先頃、ボードゲーム界隈で“長考問題”についての議論がいささか活発になった。


 このとき自分が考えていたことを備忘録的に書き留めておきたい。




 ボードゲームを何人かでプレイしているとする。

 プレイヤーは手番時にA、B、C、D、Eの5つの中からアクションを1つ選択するとする。

 このとき手番が廻ってきたときにプレイヤーは如何に意思決定を行っているか、いくつかのケースを設けて考えてみる。



 【ケース①】

 A>>>>>B=C=D=E

 Aが圧倒的に優先したい選択肢でその他4つは全く可能性がない、という状態を不等号を使って表したもの。この場合、手番開始と同時にAを選択し、プレイヤーの手番はすぐに終了することが多い。


 【ケース②】

 A>>>B>C=D=E

 ①よりも若干Bに可能性が出てきた。しかしまだ第一候補のAとの差は大きく問題にすることなくAを選択して手番を終えればよい。しかし慎重にいきたい人はBについても考えをめぐらすはずだ。最初の長考タイプと思われる。


 【ケース③】

 A>B>>C>D=E

 このあたりから問題になってくる。Bの可能性(そしてCも)について充分に考える時間が欲しいプレイヤーもいるはずだ(私はそう。)ここで即決Aで決定できる人もいれば長考に入るタイプもいる。


 【ケース④】

 A=B>>>C=D=E

 この場合AにするかBにするか悩むのが当然と思われる。そしてその場合、手番時にはそれに見合った時間を消費することになる。ただ直感的にAかBどちらかを即決で選択するプレイヤーもいる。なぜならAもBも期待値は同じだから。それはそれで正しい判断とも思う。


 【ケース⑤】

 A=B=C>D>E

 おそらく最も悩ましいのがこの状態ではなかろうか。A、B、C3つの期待値が同値、さらにD(そしてEにも)にも充分考慮の余地がある。長考するタイプの人はこのときはウンウン唸って最善手を模索するはずだ(時には髪の毛をかき毟りながら、、、)。がこの状態でも即決で手番を終了してしまうプレイヤーがいるのもまた事実。期待値が同値ならその時の直感を信じて意思判断してしまうわけだ。


 【ケース⑥】

 A=B=C=D=E

 全てが同値で並んでいる場合。手番開始時で全くのノーアイデア、頭が真っ白の状態ということもある。さすがにこの時にはいくらか考えてみて最初に浮かんだ手で即決するか、その手を保留して他の選択肢も考えてみるか、だろうか。前者が即決タイプ、後者が長考タイプ。



 思うに即決タイプと長考タイプでは③あたりから分かれてくるのではないかと考える。


 私は③の場合、即決できずにBの可能性がないか検討してみるタイプなのだが今までの経験からいえば結局Aを選択していることが多い気がする。ということは最初からAを即決していればいいわけで、純粋に時間を浪費してしまったとも言える。

 長考タイプの人は手番開始時に微かな差でもいいので第一候補がないか考えてみる。そして熟考の末、結局その第一候補を選んでいなかったか、セッション終了後でも検討してみてはいかがでしょう。もしかしたら大幅に手番時の時間消費を削減できるかもしれない。いやその手が結局敗着だったということは問題にはせずに。


 それから私の経験でいえば即決タイプも長考タイプも勝率は同じくらいだと思う。そして即決タイプが頭の回転が速くて、長考タイプは遅いのかと言えばそんなことは全くなくて、単に性格の問題だと思っていることも付言しておきたい。(あと長考タイプには単に考えるのが好き、ジレンマを楽しみたいというプレイヤーも少なくないでしょうねw)