ時、本棚の前に立つんだけど。
詩集を読むこともあるし、エッセイを手にすることもあるし、あの日の歌を聴くこともあって。
本当にたまーに、手帳を開くこともある。
細く分刻みで記されたスケジュールを見て、よく本当にこんなにも働いたなぁと笑ったりして、
この時踏ん張れたんだから、今もきっと大丈夫ってなめらかな勇気が湧いてくる。
私が今見ている、触れている、感じている、生活の風景を写真に収めて、
それに今の私が言葉を綴る、カレンダー。
2019年は、季節を感じながら楽しんで頂いて。
2020年になってカレンダーの役目が終わっても、本棚にしまっておいて。
落ち込んだ時にでも、大掃除する時にでも、取り出して、心を馳せて欲しい、何度でも戻って来て欲しい。
あー2月は恋人に振られたなぁ、とか、7月は仕事忙しかったなぁ、とか、10月はレオちゃんのライブに行ったな、とかさ。
振り返る時間も、大事だよ、たまには、ね。
そしてひとりきりで、ひっそりやることが、大事。
なので今回のカレンダーは、カレンダーだけど、今までとは違う新しい形のブック型の
手帳のような、ポエム集のような、カレンダーにしました。
カメラマンは、映像作家、写真家の島田大介さん。
いつかご一緒してみたいと思っていたアートディレクターさんのお一人だったので
念願叶って嬉しいです。
はじめてのセッションがカレンダー撮影になったのが意外な展開だったけど、
こういう予想外は楽しさしかないからいいなぁと思いました。
家入レオ2019年フォトブック型カレンダー「Memorial Calendar 2019」予約はじまりましたので
是非手に取ってください。
Photographer:Daisuke Shimada
Hair & make:Hiroko Takashiro
Stylist:Koji Oyamada
Designer:Kumiko Noda
Coordinator:tsujimanagement
詳しくはこちらから。
そして、2019年2月24日の「7th Anniversary Live at 大阪城ホール ~Premium Symphonic Night~」の
オフィシャルHP3次先行受付もスタートしました。
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