【巡禮記熊野 先達 記録 (一部抜粋)】
青岸渡寺 にて
(本尊 如意輪観音様)
【如意輪観音様のお智慧】
如意輪観音様は字のとおり、
意のままに、意の如くあるように、つまり
当たり前のことを当たり前にあれという
ことをおっしゃる仏様です。
たとえ大勢が、王様の衣装は素晴らしい！と
思考を放棄した嘘の笑顔で褒め讃えても、
裸の王様に「裸だ」と言える、
自分の感覚で捉えた正直さのままの
"個性"を当たり前に生きる者に
智慧を与え応援してくださいます。
そして、もし
個性を抑えられた世界にいても
自分のルーツはごまかしようがないんです。
誰と誰がまぐあって生まれてきたという
事実は変えられない。みんな誰かと誰かが
連綿と命つないで、生まれてきました。
ですから、
素直に手を合わせて先祖に
「血肉分けていただき
ありがとうございます。」
神仏に
「生まれて命を生きていることを
喜べることをありがとうございます」
は言えると思います。
あなたの実感として本当のことだから。
けれども、近頃は感謝だけをしなさいと
言われ過ぎていたり、(感謝などは個人ごとに
湧いてくる感覚であるのに)
実感の伴わない事にまで理屈をつけて
「ありがとうございます」と言わされている
のをよく聞きます。
人に言わされたり思わされたりしてきた事で
自分が生まれてきたことに対しての
否定をしていないか、よく考えてみて下さい。
あなたは父母を選んで生まれて
きたんだよ、だからそう思って生きろと
言われても、その記憶は実際には
ほとんどの人が実感としてないでしょう。
ただ、そこに回向(えこう)の気持ちが
実感としてあるんなら
それを選んで感じながら生きることはできます。
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※回向 えこう
命がずっと繋がって自分が居ることへの回帰。
だから体内記憶などの刹那よりも悠久で
重要ですー
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つまり、
父母がいて、先祖がいて自分が生まれて
ここにいることが実感できるなら
そこに初めてありがとう、が言えるんです。
選んで生まれてきたから
感謝をしなければならないのではなくて、
実感があるものに感謝してください。
その口で、その目で、全てで実感した
本当のことを言いなさい、見なさい、と
如意輪観音様はおっしゃいます。
如意輪さまの「如意」に生きるとは
当たり前のこと、素直に実感するものを
大切にしていくという智慧です。
そう生きる幸せを祈りながら回向の気持ちを
忘れないことを供養と言います。
ですから、ルーツを知ることが供養です。
ルーツの中で特定の人たちが浮かんできたら
その生き方を知ることも供養になります。
どんな人たちが自分の後ろにいて、
今生を手伝おうとしてくださっているかを
感じて、温かな応援としてゆく生き方です。
(巡禮記 熊野先達中 須佐厳さんお話より)
