慶応は、早稲田に勝てなかった。


関東大学対抗戦の全勝対決は、20対20の引き分けに終わった。


個々の能力が高い早稲田にどう勝つのか。その戦いに慶応の知があふれていた。


慶応はキックを取ったら、自陣からでもカウンターで攻めた。


早稲田のハイパントを封じ込めるためか、外側の防御の薄さを見切ってか。


早稲田がペナルティーゴールで先制した後のキックオフ。


慶応が、自陣10メートル付近まで蹴りこまれたボールをキャッチ。通常ならば蹴り返す場面だ。


だが、迷いなく走った。


両センターの戻りの早さが試合前の準備を十分に感じさせる。


多くの人数でラインを作り出し、逆サイドの大外まで一気に展開。


大きく前へ出た。そのラックから再び大きく、逆方向に振り戻す。


スタンドオフから飛ばしパス、プロップから、さらに飛ばしてウイングへ。


密集に近い内側の選手が思い切り前に飛び出してくる早稲田の防御をかわす。


乱れた外側の防御をかわし、一気にトライ。前半6分、慶応が5対3で逆転に成功した。


ペナルティゴールを取り合って8対6となった後、同じような光景が繰り返された。


慶応はカウンターからスクラムハーフがサイドを抜き、つないで突破した。


再び飛ばしパス2つで、内側の圧力をかわしてトライ。


前半16分、慶応が13対6と突き放す。


フルバック田邊選手の負傷退場もあり、ロングキックの蹴り合いで追い込まれていく早稲田。


得意のハイパントに活路を見出した。


早稲田が敵陣ゴール前にボールを高々と上げ、慶応のキャッチミスを突いて同点のトライ。


13対13の同点で前半を終えた。


迎えた後半。早稲田は流れを変えようと、自らの強みであるハイパントとモールに徹した。


180センチのセンター村田選手らが、ハイパントを競り合い、確実にボールを奪う。


キックで地域をとり、敵陣で戦いたい慶応だが、思うように前に進めない。


一進一退の攻防が続いたが、再び慶応の知が事態を打開した。


バックスがパスを内に返して突破。この試合、2回目。おそらく、激しく防御で前に出る早稲田の体の向きを研究しての動きだ。


ラックからスクラムハーフが、早稲田ウイング早田選手の裏にキックを転がす。


このボールを追ったのは、慶応プロップの川村選手ら。


その動き出しの早さが戦い方の浸透度をうかがわせる。


キックしたボールを拾ってトライ。20対13。


ゲームを支配する慶応。このまま勝利を手繰り寄せるかとも思われた。


しかし、試合の流れは変わった。


後半21分、早稲田はスタンドオフに山中選手を投入。慶応は、1対1で勝負できる山中選手を封じ込めることができない。一歩、半歩前に出られる。


さらに、決定的だったのが、慶応陣10メートルでのスクラムコラプシング(スクラムを落とす反則)の笛。


一般論だが、よほど力の差がない限り、中盤で故意にスクラムは落とさない。


だが、試合の流れを大きく左右する笛は鳴った。


そこから、慶応は自陣ゴール前にくぎ付けになる。


早稲田のラインアウトモールに我慢するが、たまらず反則。その繰り返し。櫻井選手がスクラムハーフに入り、攻めるテンポが上がった早稲田の展開もしのいだ。


最後は、力尽きた。


早稲田のラインアウトモールにかろうじて耐えたが、ラックからパスを受けた山中選手の前が空いた。


もう、とめられない。


20対20。結果は同点。


反則数を数えれば、早稲田が6に対し、慶応が倍以上の14。


慶応から勝利が逃げていった。



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