2012年秋
夜のミナミ。ブラウンとコンビナンパをしていると、ひっかけ橋に座り込んでいる少女を発見した。
横には沢山の荷物。待ち合わせでは無さそうだ。
何してんの?
「さっき家出した…」
何歳?
「13歳」
寒空の下、彼女は居場所を失っていた。未成年だからネカフェにも泊まれない。
あまりにも可哀想だった為、彼女をうちに泊めてあげることにした。
ブラウン「やめた方がいいって。捕まったら洒落にならんよ」
ikasui「でも可哀想やん。とりあえず今夜だけでも…」
リスクを伴うことは分かっていた。深夜に少女と一緒にいるだけで条例違反だ。
でも…
誰かが助けてあげないと。
彼女を自転車に乗せ、うちに連れて帰った。
結局その子は、3日間うちに泊まった。即はしていない。
それから半年後の2013年春
朝8:00
出勤の準備をしていると、突然インターホンが鳴った。
マンションのエントランスからではない。部屋の入口からだ。
ドアを開けると、3人のおじさんが立っていた。
「◯◯警察です」
警察手帳を見せられた。一瞬にして血の気が引いた。ドラマでよく見る光景だ。何も悪い事はしてないはず…。
「去年、13歳の女の子を家に泊めたよね?」
誰のことか分からなかった。そんなことあったっけ?
しかし、女の子の名前を聞いて思い出した。あの子か…
でもなぜ今頃??
「これ、押収品ね」
押収品目録交付書という紙を見せられた。そこには「携帯電話機1台」と書かれている。
3人は部屋に上がり、室内の写真を撮り始めた。戸棚を開けたりはしないので家宅捜索という訳では無さそうだ。
彼等は15分程で出て行き、僕はケータイを押収された。警察署への出頭を命ぜられたが、本日の仕事には行かせてくれた。
仕事中、不安で仕方無かった。
これからどうなるのだろうか。刑務所に行くのかな…。そしたら間違いなく会社はクビ。
人生終わりだ。
仕事を終えた後、警察署へと向かった。数時間に及ぶ事情聴取、指紋採取、写真撮影を終え、ケータイを返却してもらった。
そして、後日また出頭し、計3回の出頭で全てを終えた。幸い、禁固や罰金は無く、会社にも連絡はいかなかった。
良いことをしたはずなのに悪者扱い。
でも、理不尽だとは思わない。これが社会のルールだ。
悪だと知っていて、法を犯した。当然の報いだ。
刑事さんに最後に言われた言葉がとても印象的だった。
「もしあの子が嘘でも『襲われた』って言ってたら、きみ終わってたよ」