参考文献 〜「脳科学が教えてくれた 覚えられる 忘れない!記憶術」(篠原菊紀) | ジャズベーシスト 池田 聡 のブログ

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参考文献 〜「脳科学が教えてくれた
覚えられる 忘れない!記憶術」(篠原菊紀)

 

 

 

 

 

「記憶力」の遺伝率は調査にもよりますが30〜55%くらいです。
(中略)
知能の遺伝率は80%位、数学能力は90%くらい、スポーツ能力は80〜90%、音楽能力は90%超と見積もられていますから、それらに比べたら記憶力の遺伝率ははるかに小さい部類です。(p5)

 

遺伝率が約80%とその影響が大きい知能の場合でも、「頭のよさは努力や工夫でどうにでもなる」と思っている人のほうが知能テスト(IQテスト)の成績が伸びやすく、「頭のよさは遺伝だ、素質だ」と思っている人のほうが伸び悩む、むしろIQの低下が起こることも実験的に知られています。(p6)

 

 覚えようとするネタ元は教科書やビジネス書でもネット情報でもかまいません。
 なんでもよいですが、それを単に読んだだけではもったいない。読んだ直後に目でもつぶって思い出してみる、リコールする、このひと手間が大事なのです。
 このひと手間を惜しむと、その後の学習量が増えてしまうのです。(p15)

 

「いやだな〜」「ストレスだな〜」とだけとらえていると、脳や体内にコルチゾールというストレス物質が増し、脳細胞のつながりを悪くしたり、場合によっては脳細胞を殺したりします。(p30)

 

何事もトレーニング、自分に役立つことだ。
自分をステップアップさせるありがたい機会だ。
そう思うことが脳を鍛えるカギであり、記憶力アップのコツでもあります。(p30)

 

人は忘れるものです。
それも悲しくなるほど忘れるのが当たり前です。(p48)

 

記憶を生み出すのにとくに大事な海馬では、五感の情報を統合するとともに、時間の情報も組み入れて、エピソード記憶をつくります。そしてエピソード記憶の主人公はおおむね自分。海馬は自分史をつくりあげる器官といってもいいので、自分がしたこと、体験したことは忘れにくいのです。(p62)

 

すばらしい記憶術、というのは結局繰り返しです。(p65)

 

地道な繰り返しをどう効率化するかだけの話。そこにしか、すばらしい記憶術はないのです。(p66)

 

長期記憶には、陳述的記憶(エピソード記憶、意味記憶)と非陳述的記憶(技の記憶など)があります。(p67)

 

ドゥエックによれば努力をほめられた子どもは、さらに努力が認められるようと難問にチャレンジするが、賢さをほめられた子どもは、自分を賢く見せるために、まちがうのを恐れるようになるといいうのです。(p77)

 

じつは、数学や物理は、歴史や地理などより海馬依存性が小さく、技の記憶的な側面が強いので、歴史や地理を覚えるような学習の仕方ではつまずきます。むしろ、スポーツを覚えるときのように、ある技を繰り返し、無意識化しないと使いものになりません。(p82)

 

 人は感動したことをなかなか忘れないものです。
 好きこそものの上手なれ。感情のツボにはまったストーリーは、そのときの感情とともにその細部まで、自分でもびっくりするくらいよく覚えています。
 こんなに記憶力かよいのに、なぜ、学校の勉強や試験のために学んだことは忘れてしまうのか。
 その1つの理由は、苦労して覚えたという思い出は、試験後や卒業後「せいせいした」という気持ちになりやすく、思い出す動機を失い、反復されないからです。
(中略)
一方で、感動でラッピングされた記憶なら、好き嫌いにかかわる扁桃体が強く活動し、海馬の情報ゲートがつくられやすくなる。(p95)

 

問題は覚えなければならないこと、そう面白いとは思えないことに、どうすれば感動できるかです。「無味乾燥な試験勉強の、どこに、何に感動すればいいの?」ということばが返ってきそうですが、無味乾燥と決めつけてしまうのが問題なのです。(p97)

 

脳に錯覚してもらうと感動は容易です。(p97)

 

感動にかかわるドーパミン神経はだまされやすい、暗示にかかりやすい神経系ですから、そう思い込もうとして損はない。(p97)

 

感動するために、もうひとつのカギとなるのは納得です。ドラマでいえば背景にある設定を理解し、「なぜこうなったのか」といった因果関係がストーリーとしてつながっていなければ、その内容に共感することはできません。(p98)

 

すべての勉強は、その背後にある多くの先人たちの感動を追体験することでもあります。(p99)

 

単純作業か、クリエイティビティーが要求される作業か、厳密に線引きはできませんが、後者であると判断される場合は、不安や焦りなど余計なストレスを脳にはかけないようにしましょう。(p102)

 

世のなかにはいわゆる逆境に燃えるタフなタイプもいますので、そのストレスが「過度」か「適度」かもまた、線引きは難しいです。(p102)
 
ワシントン大学のクロニンジャーによれば、人は生物学的にある程度決まっている気質を持っているとしています。
(中略)
なので、脳のくせを知っておくと、
「こう飽きっぽいのは脳のせいだから、ある程度はしょうがない。会社のリスクヘッジを考えるほうが自分の脳は楽しいらしい。人にほめられると、覚えがとくによい」
などと、よいほうに切り替えができるので、何かと便利です。(p105)

 

以下が脳の4つのくせです。
▪️「損害回避」……リスクを逃れたときに感動しやすいタイプ
▪️「新奇探索」……新しい刺激に対して感動しやすいタイプ
▪️「報酬依存」……周囲に認められると感動しやすいタイプ
▪️「完璧主義」……一つのできごとでブラッシュアップされたりすると、周囲とは無関係に、その完成度の高さに感動するタイプ

