帝京の赤い壁は厚く、早稲田の黄金世代を封じ込めた。

 9日の全国大学ラグビー選手権大会決勝。試合終了まで、残り、わずか4分。5点差を追って自陣ゴール前でボールを回し続ける早稲田。帝京のタックルが激しく突き刺さる。ボールを継続できるか、奪い取るか。最後も、ボール争奪戦を制したのは帝京だった。試合終了を告げるホーンとともに、国立競技場に赤いジャージが揺れた。17対12。「帝京の良さを前面に出せたことに尽きる」と帝京の岩出雅之監督。帝京は2連覇を成し遂げた。

 元高校日本代表がメンバーに並ぶ早稲田。主将の有田隆平選手や指令塔のスタンドオフの山中亮平選手ら4年生の代には、高校エース級が揃った。関東大学対抗戦では優勝をつかみ取り、全国大学ラグビー選手権準決勝では、復活ののろしをあげた明治大を64点差で圧倒した。だが、迎えた決勝の帝京戦。爆発的な得点力を持つ高速バックスは沈黙した。

 帝京は強みに徹しきった。スクラムを制圧し、早稲田の攻撃の起点を奪った。ゴール前のペナルティゴールを狙える場面でも、あえてスクラムを選択した。信念は揺るがない。帝京のプロップ吉田康之選手の強烈な押しが、1年生の早稲田プロップ垣永真之介選手の上半身をめくる。帝京フォワードの雄たけびが響く。スクラムで早稲田の反則を誘い、ボールを奪った。主将の吉田光治郎主将は「前3人がしんどい練習を頑張った1日1日の積み重ねが出た」とスクラム最前列をたたえた。

 帝京の先制トライも、ファーストスクラムを選択したのが始まり。前半6分、早稲田自陣のゴール前で帝京がスクラムをプッシュ。さらにモールで圧力をかけ、最後は主将の吉田選手がトライラインを割った。その後は「少しずつ刻んで刻んで得点に結びつける」(吉田主将)展開。スクラムとモールの圧力で早稲田の反則を誘い、4つのペナルティゴールで、少しずつ早稲田を引き離した。

 早稲田は走らせてもらえなかった。フルバックの井口剛志、ウイングの中濱寛造、中づる隆彰の3選手のバックスリーは大学随一。キックを捕ってからのカウンター攻撃が最大の得点源だ。ただ、帝京は自陣からも、ほとんどキックを蹴らない。ティモシー・ボンド、ヘンドリック・ツイの外国人選手を中心に、密集近くでサイド攻撃を仕掛ける。自陣でボールを奪われれば一気に得点される危険性もあるが、あえて攻撃権を譲らず、じわじわと前に出た。

 決して、華やかではないラグビー。トライ数も早稲田が2本に対し、帝京は1本のみ。「どこまで粘り強くいけるか。しぶとくやれるか」という岩出監督の指示通り、勝つためのラグビーを最後まで貫いた帝京の勝利だった。



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