ホルモンとからだの学校iL-MANO(イルマーノ)助産師の赤堀眞里です。

今日はこちらのニュースから。

「不妊治療 三人の遺伝子世界初の出産」 毎日新聞 2017.1.19

 

「ミトコンドリア置換」と呼ばれる体外受精技術を使い、不妊治療目的では世界初とみられる子が、ウクライナの首都キエフの不妊治療施設で生まれたことが分かったそうです。 

 

 私たちの遺伝情報DNAは細胞の核という場所に格納されています。

 

 

 

 大部分の遺伝情報はこの核にあるDNAなのですが、これが全てでは無く、細胞内の小器官であるミトコンドリアにもmtDNA(ミトコンドリアDNA)という独自の遺伝情報があります。

 

 一つの細胞に数百個から数千個あるとされるミトコンドリア。

 

 その一つ一つにmtDNAがあります。

 

 このmtDNAは完全母系遺伝なのですが、その話は今回置いておいて。

 

 A子さんの細胞から核を取り除いてそこにB子さんの核を移植すれば、それは大多数がB子さんの遺伝情報を持つ細胞となります。

 

 しかし、少ないながらもミトコンドリアのDNA=遺伝情報はA子さんのままです。

 

 今回の「ミトコンドリア置換」は、卵子提供者のA子さんの卵子とC男さんの精子で体外受精で受精卵を作り、その受精卵の核をB子さんの核に置き換えたというもの。

 

 この受精卵はC男さんの遺伝情報とB子さんの核DNAとA子さんのmtDNAを持つことになりました。

 

 そのため、三人の遺伝情報を受け継ぐ。

 

 生殖医療についてはよく記事を書かせていただいていて、この「ミトコンドリア置換」についても以前の記事で書かせていただいています。

 

 その時はミトコンドリア病の遺伝を阻止するためという遺伝病対策としての医療行為でしたが、今回は不妊治療目的。

 

 細胞のエネルギーを合成しているいわゆる発電所のミトコンドリアが、加齢などで機能低下してエネルギー不足で不妊になるという考え方に基づき、健康なミトコンドリアと置き換えることで「卵子の若返り」を図るという理論だそうです。

 

 さまざまな病気がミトコンドリアがうまく働かないから起こるのだとする考え方もあります。

 

 ましてやミトコンドリアを10万個持つとされる成熟卵子ですから、ミトコンドリアの機能低下により不妊になるという考え方もなるほどというところ。 

 

 卵子の若返りを図るための核移殖。

 

 そのための生まれた子は遺伝的に三人の親を持つことになる。

 

 これをどう考えていくか。

 

 やはり生殖医療は難しいですね。

ミトコンドリアな置換」と呼ばれる体外受精技術を使い、不妊治療目的では世界初とみられる子が、ウクライナの首都キエフの不妊治療施設で生まれたことが分かった

ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170119/k00/00m/040/123000c#csidxd0bb6b73cfc450486bb0f76c24fd308
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「ミトコンドリア置換」と呼ばれる体外受精技術を使い、不妊治療目的では世界初とみられる子が、ウクライナの首都キエフの不妊治療施設で生まれたことが分かった。

ニュースサイトで読む: http://mainichi.jp/articles/20170119/ddp/041/040/017000c#csidxf2d0ec4590be02c9142d72e06495998
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3人の遺伝子、世界初の出産