ホルモンとからだの学校ilmano 助産師の赤堀眞里です。
普段、生殖医療の現場で働いています。

前回「男の妊活 はじめの一歩」と題してTENGAメンズルーペを紹介しました。
私が危惧しているのは女性より男性。
今日は男性不妊の原因について書きたいと思います。

男性不妊の原因は、射精がうまくいかない場合(性機能障害)と、射精される精液の中の精子の数や運動率が悪くなっている場合(精液性状低下)にわけられます。

射精がうまくいかない性機能障害には、いわゆる勃起に問題があるED、以前に警鐘を鳴らした挿入はできるけれど射精に至らない膣内射精障害、膀胱側に射精してしまう逆行性射精などがあります。
逆行性射精は糖尿病の方に起こりやすい病態です。

射精される精液の中の精子の数や運動率が悪くなっている精液性状低下は軽度・中等度のものと、高度および無精子症にわけられます。

軽度や中等度のものは、精巣での精子形成や、精巣上体での運動能獲得過程に異常がある造精機能障害が考えられます。
体調やストレスによる一過性のものもあれば、精索静脈瘤が原因で手術により造精機能が回復する場合もあります。

高度になると、上記の造精機能障害に加えて、脳のホルモンの分泌低下による低ゴナドトロピン性性腺機能低下症、停留精巣の手術後やおたふく風邪による耳下腺炎性精巣炎によるダメージなども考えられます。

さらに無精子症には、精子は作られるものの精液中に出てこない閉塞性無精子症と、閉塞が無いのに精子が作られない無精子症があります。
閉塞性無精子症には先天性両側精管欠損症や精巣上体炎後の炎症性閉塞、鼠径ヘルニア手術等があります。
閉塞がない無精子症は、そのほとんどは原因不明ですが、染色体異常であるクラインフェルター症候群(47XXY)がみられます。



前回、はじめの一歩でTENGAメンズルーペをご紹介しましたが、妊活男性であれば男性不妊外来での精液検査をお勧めします。
メンズルーペでは表面的な事しかわかりません。ただ動いていれば良いのでもありません。
専門家のしっかりとした評価を受けてみることが大事だと思います。
一度男性不妊外来に受診されて下さい。
パートナーと一緒に不妊外来を受診しても殆どの施設で精液検査はできます。
男性の検査は精液検査から。

参考・引用サイト