ホルモンとからだの学校ilmano 助産師の赤堀眞里です。

「性暴力と法律」について書いています。

今日のテーマは性の多様性と法改正


前回の記事を読んでいろいろな憤りを感じた方は少なくないと思います。

これでも、時代に合わせて進化はしているんです。

 

2017年7月13日

110年ぶりに大規模な法改正がなされ施行されました。

従前の強姦罪、準強姦罪が強制性交等罪、準強制性交等罪に変わりました。

 

参考にさせていただいたのはこちらのサイトです。

刑事事件弁護士ナビ 強制性交等罪とは|構成要件と強姦罪から改正されたポイント

110年ぶりの法改正のポイントは4つ

  1. 「強姦罪」→「強制性交等罪」に変更
  2. 強制性交等罪(強姦罪)の厳罰化
  3. 強制性交等罪(強姦罪)・強制わいせつ罪などの非親告罪化
  4. 監護者わいせつ罪・監護者性交等罪の新設
強姦罪とは、

刑法第177条

暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫(かんいん)した者は、強姦の罪とし、三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

 

姦淫かんいん、まずこの定義が「男性器を女性器に挿入する」なんです。

女性に対して男性が行う行為で、しかも膣性交に限定されています。

被害者は女性で加害者は男性、に、限定された法律だったんです。

その上、膣以外の性交は認められなかった。

当然、被害者が男性の場合はさばいてくれる法律がなかったんです。

 

昨今、性の多様性が認められ、性的指向も認知されてきたため、様々な性暴力に対応すべくこの法改正が行われたと思われます。

 

刑法第177条(強制性交等)

十三歳以上の者に対し,暴行又は脅迫を用いて性交,肛門性交又は口腔性交(以下「性交等」という。)をした者は,強制性交等の罪とし,五年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の者に対し,性交等をした者も,同様とする。

 

これによって、被害者も加害者も男女を問わず、膣性交以外も罪に問えるようになりました。

 

罪は厳罰化され、親告罪ではなくなったことで、本人の訴えがなくても立件することができるようにもなりました。

 

さらに、18歳未満の子供を監護・保護する立場の親などがその立場を利用してわいせつ行為や性交等を行った場合に処罰される「監護者わいせつ罪」「監護者性交等罪」も新設されました。

親や保護者による性暴力も多いんですね。なんとも悲しくやりきれない気持ちになります。

先日の19歳の被害者女性が18歳未満だったら、この法律に則って、判決は違ったと言われています。

 

今の時代に合わせるべく、まさに110年ぶりの大幅な改正です。

 

素晴らしい法改正のように思われますが、前回書いたように、法律の隙間・落とし穴もあるようです。

まだまだ、見直していただけたらと思います。