一般論としては、政党は民主的に運営されることが望ましい。民主的運営には様々の側面があろう。公職候補者の選定、党の政策路線の策定の他に、党指導者の選定も重要である。党の最高指導者は、公開されたルールに則って、公正かつ民主的に選ばれることは、一応望ましいとは言えよう。一応と言ったのは、実は政党内民主主義自体の必要性については、異論もあるし、どの程度の民主化が望ましいかとなると議論百出と言ってよい。この問題については、ここでは、これ以上は踏み込まずにおく。とりあえず、党首の決め方について考えたい。

 まず、アメリカの民主党や共和党のように、そもそも党首と言う地位自体が無いという奇天烈な例もある。また、最近のドイツ社会民主党は、党首が制度として2人いるようだ。英国保守党においては、長らく、党首とは「自ずと現れる」(emerge)ものとされ、どんな形であれ複数の候補者が白日の下で争う選挙というものは無かった。しかし、そうもうまくはいかなくなって、所属議員の投票によってデイヴィド・ヒューム氏が党首の座に就いたのは、1964年のことである。

 我が国においては、自民党総裁は、ルールの変遷はあっても、公選を原則としてきた。熾烈で、かつ清潔とも言えぬ面もあったにせよ、たとえ僅差でも勝者を総裁として認めて従ってきたことは称賛に価する。

 翻って、自民党に対抗する野党はと言うと、一応野党第1党ということになっている立憲民主党は、枝野現代表のオーナー企業と言うと言い過ぎかもしれぬが、支持盤石でもあり、2017(平成29)年の10月の結党当初は代表選挙について喫緊とはされなかったのは理解できる。しかし、いずれは代表選挙を実施するということで、将来選挙規則を定めることとされていた。党内選挙過程に関心のある私は、未だできないのかと折に触れて公式サイトを訪れていたものである。しかし、一向にできる様子がなく、最近はしびれが切れて見ることもなくなっていたところに、以下のニュースに接した。

 325日付の読売新聞が伝える所では、立憲民主党は、前日の常任幹事会で、代表選挙規則の骨子を了承したという。内容は、投票資格により異なる持ち点制で、結構複雑である。最終決定ではない事を断って概略を紹介しよう。

 まず党所属国会議員20名以上の推薦により立候補できる。そして、現職国会議員に2ポイント、国政選挙公認予定者には1ポイントを与える。その総計数の半分、つまり全体の4分の1のポイントを地方議員に、さらに同数を党員に配分する。それぞれ郵便投票で、ドント式で候補者に配分するという。ただし、これ以上の委細は不明だ。

 確定してもいないことでもあり、方法自体の評価はしない。ただ、「立憲パートナーズ」とか称する準党員に投票権を認めなかったことは、当然とはいえ喜ばしい。というのも、正式の党員とは異なり、日本国民でなくとも取得できる資格であり、外国籍のパートナーもいるのであろうからだ。かつての、民主党代表選挙では、外国籍党員にも投票権があった。それについては、もう10年も前の201097日、このコラムで、「もう一つの外国人参政権問題」と題して触れている。興味のある方は、読み返していただきたい。

 国会議員数で立憲民主党に次ぐ野党第2党の国民民主党が、201894日に、公開された手続きに則って複数の候補者が争う党首選挙を実施している。この点では後れを取ったとはいえ、今秋には、漸く政策論議を伴う代表選挙が行なわれるとしたら、日本の政党政治のために慶賀すべきことであろう。

                        331日深夜 脱稿