本作品は、2000年製作のイギリス映画。
貧しい炭鉱町を舞台にした、殴り合うことが嫌いな心優しき少年の成長物語。
そのストーリーは以下の通り。
1984年、イギリス北部の炭鉱町。母親を亡くしたばかりの11歳のビリー少年は、祖母と炭鉱労働者の父と兄の4人で暮らしていた。
ビリーは厳格な父の命令でボクシングを習っていたが、ある日、練習場の隣にバレエ教室が移ってきた。
なんとなくレッスンに飛び入り参加してみたビリーだったが、その時味わった開放感が忘れられず、バレエに夢中になっていく。それ以来、家にはボクシングジムに通うふりをして、バレエ教室に通っていた。
そんなビリーに、教室の先生であるウィルキンソン夫人も特別な才能を見出していた。
その事実を知った父親は猛反対、ビリーのバレエ教室通いを禁止した。しかし、ウィルキンソン夫人は、父親に内緒でビリーにロイヤル・バレエ学校のオーデションを受けさせようと、無償でレッスンを開始する。
行き詰まる炭鉱ストに苛立つ兄と、行き過ぎて警察に捕まることを心配する父親。小さな炭鉱町で起こる出口の見えない出来事が家族をバラバラにしていく。
そんな時、ビリーが何かに怒りをぶつけるように踊っている姿を、父親が目撃する。初めて、息子の夢と才能を目の当たりにした父親は、バレエ学校の学費を捻出するため、ある決意を固めるのであったが・・・。
様々な感情をダンスで表現するビリーの演技が素晴らしい作品だが、素直に息子の夢を応援することがままならない炭鉱町で生きる父親の魂の物語でもある。評価は★★★★★