丸く収まる派?
VS
やっぱしダメだった派?
『ニューヨークの巴里夫』
2014年
セドリック・クラピッシュ監督
『カンバゼーションズ』
2006年
ハンス・カノーザ監督
それは、当事者以外誰も手の施しようの無い、複雑にからまった糸を紐解く作業。
2つの糸が切れないように、慎重に、慎重に。綱引きのようににらめっこして向かい合い、相手の様子を見ながら引っ張り合う。
あるいは、結局、最期には自らハサミを入れる決断をしなければならないときもあるかも。
この厄介な大人の問題、あなたはどう受け止めるかしらん??
かつて情熱的に愛し合った過去がある元恋人同士は、成熟してからまた再開を果たした際、やり直せるものなのか?
それともやっぱり、ダメなのかしら?
さて、同じ“腐れ縁問題”を抱えながらも、一方はハッピーエンド、もう片方はアンハッピーエンドな映画をご紹介するわね。
まずフランス人監督による昨年末に公開されたばかりの映画、『ニューヨークの巴里夫』。
こちらは“青春三部作”の最終章となっているので、第一部『スパニッシュ・アパートメント』、第二部『ロシアン・ドールズ』も事前にご覧いただいたほうが、主人公・フランス人小説家クザヴィエの抱える腐れ縁の訳あり度wを痛感して頂けると思うわ。
と言っても、あくまでこの青春三部作のメインテーマは恋愛や腐れ縁ではなく、主人公の人生のドタバタを描いた軽快なテンポとシニカルなジョークが心地よい笑える人生ドラマ。あまり気負いせずご覧頂けるオススメの最新作よ。
そしてもう一方が、アメリカ人監督による『カンバゼーションズ』。
こちらはタイトルのまんま、昔恋人同士であった2人が身内の結婚式に呼ばれ再会し、その2人の会話(カンバゼーションズ)だけでストーリーが展開、完結していく、というシンプルかつリアルなストーリー。
事件、事故、第三者の登場など、一切ナシ!!まぁとにかく、どシンプルな構成。ww
だけれども脚本が面白いと、こんなに映画て面白くなるのね。
しかも画面が真っ二つに分かれ、男女それぞれが映されるの。
これ、かなり皮肉な演出。
だって、会話という共同作業をしながらも、同じ空間にておしゃべりのキャッチボールをしながらも、
いかにカップルの男女が
違う視点を持っているか、
今現在抱えている想いの重さの落差を抱いているか
ということを、残酷なまでに浮き彫りにして見せているもの。ww
(だって、ニューヨークなどの人口密度沸騰都市で、元恋人たちが偶然出逢わせたり、恋人が知らない女を連れて歩く姿を目撃するなどの不幸なハプニングなんて、掃いて捨てる程あるでしょ。w)
さて。
私が、「これはさすがフランス女だわ」
と思った腐れマナーwは、
『ニューヨークの巴里夫』にて、主人公クザヴィエとシングルマザーとなった元恋人は、腐れ縁(家事を手伝ってもらう、子供を預ける、たまにセックスもする)を続けながらも、
束縛しない。
命令しない。
彼の人生に干渉もしない。
女の方は、上手に
“昔愛し合った男”としての唯一無二な存在をありがたみ、ぬくもりを感じながら、堂々と甘えたり頼ったりもする。
だって、ダメになってしまってしまったにせよ、昔、本気で愛し合い一緒に過ごした経験は、誰にも覆い被せられない事実。
だからとっておきの男として「あなた以外にこんなこと頼れる人なんて、いないんだもん」と甘えてみる。
もちろん、それが本音で、それ以上の望みもそれ以下の魂胆もない。このフランス流?、カラッとした腐れ縁ぶり。
フランスの女はさすがだと感心したわ。
そう言えば、フランス人は新しい彼女ができたら必ず元彼女にも紹介するだとか、元彼女、元彼氏とも仲良く友達付き合いを続ける、なんて話をかねて聞いたことがある。
この映画の中のカラッとした腐れ縁ぶりを見たら、ふーん、確かにそういうものなのかもね、と思ってしまったわ。
一方、「さすが、これがニューヨーク(都会)の元恋人 “あるある”バナシよね!!」と思ったのは、『カンバゼーションズ』での展開のリアルさ。
久しぶりの再会。腹の探り合い、駆け引き。その力関係はもちろん、
押す男、
かわす女、
という攻守態勢。
女は逃げる方が得意だもんね。
それは、強烈な自己愛のため。
あるいは、防衛本能という男には無いクレバーさのため。
男は追いかけてくれるけども、
その衝動はいつも常に誠実とは限らない。
だから、衝動にロマンを感じて、結局、ベッドインする。
そう!!!
絶対ベッドインすると思ったもの!!!!!w
これで、ベッドインしないで、2人でおしゃべりしたり飲んだりしただけで終わっちゃ、私、この映画を貶しまくってたと思うわ。www
これ、これ。
これが、大人のリアリティーよね。
さて、セックスをしたら、男は「城、落としたり!」と思うかもしれない。
でもね、落ちた訳じゃないのよね。
これからどうするか?
そんな事、女は概ね、最初から腹は決まってる。
さて、
アンハッピーエンドと、ハッピーエンドの映画の中の腐れ縁ストーリー。
皆さまは、
腐れ縁に希望を持つ派?
それとも、
やっぱり上手くいかないでしょ、なアンチ派??
いずれにせよ、
腐れ縁とは甘美でやっかいなもの。
きっとその自分の全盛期であった“当時”に置いてきたもの全て、今失くしたもの全てが輝いて見えるからか、懐かしさと愛おしさはなかなか途切れてはくれない。
ノスタルジーという厄介な魔法がかかっているのね。きっと。
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