一発のタックルが流れを変える。たとえ、それが試合を決定付ける場面でなくても。

 前半20分すぎまで、ゲームを完全に支配したサントリー。早稲田は主導権を握り、相手をあせらせるような展開に持ち込みたかったが、思い通りにさせてもらえなかった。その結果が0対24。

 サントリーはハイパント攻撃を徹底。中盤ラインアウトからもモールを押してからハイパントをあげ、早稲田に前に出るディフェンスの持ち味を出させない。早稲田のフルバック田邊選手に圧力をかけてターンオーバーを奪う。前半20分すぎまでと変わらず、バックス展開せずに浅いパスで密集をサイドを攻め込む。サントリーのスクラムハーフ田中選手が積極的にラックサイドを突く。順目にフォワードをつかせてから、逆目をピックゴーで攻めて、相手ディフェンスの反応を遅らせる。

 いつしか、早稲田の前に出る動きがとまりはじめた。サントリーの山下選手がボールを持った場面では密集周辺からの内側から出る押し上げがなく、山下選手が内側に切る動きで自由になる場面もあった。浅いパスで近場を攻めて、相手の前に出る動きを止める状況を生み出した。

 自分たちの強みを奪われ、ゲーム序盤からサントリーの接点の強さに「受けた」格好となった早稲田。

 しかし、早稲田フッカーの有田選手のタックルから流れが変わった。サントリーのラインアウトからコンタクトの強いロッキー・ハビリの突進に、有田選手がスピードを変えないまま激しくタックル。体を痛めながらも、上半身へのタックルでハビリの自由を奪った。

 ここから早稲田の体が当たり始めた。フランカーの中村選手からターンオーバー。サントリーのペナルティも目立ったが、早稲田の素早い仕掛けでゲームが動き始める。インターセプトの連続で攻撃が幾度も入れ替わった。

 早稲田がジャッカルからノットリリースの反則を奪い、ペナルティゴールで3対24。さらにサントリーのハイタックルからペナルティゴールで6対24まで差を詰めた。

 力を出し切れないまま前半を終えた早稲田。ただ、流れは少しずつ変わっているようにみえた