11日の祝日に自宅ゲーム会を開催しました。


 心配していた雪も降らず朝から快晴の一日。


 午前中3名で1ゲーム、午後から4人で4タイトル、合計5タイトルを消化しました。


晴耕雨読

・“ルナ”(ハルゲームズ/Z-MAN)

 【デザイナー】

 ・ステファン・フェルト


 【仕様】

 ・1~4人、25分×プレイヤー数、12歳~。


 【システム・概要】

 ・“月の巫女”に次代の後継者として選ばれるために神殿にて名声を競い合う。


 ・中央に神殿、その周りを囲むように7つの島があり、個々のアクションを行う。


 ・ドイツゲームらしく初期配置にランダム性があるが一旦ゲームが始まると一切ランダム性のない世界に。したがって運の要素は皆無。


 【コンポーネント】

 ・多数のタイル、木製コマで充実している。カード類はない。


 ・中央の神殿ボードがカッチリとはまる事に何気に好感がもてる。


 【今セッションについて】

 ・3人、全員初プレイ。初心者用のデフォルトセッティング採用。


 ・積極的に神殿内部に修練士(いわゆる“ワーカー”)を送り込み、得点化していったプレイヤーは中盤からワーカー不足に悩まされていた。


 ・またあるプレイヤーは神殿には注力せず、島に聖堂を立てていく方針をとった。評議会でもコマを進めることのできたこのプレイヤーが結局勝利した。


 ・弾き出されるのを嫌い、神殿タイル上に修練士が留まり、硬直する場面も。


 【個人的評価・所感】

 ・8点(10点満点)。


 ・ルールを読んだ段階では、その斬新さからか、あるいはプレイヤーアクションの多さからか、いまひとつ全体像が浮かんでこず、あまり期待できずにいたのだが、プレイしてみて納得、流石はフェルトと思わせる面白さで非常に満足できた。


 ・ワーカープレイスメントから一歩抜け出した独創的なシステムは秀逸。巷では“ワーカームーブメント”とも呼ばれているらしいが、なるほど確かに言いえて妙だと思う。また神殿内部の陣取りをはじめ、インタラクションも申し分ない。


 ・開発には充分な時間がかけられたはず。バランスは素晴しく、また完成度は高い。


 ・多作にも関わらず、しっかり独創的で斬新なタイトルを発表してくるフェルト。“マカオ”が個人的にはイマイチだったが本作は期待に応えてくれた。


 ・初めてのプレイでは勝ち筋が見えず、またモヤモヤとした感覚に好き嫌いが分かれる気もするが、システムさえ理解できればジレンマに身悶えつつ、戦略の考察に熱中できるのではないだろうか。


 ・まずは7つの島に対応する各種恩恵タイルの理解がシステムの理解への第一歩になると思われる。


 ・周りの島々での各種アクション、そして満を持しての神殿への突入という二段階の流れは好きな人には大きくアピールしてくるであろう魅力的なシステムだと思う。


 ・フェルトのタイトルなら大好きな“ドラゴンイヤー”には及ばずながらそれに近い位置にはいる印象。ただ今後のプレイで評価は上がる可能性もあれば下がる可能性もある。


晴耕雨読

・“キーウェスト”(シュピーレ・アイディー)

 【デザイナー】

 ・マーティン・シュリーゲル

 

