恒例のご無沙汰です。今回のタイトルは、今日からの今週の予定です。


13日(水) 東大特進 11月特別講座第2講 御茶ノ水

14日(木) 東大特進 11月特別講座第2講 渋谷

15日(金) 公開授業 東進ハイスクール長野校

16日(土) ?

17日(日) 東大特進 2年生 11月特別講座 渋谷

18日(月) 吉祥寺で収録


 こんな感じです。土曜日に名古屋に戻るか、東京に戻るかは現在思案中です。それによって5連泊か3連泊かが決まります。


 さて、そのなかでこの秋激減した(笑)公開授業の貴重な1回が長野で行われます。懐かしいなあ、というのが本音。以前は8年間くらいですかね、毎週火曜日に長野に通っていたんですよ。


 長野新幹線が開通してからは随分便利になりましたが、それ以前は特急「あさま」で約3時間かかりましたから、結構大変でした。(翌日は静岡に移動でしたしね。)


 その特急「あさま」の最後の日に乗ったのも今ではいい思い出でです。今ほど「鉄ちゃん」が多くはなかった時代であっても、横川のスイッチバックを見ようと、ホームにあふれんばかりの人が訪れていました。その横川では、いつも釜めしではなく「玄米弁当」・500円也を買うのが恒例だったのですが、最後ということで、「全種類!」と言ったら、普段はないような松茸弁当まであって、結構高くなったことを覚えています。その日の昼、夜、そして翌朝まで(昔から、賞味期限などあまり気にしない方なので、お気になさらぬように)「おぎのや」尽くしとなりました。「おぎのや」の釜めしは、今でも物産展などで見かけますが、「玄米弁当」は見ませんねえ。それでも未練たらしく、いつも必ず探すんですよ。噛めば噛むほど深い味わいがあって、大げさではなく日本一の弁当だと思っていだけに、本当に残念です。文明の進歩によって失われたものの一つだと、今でも思っています。(噂によれば、まだ作っているという話も聞きましたが、どうなんでしょうね?)


 そして翌朝は、開通した新幹線「あさま」の始発から2番目の列車で東京に戻りました。(さすがに始発列車は、愛好の士によって、あっという間に買い占められてしまいましたから。笑)


 長野の思い出といえば何と言っても路地裏の八百屋さん、「新小松」の野菜。親切なオヤジさんといつも話し込んで、野菜についていろいろ教えて頂きました。そして、びっくりするほど安くて新鮮な野菜を、持ちきれないほど買い込んで帰るのが常でした。1週間の半分くらいはまかなえていたと思います。そんなことをしている講師は、他にはいませんでしたが、僕にとっては毎週とても楽しみなイベントでしたね。長野にしかないような野菜もたくさんあって、たとえば「錦糸瓜」に出会ったのも、このお店です。いつだったか、関西のお店で「錦糸瓜なんて珍しいですね」と言ったら、「よく知ってるねえ」とほめられたのは、「新小松」のおやじさんのおかげです。そういえば、信じられないほど立派な、天然物のシメジを大量に買い込んで冷蔵庫に入れておいたら、2日ほどたって見たこともない、真っ黒な虫が大量発生して冷蔵庫を占拠してしまったので(冷蔵庫の中が、メイとサツキが引っ越したばかりの時の天井裏のようになっていた、といえばイメージがわきやすいでしょうかね、そう、あんなふうにわいたんですよ 笑)、その駆除にひどく苦労したこともありました。「天然」とはそういうことまで含めてのことなんですよね。いい勉強になりました。そういうところに目をふさいで、「天然」がいいなんて都会の思い上がり以外の何物でもありません。


 また、長野の人は名産地だけあって、リンゴには大変なこだわりをお持ちです。その判定基準は、


「ボケているか否か」


 リンゴをかじった瞬間に地元の方の発した、「このリンゴはボケとる!」という言葉の意味が、最初はわかりませんでした。そもそも「リンゴが」という主語に対応して用いられる述語として、「ボケる」という動詞が実にナチュラルに使われたこと自体が、カルチャーショックでした。そこでお聞きしてみると、どうやら、歯ごたえがイマイチよくない、ということなのです。(逆に長野の方は、リンゴの評価として「ボケている」という動詞が他地域では用いられていないことを知って、これまたカルチャーショックを受けていました。しかし、「文化」とは常にそういうものです。)


 もともとリンゴには、たとえばジョナゴールドのような柔らかいものもありますが、何しろ長野は「フジ」王国です。シャキッ、とした歯ごたえのあるリンゴが主流であり、それは鮮度に比例するものでもあります。(これは重要なポイント。)したがって、長野の方はふだん非常に歯ごたえのあるリンゴを食べていて、それに対してのこだわりも強いことが「ボケとる!」という評言ににじみ出るという、極めて文化的な構造なのです。


 僕も今ではすっかり「フジ」派です。陽光、津軽など美味しいリンゴは多々ありますが、フジがいいですねえ。(ちなみに、アップルパイなら紅玉。これは譲れません。京都の「オー・グルニエ・ドール」の紅玉のアップルパイは、先月末に行ったときには売り切れでしたから、来週こそ、と思っています。ただ、リンゴの種類が変わってしまう可能性はあるんですよ。それが心配です。後、ブーダン・ノワールの付け合せのリンゴジャムも、やはり紅玉がベストではないかと。)


 ちょうどリンゴのおいしい季節ですもんね。「新小松」にも伺ってみようと思います。


 善光寺の戒壇めぐりを出口から入ってしまったなど(なんでそんなことになったのかいまだによくわかりません。そして、それがどんな事態を引き起こすか、経験された方なら、その重大さがお分かりになるはずです 笑)、長野の思い出は数多くあります。ですから再訪後にも、長野の話をアップしたいと思っています。(また空手形になるやもしれませんが。)