漫才ギャング(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

漫才ギャング(ネタバレ)

漫才ギャング

三角絞めでつかまえて-漫才ギャング

2010/日本 上映時間137分
監督・原作・脚本:品川ヒロシ
出演:佐藤隆太、上地雄輔、石原さとみ
(あらすじ)
コンビ結成10年目を迎える売れない漫才コンビでボケとネタ作りを担当する飛夫(佐藤隆太)は、相方から解散を告げられる。ヤケ酒を飲みトラブルに巻き込まれ留置場に入った彼は、そこで不良の龍平(上地雄輔)に出会う。龍平と少しずつ会話する中で、彼のツッコミの才能に気付いた飛夫がコンビ結成を申し込むと、意外にも龍平は承諾する。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




35点


※今回の記事は、品川ヒロシ監督の映画が好きな人は不快になる怖れがあるので、読まない方が良いと思われます。

僕は品川ヒロシ監督の映画「ドロップ」が大嫌いでして。長くなるので詳しくは書きませんが、暴力描写とその精神性がとにかく不快すぎて吐き気がして、酔った勢いでタマフルに泣きながらメールを送ったという実に痛い記憶があったりしまして…(遠い目)。2009年のワースト3に入る作品だったりします。

ただ、別に僕は品川ヒロシさん自体が嫌いなワケではないし、予告編を観る限り、積極的に観に行くつもりはなかったけど、「それなりには楽しそうだな~」と思ってたんですよ。で、今回、シネマハスラーの課題映画になったので、角川シネマ新宿に行って来まして。ううむ、あくまで僕の感想ですけど、ところどころで“ノイズ”を感じる映画でした…。


展示は結構派手めでした。
三角絞めでつかまえて-展示

募金箱の横には直筆メッセージが!
三角絞めでつかまえて-募金

グッズもいろいろ売られてました~(違う映画のグッズも混ざってます)。
三角絞めでつかまえて-グッズ販売


オープニング、漫才とケンカがシンクロする構成は「あら、悪くないじゃないの ヘ(゚∀゚*)ノ」なんて思ったんですけど、それが結構長くて、さらに成宮寛貴さん演じる先輩芸人(信濃川ヒロシ=品川祐ってことですよね?)に挨拶しないで嫌味を言われるシーンや、恋人の由美子(石原さとみ)と別れるシーンの挿入の仕方とか雑だったりするから、観ているうちに少しずつ微妙に感じてきちゃったというか。で、僕的にはこの映画全体も、「おおっ! ヽ(゚◇゚ )ノ」と思うと、すぐ「あら… (´・ω・`)」となってしまう感じだった…って、この表現、分かりづらいですかね。

最後まで観てから振り返ると、“それなりにまとまってる”とは思うんですよ。特にストーリーに関しては「留置所で笑った奴がスカル・キッズのボスの佐山(金子ノブアキ)だった」って展開には「あら、そうだったの! ∑(゚Д゚)」とビックリしたし。いろいろな伏線もキッチリ回収していたし、「人は変われる」ってテーマ自体もしっかり描いてたのではないでしょうか。

それに、観客を笑わせようとするシーンは「ドロップ」より全然面白くて、普通に笑っちゃうところも多くて。僕はお笑いに詳しいワケじゃないけど、この映画の重要な要素である“漫才シーン”は「本職だな~」って感心したり(上から目線で)。留置場で飛夫が龍平を勧誘するシーンは、「VISUALBUM」を観た人なら誰でも「いきなりダイヤモンド」を思い出すワケですが、あのスゴさには敵わないとしても、予想してたよりは面白かったです(途中、飛夫がカメラ目線になった時は ( ゚д゚ ) コッチミンナって思いましたが)。


「いきなりダイヤモンド」はこんな感じ↓ 「VISUALBUM」はマジでオススメですぞ。



ただ、基本的にはちょっと合わないムードが流れているというか、楽しく観ていても、ふと「えっ!? ∑(゚Д゚;)」と違和感を感じて立ち止まっちゃうことが多かったというか…。特に由美子絡みのシーン、石原さとみさん自身は超可愛かったし、どうしてもと言うのならば僕も妻に黙って一緒に一夜を過ごす覚悟はあるくらい好きですけれども(勝手な申し出)、彼女があまりに都合の良い女性キャラクターすぎて全然乗れなかったです。

その他、「『カツアゲや弱い者イジメはしない』というエクスキューズ」とか「『ああいう奴は元いじめられっ子で~』みたいな台詞を良心的な人物に言わせる“心のなさ”」とか(一応、その後、ガンオタ(秋山竜次)に活躍の場を与えてたけどさぁ…)、「城川(新井浩文)に岩崎(大吾)が“刃向かってます”的描写を連発する面倒臭さ」とか、「成宮さん演じる品川さんが飛夫と和解して立ち去る時の表情」とか、なんか引っ掛かってしまう点が多いというか。

お笑い学校に入学した龍平が飛夫に敬語を使うシーンも、「龍平は夢のために大人になった→成長した」ってことなんでしょうけど、上手く言えないけど、なんか“芸人さんの世界に丸め込まれた感じ”がしちゃって、僕は不快感が先立っちゃったんですよね…。あと、「龍平のパートナーは佐山」ってことなんでしょうけど、それをエンドロール後まで引っ張るのも心からどうでも良いと思ったりしました。

つーか、そもそも上映時間が長すぎ。「元カノと別れた→相方と別れた」とか、一応、すべての出来事が絡んではいるから、多くのエピソードが不要とは言い切れないんだけど、もう少し短くできなかったかなぁって。彼女と手をつないで帰るくだりなんて、確かにあそこは「最近の飛夫、変わったね」ってことで必要なのかもしれないけどさぁ…。「スカル・キッズの奴らに襲われるのでは?」なんて思って観てたら、単にデレデレしてるのを見せ付けられるだけで終わって、かなりビックリしましたよ。

ちなみにアクションシーンなんですけど、それなりには良く見えるんですね。ただ、ガイ・リッチー風味というか、ザック・スナイダーっぽいのは良いけど、シーンとシーンが上手く繋がってないから「1対多をどう切り抜けていて、どう切り抜けられなかったのか」がよく分からないしさ。結局、“ノリ”だけに見えちゃいまして…。しかも、龍平は武道の技も使ったりしてて、その戦い振りを見れば見るほど、「アナタ、芸人より格闘家に向いてますよ」と思ったりしたけど、それはどうでも良い話ですな┐(´ー`)┌ヤレヤレ

って、やたら文句が多くなっちゃいましたけど、所詮は「ツーリスト」に56点を付けるようなブログの言うことですよ。さっき書いたようにお笑いシーンは結構笑ったりもしたワケで、雑音を感じつつもそれなりに面白かったのも確かだし、90分くらいにまとまってたら僕的にはかなり良い作品になった気がします。基本的にはちゃんと映画っぽかったし、役者さんたちもそんなに悪くなかったし、劇場に来ていた大量の女子たちは非常に満足げだったということで、興味がある人は観に行っても良いと思います、たぶん。

宇多丸師匠が実に容赦ない批評をしているので、かなりタメにはなるんですが、「漫才ギャング」が好きな人は聴かない方がいいんじゃないかな…。




原作小説。たぶん読むことはないんだろうなぁ。
三角絞めでつかまえて-原作本
漫才ギャング


品川ヒロシ監督作。大嫌いな映画です。
三角絞めでつかまえて-ドロップDVD
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これは一家に一個あって良いと思う。
三角絞めでつかまえて-ヴィジュアルバム
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