私は鑑定人の職能からか、UFO写真や心霊写真の真贋についての監修依頼を受けてきた。
放送倫理番組向上機構の規制によって、テレビは迂闊な画像を流せなくなったからである。
BPOが設立された2003年頃から多くの画像を検証に携わってきた。
業務の内容は持ち込まれた心霊現象・UFO画像・UMA画像等々・・・・
私は、超常現象実務を担っていたこととなる。
・
当然ながら超常現象の画像がおいそれと撮影できるものではない。
そのためテレビ局から持ち込まれた画像群を
「単なる自然現象」
「改ざん画像」
「作為画像」
といって延々と突き返すことが専らの仕事となる。
一見、簡単そうに見えるが、レンズ特性・自然現象等々、様々な知識が必要だ。
また、たった一度でも間違えると、実務者としては致命的で、二度と呼ばれなくなる。
超常現象実務者とは、経験と実績がモノをいうシビアな信用商売。
多くの実務者が姿を消す中、私はなんとか17年間ノーミスでやってこれた。
以前の記事でも述べたとおりである。
・
ところで、私の元には実に様々な画像が持ち込まれた。
稚拙なものから、我々プロの目を以てしても唸る高度な技術を用いたものまで・・・・・
これらはテレビで流すことができない画像群である。
逆にBPO規制前の昭和から平成中期までは何ら検証なく垂れ流していたことの方が驚く。
テレビで紹介された霊能力者が高額な祈祷料を巻き上げていたことは記憶に新しい。
こういった事件は起きるべくして起きたと言えるだろう。
・
ちなみに、ここ10年程前から、テレビは超常現象を忌避している。
視聴率はとれるが、偽物を流すわけにはいかないからだ。
逆にこれらの画像・映像が偽物と暴く方向へと舵を切っている。
インターネットに挙げられる映像・画像群にあまりにも偽造・改竄・作為が多い。
これらの事象を逆手に取ったのである。
小職はUFOと心霊現象が偽物であると暴く番組に解説者として出演した。
そのハナシは面白いのであるが別の機会にしよう。
・
画像真贋判定の実務に携わって強く感じることは、改竄画像は年々増えてきた事である。
スマホやPCの性能向上により、改竄画像の技術的敷居が下がったためであろう。
その反面、皮肉な話だが、技術向上と反比例して画像真贋の判読依頼は減ってきた。
これは、超常現象画像には改竄ありきと制作サイドが見做すようになったからである。
従前は番組改編の特番ピーク時には毎週の様に持ち込まれていたが最近では年2~3件。
おそらく数年後にはゼロになるだろう。
私が技術指導したスタッフ等がそろそろ一人前になるからだ。
超常現象実務者とは、BPO発足から番組適正化の過渡期に必要とされた職能である。
その期間は約20年程度であったが、今になってみると極めて僅かな期間だ。
廃れゆく職能であることに一抹の寂しさを感じずにはおれない。
しかし、鑑定人の片手間とはいえ、超常現象実務に携われたことは誇らしく思う。