どんなに優れた突破役がいても、走らせなければピンチは来ない。

 サントリーは序盤戦、前のめりに攻めず、ゲームを支配した。

 ゲームを巧みに指揮したのは、スタンドオフの曽我部選手。追い風も味方につけ、キックを中心にゲームを組み立てた。

 原則としてハイパントやキックパスで、ボールを再獲得するチャンスをにらみながら、地域を確実に獲った。

 三洋電機の強みは突破力のあるフォワード。ディフェンスでは一人ひとりの強さがあり、少ない人数でターンオーバー(ボールを奪い取る)してから一気に攻める。

 だが、曽我部選手は、そのリスクを回避するかのように、冷静にキックを重ねた。

 三洋電機も前半だけに堅めのゲーム運び。サントリーのキック合戦に付き合った。ボールを持って走る展開にならない。サントリーがランで攻めなければ、ターンオーバーする展開も訪れない。

 さらに、サントリーの強みであるスクラムでも三洋の突破力を奪った。一番の林選手が一気にプッシュし、右方向へのエイトサイドを消した。ボールも奪い取った。やはり、三洋のランナーの自由は奪われた。

 三洋のディフェンスは強く、厚いが、大きく前に出ない。伸びるパスが放れる曽我部選手。フラット(水平)な位置まで上がり、長く、早いパスで、縦に強いセンターのライアンニコラス選手を当てる。フォワードも、いつもより遠めにフラットな位置でもらう。
 
 ゲインラインの近くでクラッシュすることで優位な接点をつくれば、ボールを失う可能性も減る。前に出ないディフェンスに対し、遠くフラットな位置にボールを運んだ。 

 三洋はペースを握れない。ウイングを巻き込んでから展開してラック、次の展開で逆目に折り返し、空いたスペースに裏キックを上げる攻撃も、トライまではたどり着かず。

 サントリーは地域を支配し続け、ペナルティから確実にゴール3本を重ねた。9対0。

 試合前に綿密に組み立てられた戦略。選手たちは誤りなく遂行し、想定通りにゲームを運んだ。

 
 
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