本作品は、1973年製作のスペイン映画。

作品が作られた時代背景を知ると、さらに面白く観られる。

そのストーリーは以下の通り。


ファインダーの向こう側-Bee


時は1940年、フランコ政権軍が人民戦線政府に勝利し、スペイン内戦が終結した直後である。
スペイン中部・カスティーリャ高原の小さな村に、6歳の内気なアナは、父フェルナンド、母テレサ、姉イザベルと暮らしていた。

高齢の父は、ミツバチの研究に没頭し、多くの時を書斎で過ごしている。
若い母は、いったい誰に宛てている手紙なのか、毎週のように駅に向かい、列車に投函している。
アナの一番の遊び相手は姉のイザベル。二人は仲良しだが、イザベルはアナをからかってばかりいる。


その村に移動映画のトラックがやってきて、「フランケンシュタイン」が上映される。
アナは、映画が怖いというよりも興味津々で、特にモンスターが少女に優しくするが、誤って死なせてしまうシーンに魅せられてしまう。

その理由を問うアナに、姉のイザベルは、「モンスターも少女も実は死んでいない。映画は全部作り物だから。モンスター精霊のようなものだから、一度友達になれば、いつどこにいても呼び出せる。そして、普段は、村外れの一軒家に隠れている」と説明した。


ある日、学校帰りにイザベルがアナを廃墟となった家畜小屋につれて行き、ここが精霊の家だと言う。
後日、ひとりで廃墟を訪れたアナは、精霊には会えなかったが、大きな足跡を見つけるのであった…。


アナの家族4名の感情的な分裂は、スペイン内戦によるスペインの分裂を象徴しており、廃墟の周りの荒涼とした風景はフランコ政権成立当初のスペインの孤立感を示している。また、アナは若い世代を、姉イザベルの嘘は金と権力に取り憑かれた国粋主義者を象徴している、と言われている。


フランコ政権(独裁政治)を批判する映画など作れない時代に製作された、国政に対する微妙な批判を匂わせた秀作。評価は★★★☆☆