経営者として、およびコンサルタントとして数々の企業の再生に携わってきた経験を振り返ってみると、業績不振の会社には共通する3つの特徴があることに気がつく。

それは、

1.数字に弱い
2.会計に弱い
3.管理が甘い

こと。

■業績不振の会社の特徴その1.数字に弱い
業績不振の会社は数字に弱い。
「結構売れてます」「そんなに売れてなかったと思います」と抽象的な表現が横行し、面倒臭がって誰も数値の裏付けをとろうとしない。「経験」という言葉が怠惰の隠れ蓑に使われている。また、誰も打ち手の効果を検証しない。

■業績不振の会社の特徴その2.会計に弱い
業績不振の会社は管理会計にめっぽう弱い。
システムから出てくる数値は複雑怪奇。もしくは歯抜けでどの商品、どの顧客、どのお店が本当に儲かっているのかが瞬時に分からない。「そのコストには●●費が含まれていないので別途計算しないといけません」・・・

■業績不振の会社の特徴その3.管理が甘い
業績不振の会社は管理が甘い。
売上予算に対する達成率や営業の進捗をつぶさに把握し、プレッシャーをかけたりしない。もしくはプレッシャーはかけるが「何で売上下がっているんだ」「頑張れ」と気合いと根性論に終始。
月末や期末になって予算未達で慌てる。

当然の事であるが経営者の経営スキル、能力が低い。
事業のツボを分かっていないのでどこをおさえて、どう管理、強化すれば業績が上がるか、因果関係が分かっていない。
もしくは事業のツボは感覚で分かっているが、経営知識が低く管理会計や仕組みに落とせない。

いくら経営者に能力がなかろうが、それでも一時は波に乗って成長してしまうからある意味経営は面白い。
ただし、その成長は扱っていた商品やサービスがたまたま当たったか、業界全体がほうっておいても成長していたかのどちらか。環境がかわった瞬間に真っ逆さまに転落する。

鳴り物入りで成長し、上場を遂げたベンチャーが長続きしないのはそのため。
事業を0から立ち上げる「アントレプレナー」と「プロの経営者」は異なるスキルを要求されるのだが、その区別のついていない日本では成功者か失敗者かで一緒くたに語られる。

上記を徹底するには会社としての「仕組み」に落とさないといけない。
そしてその「仕組み」に沿って人と組織が動くように、細かい行動指標に落とし込む。
そしてその達成度合いをしつこく、徹底的にフォローする。

これが難しい。
単に管理指標として定めても徹底して言い続けないと行動として定着しない。
経営者が徹底して言い続けて、しつこくしつこく行動に落とし込むようにしていかないと…

コンサルタント時代も再生の実行まで手掛けていたので、分かっていたつもりだったが、当事者(経営者)になると"定着"の重要性と難しさを改めて思い知る。

でも近道はない。
たとえ子供でも納得、理解し、習慣として身体が勝手に動く、という状態まで持っていくように続けていかないといけないのだ。