【短いカーブと錯覚】
意外と知られていないが、曲線部の交角が小さいと錯覚が起きる。
曲線長が短かければハンドル操作が頻繁になるためドライバーは不快だ。
更に言えば、曲線長が短ければ実際の曲線より小さく見えるという錯覚が起きる。
走行時間6秒未満だとその錯覚が起きやすいとされている。
錯覚を起こさせない為には曲線部の走行時間が6秒以上であることが道路設計上の理想だ。
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/inter/keizai/gijyutu/pdf/road_design_j1_05_2.pdf
【事故現場の場合】
事故現場の曲線長は図測すると90~100m
時速54~60km/h以上の速度であれば曲線走行時間は6秒以内
そのため僅かな速度超過が錯覚を惹起させる危険がある。
私はこの道路で通過車両がどの程度の速度で走っているか知らない。
ただ、北海道で郊外の道路を運転した際に感じたことは結構速度頂芽が多い印象を受けた。
この事故現場は事故が頻発しているのであるが、この錯覚由来と強く推認される。
【何故こんな道路ができたのか】
比較的僅かな速度超過で錯覚を起こしてしまう道路が何故できたのか?
こう思われるのは当然であるが、こういった錯覚が生じることがわかったのは比較的新しい。
昭和45年に道路構造令が改正されたときである。
それまでは、エイヤこんなもんだろう・・・という考えで道路は作られていた。
昭和30年代に日清戦争の戦死者より多くの死者が出て慌てて作ったのが道路構造令である。
ところで、下掲の写真は昭和19年に米軍が撮影したものだ。
戦時中に敵対国から撮られたことには多少ハラが立つが、それは置いておこう。
この写真からわかることは、1944年に既に現在と同じ線形で道路が敷設されていた事実である。
つまり、事故現場道路は曲線走行時間が6秒以内だと錯覚が惹起される・・・・
という現在の道路設計の常識がない時代に敷設され未だに運用されていることとなる。
道路構造令の設計基準は新規に敷設される道路に適用されるものだ。
ちなみに、日本の道路の殆どは構造令施行前に敷設されている。
危険と知りつつ、騙し騙し運用しているのが実態だ。
特に北海道は、開拓の過程でがむしゃらに道路を繋いだ感がある。
しかし、一旦事故を起こせば道路が悪いという釈明なんか通用しない。
責任は全て錯覚したドライバーが追うことになる。
これだけは肝に銘じて欲しい。