前回に引き続き、コンドームと性病について考えます。

 前回お伝えしたように、日本の現状として、コンドームの出荷数は減り、性感染症の罹患率は上がっています。

 世界のコンドーム市場と日本のコンドーム産業の 調査と戦略の考察

 こちらのPDFから画像をお借りしました。


 ここ10年を見ると、淋病やクラミジアは減少してきていますが、梅毒は増加、AIDSは微増から横ばい、ヘルペスやコンジローマは横ばいです。 

 性感染症報告数の年次推移 厚労省
 
 あいかわらず、コンドームの出荷数は右肩下がり。

 そして、こちらの記事にもあるように、

 無防備なオーラルセックス注意 「コンドーム使用率は約2割、女性器にはラップも有効」
 m3.com 2012年11月26日


  
厚生労働省が、オーラルセックスへの警鐘を鳴らしています。

 記事によると、オーラルセックスは、10代後半-30代の性交経験者のうち約7割が経験。

 これは、若者が望まない妊娠を恐れるために、膣でのセックスよりオーラルを選ぶ事が多いという最近の傾向なんです。

 その際のコンドーム使用率はわずか 約2割という報告があるそうです。

 こちらも前回ご紹介した論文、

 性産業労働者(CSW)でのSTD感染に関連する要因の検討 : クラミジア感染とコンドーム使用状況を中心として 神戸大学医学部保健学科紀要 18, 161-170, 2002 

 を見ると、CSW=性産業労働者におけるコンドームの使用率は、お客相手の腔性交時が63.8%、オーラルセックスでは8.7%

 オーラルセックスにコンドームを用いることは少ないんですね。

 オーラルセックスで感染する主な病原体は、淋菌、クラミジア、ヘルペス、梅毒トレポネーマなど。

 記事では、「これらが咽頭に感染しても自覚症 状が乏しいことから、気付かないまま性行為を行い、感染の蔓延につながる可能性があると説明している。実際に、性器淋菌感染症者の10-30%、性器クラ ミジア感染症者の10-20%の咽頭から菌が検出されている。」と書かれています。

 抗生剤の効かない「スーパー淋菌」が見つかったのは2014年京都のCSWの女性の咽頭からでした。

 ここを警戒した厚労省が作ったのがこちらのポスター、
 


 国立感染症研究所の先生曰く、最初このポスター、口腔性交という言葉が使われようとしたとか。

 それでは若者に伝わらない、はっきり「生フェラ」と書いてくださいと要請したところ、オーラルセックスで落ち着いたとか。

 誰に何を伝えたいのか。

 頭が硬いのも困りものです。

 この話は置いておいたとしても、性病の予防にはコンドームがまず必要不可欠。

 婦人科的に言うと、望まない妊娠を避けるにはピル、性病を避けるにはコンドーム。

 コンドームでも防げない性病もありますが。

 性病は対岸の火事ではありません。

 オーラルでもうつります。

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