新年一発目の投稿は仕事に関係のないことで。。笑

昨日(厳密には今日だけど)は深夜まで眠らず、サッカー観戦した人が多かったのではないか。
周知の通り、日本代表が宿敵オーストラリアを延長戦の末に1-0で下し、アジアカップ史上最多4度目の優勝を決めた。

南アフリカで行われたあの感動のワールドカップからわずか半年。
チームとしての成熟度を増すための準備期間もなく、またモチベーション維持も難しかったであろう中で、大会を通じてチームとして成長し、優勝を勝ち取ったザッケローニ監督、選手をはじめとする関係者の努力と能力、執念は称賛に値する。

それだけの偉業を成し遂げたことを評価しつつも、大会を通じて代表の試合を観ていて、不安に思ったことがある。

それは、Jリーグで活躍する選手が持つ能力とアジアクラス、ワールドクラスで通用する選手の能力との格差である。

例えばフォワードの前田遼一。
実は前田は私の母校(中高)のサッカー部の後輩。
彼は私の3年下なので、一緒にプレーしたことはなかったが、是非応援したい選手。

ただ、オーストラリア戦を見ている限り、ワールドカップ本戦の舞台で、前田がフォワードとして世界のディフェンダーと互角以上に渡り合い、活躍するのは難しい、と感じた。
もちろん、「今のままでは」という意味だ。

同じく決勝では骨折した香川の替わりに先発出場した藤本。
Jリーグベストイレブンだが、はっきり言ってオーストラリア戦では何もできなかった。
世界基準に照らし合わせれば、「中の下」ないしは「下の上」くらいのオーストラリアだが、そのオーストラリアからのプレッシャーの中で勝負できていない。
同じく本田拓也、伊野波など、やはり国内組はオーストラリアクラスの相手に対して、個人の選手として相手にプレッシャーを与えられるような存在にはなっていない。

決勝を見る限り、香川不在の影響は計り知れなかった。
1発、2発のパスと緩急をつけた動きであっという間に日本ゴール前に迫るオーストラリアに対し、決勝の日本は明らかに攻撃の選択肢が限られていた。

香川はワールドクラスのプレッシャーの中でも微動だにしない。
狭いエリアで後ろからパスを受けても、よどみのない動きで素早くターンし、相手ゴールを向いてプレーする。
また、フォワードとしても、相手ディフェンダーと正対しても、テクニックとスピードで相手を抜いてシュートの打てる数少ない選手だ。

これらの現象を整理すると、結局、Jリーグのレベルがまだまだ低いのである。
引き続き、Jリーグのレベルを底上げしていくと同時に、やはり、もっと鋭いプレッシャー、高いレベルの環境下にっ優秀かつ有望な選手を送りこんでいくしかない。

「たまたま香川のような選手が出た」という偶然に頼るのではなく、どうしたら彼のような選手を狙って輩出できるか、ということを考え、日本国内のキャリア、機会だけでなく、海外の環境を積極的に活用した選手育成・強化プログラムをより積極的に試行していく必要があるだろう。

上記で前田や藤本を例に挙げてJリーグのレベルの低さを嘆いたが、悲観しすぎることはない。
それは岡崎の存在。

彼は南アフリカのワールドカップでは、はっきり言って相手に対して何の脅威も与えられていなかった。
脅威とは「こいつにボールを持たせたらまずい!」という危機感である。

技術的にも、岡崎は(アジアでは通用しても)ワールドクラスでは明らかに通じない、という日本のフォワードが辿ってきた典型的な「内弁慶型」先週のように思えた。
ただ、ワールドカップから比べて、今回のアジアカップのプレーを見る限り、格段に成長している。
1次リーグ3戦目のサウジアラビア戦で見せたクイックターンからの得点などはその最たる例。

もちろん、サウジアラビアのモチベーションは低く、プレッシャーも弱かったので、あのプレーだけを見て「格段にレベルが上がった」と手放しで喜ぶことはできない。
事実、オーストラリア戦においても、相手ディフェンダーと1対1で相対した時に、個人の力、技術で突破し、局面を打開する場面はほとんど見られなかった。

ただ、後半、長友からのクロスに対して、相手ディフェンダーのマークを完全に振り切りダイビングヘッド、あわやゴールか、という場面を演出した(ゴールのわずか右に外れた)ことを見ても、オーストラリアにとって一瞬でも「嫌な選手」として映っていたことは評価に値する。(もちろん、あの場面で千載一遇のチャンスを決められてこそワールドクラスのフォワードともいえるので、そう考えると岡崎はまだまだそのレベルに程遠い、ともいえるが)

要は、先にあげた前田、藤本などの国内組も、今後のキャリア次第でワールドクラスの選手と拮抗するレベルまで引き上げることは可能だということだ。

確かに海外で成功するのは難しい。
過去日本代表に名を連ねた若手有望選手も海外移籍を機にその輝きを失っていった、または思ったほど伸びなかった、という例は枚挙にいとまがない。
小笠原、中田浩二、柳沢、宮本、川口等々。。

だが、中田英寿、中村俊輔、本田、香川など、生存競争に勝ち残り、欧州での評価を築いた(または築きつつある)先週の人数は徐々に増えてきている。
長谷部、内田や長友、森本もそうだ。
そして、細貝もドイツに渡り、更なるレベルアップを図ろうとしている。

今後、ザッケローニのチーム強化方針、戦術が浸透していく過程において、その理想とするサッカーをどこまで体現できるか、またワールドカップでベスト8、ベスト4という壁を突破していくためには、個々の選手の「個人の力」を劇的にレベルアップさせることが唯一の近道と言ってよいだろう。

かつてトルシエ監督の時には、組織の力でアジアカップを圧倒的な力の差で優勝した。
今後はワールドカップでベスト16、ベスト8以上は当たり前。アジアカップはいつも圧勝で優勝、というレベルを日本は目指さないといけないし、そのレベルを実現する潜在的な力が日本にはあると思う。

それを「夢」ではなく「目標」にするためにも、優秀な選手の海外移籍をどんどんと進めてもらいたい。
そして、数年先には、Jリーグの大半の選手は、一度は海外リーグを経験してからまたJリーグにカムバックする、という状態になっていることが望ましい。
安直に外国人選手を獲ってくるより、カタールのように海外の選手をオイルマネーにものを言わせて帰化させるより、その方法がJリーグ強化の一番の近道なのではないか。。

今後の日本代表に期待したい。