私たちは自分の中に、いくつもの脳のクセ=気質を持っています。誰しもが4つのタイプの要素を少しずつ持っています。(p106)

 

脳は鍛えればどんどん強くなり、記憶力もアップします。しかも脳のすごいところは、結果が意外にすぐ出ること。筋肉はいきなりのハードトレーニングでは筋肉痛になるばかりで、その痛みをこらえて一定期間続けないかぎり、目に見えての変化はありません。しかし、脳は速やかに変化します。(p151)

 

 がんばって覚えようとすれば、人間が人間らしくあるために発達・進化させてきた脳、とりわけ前頭葉と呼ばれる部分は活性化します。
 たとえそれが無意味な情報であっても、けなげに活性化してくれますから、このけなげさに感謝して、その隙に「無意味な学習」を「有意味にしましょう」「感動をくっつけましょう」「楽しいと思い込みましょう」。(p154)

 

逆説めいていますが、むしろ大きな桁数の数字を記憶できない人のほうが、脳の鍛えがいがあるともいえます。いわゆる「伸びしろがある」ということです。少ない負荷で簡単に脳のエンジンがパワーアップする点で、物覚えが悪い人のほうが、むしろ幸運な人なのかもしれません。(p155)

 

 記憶をよびたす際には、なんらかの「ひっかかり」があったほうが便利です。
 これを記憶の「フック」と呼びます。
 人の名前を記憶するとき、その人の顔やそのとき着ていた洋服、会社名や出会った場所などが理解のネットワークになっている。と同時にフックになっている。それがその人のことを思い出す重要な手がかりになります。(p166)

 

覚えたいこと、記憶しておきたいこと、それらに共通項をさがすのも効率につながります。(p167)

 

適切なまとまり(チャンク化)とフックづけ(関連化)でつながりを意識的に構築するということは、正しい理解がすすんで霧が晴れていくような心持ちになるものです。こうしたプロセスで準備・理解する労力を面倒だと嫌っていると、「ルール15」で紹介した「感動をともなう記憶」の境地にはとうてい至れません。(p168)

 

たとえば、スポーツで短距離を目指すような一流のアスリートたちの場合は、寝る前に練習日記をつけている人が多いそうです。これは、単に今日の練習メニューなどを記録しているというだけでなく、日記をつけているときに記憶の引き出しが行われて整理されます。そのときに再インプットによるイメージトレーニングがされていると思われます。このように寝る直前の脳の整理は、技の記憶の向上などにも役立っている可能性があります。(p195)
 
目次

ルール1 覚えようとするな、直後に思い出せ
ルール2 覚えようとするな、使え
 コラム① 脳の「ワーキングメモリ」ってなに?
ルール3 「チャンク2~3が脳の鍛えどころ」と知る
ルール4 ワーキングメモリ・トレーニングを行う
ルール5 耳から入る情報も「出す」、3でまとめる
ルール6 「パッと見」の一目瞭然パワーを活用せよ
ルール7 忘れるのは当たり前。直後、D、W、Mが大事
ルール8 期限があるなら「6で割ったタイミング」で復習
ルール9 最初のノートに勝負をかける
ルール10 脳の「出力依存性」を逆手にとれ
ルール11 中期記憶で勝負する
 コラム② 記憶の痕跡をトレースし、操作できる現代の脳科学
ルール12 賢さではなく、努力をほめよ
ルール13 やる気のメカニズムを知って、行動をほめる
ルール14 ひたすらほめるとうまくない、くやしさはしっかり抱える
 コラム③ 記憶力アップのカギは、運動、健康管理
ルール15 「感動」は記憶を定着させる
ルール16 不安は記憶のジャマをする
ルール17 脳のくせを知ろう
・自分の「脳のくせ」をチェックしてみよう
ルール18 怖がり屋の脳に「安心優先」の工夫を
ルール19 移り気なようには「ゲーム性」などの刺激を
ルール20 周囲に認められると脳も頑張る
ルール21 興味の幅で可能性が広がる「天才肌」の脳
 コラム④ 人とのかかわり、はらはらどきどき、が大事
ルール22 「おだて」にのりやすい脳をのせる
ルール23 「主人公」感覚が記憶効率を上げる
ルール24 自分は「アクション俳優」だと思え
ルール25 自分は「クイズ作家」だと思え
 コラム⑤ ミラーニューロンってなに?どういう働きがある?
ルール26 脳のメモ帳は「平時」と「有事」で使い分け
ルール27 覚えようとするだけで脳は活性化する
ルール28 覚えたいなら、とことん観察
ルール29 英単語は「まとまった文章」で覚えよう
ルール30 記憶のフックをつける
ルール31記憶するなら「理解」せよ
ルール32 参考書や問題集は、きれいに使うな
ルール33 スキマにスマホはやめなさい
ルール34 「三日坊主」は続けることに意義がある
ルール35 「いつもの習慣」が脳を前向きにする
ルール36 学習時間を「15分単位」で組み立てる
ルール37 寝る間を惜しんではいけない
ルール38 朝からテレビなんてモッタイナイ
 コラム⑥ 数学は脳にとってスポーツと同じ?

オマケのヒント1 意識してコーヒーブレイクをとることも記憶の定着に良い!
オマケのヒント2 お口の恋人「ガムやあめ」と上手につきあおう
オマケのヒント3 脳がよろこぶ食材を日々の食卓に
オマケのヒント4 ほんの少し仮眠でも記憶力はアップする!
オマケのヒント5 記憶力をアップさせるため目を動かして脳の「こり」をほぐそう

 

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