ホルモンとからだの学校ilmano 助産師の赤堀眞里です。
普段は生殖医療の現場で働いています。

「人の妊孕力は下がっているのか?」

今、20代で生殖専門の医療機関に受診される方は少なくないです。

2015年8月
日本産科婦人科学会では、それまでの不妊症の定義「生殖年齢の男女が妊娠を希望し,ある一定期間, 避妊することなく性生活を行っているにもかかわらず,妊娠の成立をみない場合を不妊という.そ の一定期間については 1 年から 3 年までの諸説が あるが,2 年というのが一般的である.」
から
「その一定期間については 1 年というの が一般的である.」
に変更しています。   

1年間、避妊をしないで性生活をもっても妊娠しない場合は「不妊症」となるわけです。
     
これは、早くに医療に関わりを持った方が結果が出やすいですよという事。
そして、病名がついた方が医療が受けやすいです。
何故なら、病名がつくと保険適用になる事があるからです。

2年を1年に縮めた意味は、早く検査を受けた方がいい人が多くなっていると考えられます。

毎月生理が来ているから妊娠出来る、勃起射精が出来るから妊娠出来る、ここがそうではない場合があるんです。

20代の若い世代でも、精液の検査をしたら精子がほとんど動いていませんでした、なんて事があります。
生殖医療の現場にいるからそう感じるのかもしれませんが、精液の所見が悪い男性多いです。
過労やストレスから所見が悪くなる事もありますが、そういった因子だけではない印象があります。

生理が毎月来ていても卵子の在庫が少ない人がいます。
卵子の在庫があっても卵子の質が良くない人もいます。

それでもまだ、20代だと妊娠出来る人は少なくないです。
35歳を過ぎると難しくなるのは、もう常識だと思っていいと思います。
40代は更に厳しいです。
妊娠適齢期は昔からあまり変わらないと考えた方がいいと思います。

年齢を差し引いても人の妊孕力は下がってきているように感じます。
厳しい時代になってきていると思います。
どうか過信はしないで下さい。
妊娠を望むのであれば、一度検査を受ける事も大事だと思います。