こんにちは。利用者Sです。

今日は「こころに残る言葉」について書こうとおもいます。


私が残っている最大の言葉は、亡き母の臨終1週間前に話した「ひとこと」です。

今から13年前に母は亡くなりました。

それまでの母は今の私と変わらないほどの人生波乱万丈な人生で、それでも勝気な人だった。病気もいっぱい患った。

最後、癌になりどんどんと弱っていく姿は忘れることも出来ません。
でも、いつも顔を見せに行くとベットに座り空を眺めていました。

毎回実家に帰るのに往復5時間でしたが、欠かすことができなかった。

そろそろ、覚悟をしなければならない時期になったとき、反面教師で本当は母が嫌いだったけども弱くなっていく呼吸のアラームを見ていて…

あんなに勝気で強かった姿が、こんなにも小さく言葉も交わせないことにとても、今まで避けてきた気持ちがこみあげて、とうとう初めて涙をこぼしてしまった。
病室にはたまたま私と母だけ。声も出さず涙していた時、母から言葉が出た。

『泣くな』

癌の術後も、ほとんど会話が出来なくて、父くらいにしか言葉を発しなかったのにこの言葉を掛けられたとき、母は悟っているんだと感じた。

この言葉を言われ、涙を拭いて母の顔を見た。ただ真っすぐに私を見ていた。

後にも先にも「泣くな」と言われたのはない。
この言葉が母の私にとって最後の言葉になった。


葬儀の時、泣くなと言われた言葉で私は泣くのではなく、笑みを送ることにした。
悲しみではなく、次の世界へ行く言葉として。


だから、今は母の言葉を理解した気持ちで生きている
私にとって『こころに残る言葉』だから。