昭和エロ本描き文字コレクション(カストリ出版) | お散歩日記

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路地裏、バラック、長屋、昭和の香りがする飲食街、遊郭赤線跡地、廃墟、古い町並み、山奥・・・・そんな場所を訪れては下手糞な写真を撮っております。

新進気鋭の売春資料・エロス文献出版社カストリ出版より新刊本を拝受。







遠い昔の夏の夜。向かう行き先ゃバイパス沿いのエロ本自販機。周囲見渡しコイン入れ、GATAGOTOと闇夜切り裂くデカい音。目当てのブツを取り出して、チャリンコまたがり一目散。勉強机の前でZUKIZUKIと鼓動昂り開封するビニール袋・・・・・・。


カストリ出版の書籍は何れも齢を重ねるごとに忘れかけていたあの瞬間(とき)を、夏草の香りと栗の花のにほひと共に蘇らせてくれる言わば青春文庫。

此度の新刊本は勉強部屋の恋人、参考書の間に潜めて逢瀬を重ねた忍び愛、瞬きもせずに頁を捲り危険な遊戯に耽った昭和エロ本がオカズとなっている。



そのタイトルは「昭和エロ本描き文字コレクション」
一見すると洒落たアーティスティックな印象を受ける表紙。しかし少しだけ顔を覗かせる「パンティ」「美人妻」「女学生」のフレーズをご覧いただきたい。エロ本自販機にコインを入れた時と同様のエロリピドーを押し寄せる高波の如く痛感する旦那衆も多いことであろう。






「描き文字」つまりは嘗ての実話誌、大衆誌の見出しなどに大量に使用されていたハンドレタリング。「昭和エロ本描き文字コレクション」では、昭和一桁生まれの現役描き文字職人である橋本慎一氏による170点超のエロ本描き文字が収録されている。エロ本のみに焦点を当てたレタリング集は本邦初である。





エロ本の頁を捲る時、読者は独特な高揚感に包まれるものである。視覚は先鋭化され、目から入る情報は松果体を経由し身体を刺激する。悩ましいヌード嬢の肢体を更に立体的、より淫靡にする盛り立て役こそ即ちエロ本絵描き文字にほかならない。





下品でワイセツな文言の数々。低俗なフレーズに読者の劣情と催淫を呼び起こす言霊が宿っている。今宵は独りでこれらの文言を是非とも口に出して何度も読んで頂きたい。淫らな気持ちが昂って頂ければ幸甚である。下記は初版本に同封されているエロ本描き文字シール。






エロ本描き文字職人の橋本慎一氏は主として、昭和四十年代に新樹書房によって生み出されたエロ本「週刊漫画Q(略してマンキュー)」でお仕事をされていた。「マンキュー」は俗に土方雑誌と呼ばれ、肉体労働者諸君によって愛読されていたようだ。その所為か掲載されているエロ劇画には、土方に犯される学校帰りの女子大生、隣室の工員に卑猥ないたずらをされてしまう若奥様などのストーリー構成が多い。


藤木TDC氏曰く「エロ雑誌史上、もっとも狂った雑誌のひとつ・・・・・」「東スポですら洗練された紙面に思えてくる毒々しいセンスの表紙・・・・・」と謳う昭和最狂エロ本「漫画Q」。エロ本描き文字及び「マンキュー」に関心を覚えたのであれば、「あかまつ別冊戦後セクシー雑誌大全」も併読願いたい。「エロ本描き文字コレクション」と共に熟読すれば貴方はエロ本の「通」になれるであろう。











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下記は我が手元にある「週刊漫画Q(マンキュー)」ヨリ。原色のドギツイ昭和エロ本グラフティを少しばかりご堪能頂きたい。