世界におはようって言いながらカーテンを開けて、ケトルでお湯を沸かしている間に顔を洗う。

 

白湯を飲んだら、お店のマスターに選んでもらった豆でコーヒーを淹れる。

 

窓ガラスの結露を見ながら今日袖を通す洋服を考える。

 

本当に幸せな時、人はもっと、なんて言葉を口にしない。

 

上出来、上出来ってひとりで小さく笑えるものだ。

 

欲しがるだけ欲しがって本当のものまで駄目にしていたあの頃の私は、穴の空いた砂袋みたいだった。

 

会っても、買っても、食べても、ぼんやりしてた。

 

あの日、あの時、あの瞬間を生きていたのは確かにこの身体だったけど、別の誰かだったような気持ちになる。

 

過ぎた時間を否定している訳ではなくて、むしろその逆だ。

 

とても静かでありふれていて落ち着いてる。

 

多分、こういう感じ、を繰り返して行くのが人生なんだろうな、って。

 

だとしたら人生のピークっていつなんだろう、とも考えたり。

 

まだまだそれが、それ以上が待ち受けていることに、それが始まったばかりなことに微笑みながら泣いてるような朝だった。

 

今日は撮影日和。

 

いってきます。