少し前まで茉奈の変化に敏感に気が付いたのは
私だけだったのに、翔さんが彼女の変化に気が付いて
気にかけることに驚いた。
彼女が翔さんと話してるときの顔が優しくて
きれいなのは最近の事。
きっと2人はお互いを意識し始めているんだろう。
私だってこんなに彼女が気になるのに、翔さん相手だと
勝てる気が全くしない。
「茉奈?ここにいたの?ご飯行くよ?」
「和君お疲れ様。私ご飯はいいや」
「さっきのこと気にしてるんですか?
そんなの気にしても仕方ないでしょうよ?
貴女より前に入ってるのに間違った書類作る人も
いるんですから大丈夫ですよ。」
「でも・・・。大事な会議の資料だったんだよ?」
「でも、少し違ってただけで間に合ったんでしょう?
他の人の書類なんて翔さんどれだけ治してるのよ?
茉奈のなんて可愛いもんよ?」
「翔さんも忙しいし、できるだけ間違いたくなかった・・・」
「あなたは本当に・・・。いいから行きますよ?
翔さんにもあなた連れて行くように頼まれたんです」
「え?翔さんが?和君に?」
「そうよ?あなたそのまま食べずに戻るだろうから
私に連れ出してご飯食べて来てって。わかったなら行くよ」
私に彼女を託すのは、きっと翔さんのやさしさ。
あの人が連れて行けばこの人は一段と気にするだろう。
ほんとに二人それって、自分のことより人の事なんだから。