 【仕様】

 ・3~5人、60分、12歳~。


 【システム・概要】

 ・フロリダ半島の先端、キーウェスト諸島にて農園やホテルの経営、葉巻の生産と出荷、そして宝探しのダイビング等々を通して富を蓄え、名声を得る。


 ・タイルの獲得は競り。最高ビッド者が最低ビッド者にその最低ビッド値を支払うシステム。


 ・一種のワーカープレイスメントだが早い者勝ちではなく、自分が一度選択したアクションは選びにくいシステム。


 ・宝探しはタイルめくり。またホテルや葉巻の生産においてダイスロールを採用しており運の要素も少なくない。


 【コンポーネント】

 ・タイルの類が多い。ボードのイラスト、配置は機能的で、また非常によく描かれており、南の島の雰囲気がしっかり楽しめる。


 【今セッションについて】

 ・4人、全員初プレイ。


 ・第1ラウンドからダイビング能力強化の方針をとったあるプレイヤーだが収容力強化のタイル獲得の競りで勝てず、農園経営に方針転換を余儀なくされていた。


 ・勝者は同点で2人。私は2D6で1ゾロだったり1、3だったりとダイス運には恵まれず。


 【個人的評価・所感】

 ・6点(10点満点)。


 ・システムはしっかりしているし、雰囲気は非常に良くて、おそらく気に入る人も少なくないはず。


 ・ただ個人的にはダイスロールやタイルのめくりなど運の要素がやや強めなのが気になったのと、農園やホテルの経営、橋の建設など多彩な要素をうまくコンパクトにまとめてあるのはいいが、そのいずれもが小粒で、プレイヤーに戦略としての手段として提供されていない印象があった。


 ・競技性よりも雰囲気を楽しむことに喜びを感じられるプレイヤーには受け入れられるはず。


 ・ゲームとしての出来は良いので嫌いではないけれど、プレイヤーの選択が勝敗に反映されるタイトルの方が個人的には好き。


晴耕雨読

・“ジャストフォーファンカラーズ”(コスモス)

 【デザイナー】

 ・ユルゲン・グルノウ


 【仕様】

 ・2~4人、20分、8歳~。


 【システム・概要】

 ・タテ、ヨコ、ナナメでの四目ならべ。


 ・プレイしたカードに対応する色のマスに自分の石を置いていく。他者の石に被せることも可能だが2つ目はカードが2枚、3つ目はカードが3枚…、とコストが増加していく。


 【コンポーネント】

 ・カラフルなボード、カード、コマで非常に明るい雰囲気。


 【今セッションについて】

 ・やや重めのゲームの合間に息抜きとして立卓したところ好評だった。


 ・各手番ごとに今どこがリーチになっているか全員で確認しつつプレイした。意外なところがリーチ状態であることが少なくなかった。


 【個人的評価・所感】

 ・5点(10点満点)。


 ・全くもって悪くないゲームで、家族で卓を囲むようなケースが多いのであればヘビーローテイションになってもおかしくはないはず。


 ・ゲーマー同士で濃密な競技性の高いタイトルを立てることが多いのであれば(おそらく私はそうw)、ちょっとした息抜きに活用されるのがいいのではないだろうか。


 ・結局は手札に左右されてしまうのであくまでもライトなファミリーゲーム。アブストラクトでは断じてないのがミソ。軽い気持ちで楽しめる佳作。


晴耕雨読

・“発明の次代”(クワインドゲームズ)

 【デザイナー】

 ・アンソニー・ダアメン


 【仕様】

 ・3~5人、90分、12歳~。


 【システム・概要】

 ・リソースマネジメントとワーカープレイスメント。


 ・“発明”することでその商品が市場に出回る。その商品を“生産”することで生産者にも発明者にも利益が与えられる。


 ・商品は“模造”することも可能でこの場合発明者には利益がもたらされない。発明者は“特許”を申請することで模造から発明品を護ることが出来る。


 【コンポーネント】

 ・木製コマが多数。カードはカタン資源サイズ。


 ・視認性が劣悪。コマの色の違いがまず分かりにくい。またカードのアイコンも大事な情報の割には小さすぎる。プレイ中何度もカードを覗きこまなければならなかった。


 【今セッションについて】

 ・4人、全員初プレイ。


 ・私は4番手。先手プレイヤーがリソース獲得、工場建設、一斉に稼動して大量のリソース獲得などととやっている間、ちまちまと歯車1つを入手して安い発明をするしかなかった。


 ・工場を4軒建てて歯車生産体制の確立できたプレイヤーが有利にゲームを展開したが、結局、勝者は1番手プレイヤー。終了時のボーナスを大量に獲得しての逆転勝利。


 【個人的評価・所感】

 ・7点(10点満点)。


 ・“発明”や“特許”など他に類を見ない斬新なシステムには非常に好感が持てる。


 ・しかし視認性の悪さは致命的レベル。ちょっとした配慮で避けえたはずで、素晴しいゲームデザインを存分に楽しむことの障害になってしまっているのが残念。


 ・ワンプレイで終わらせるのは勿体ない良いタイトルで、研究しがいはある。後手番は不利な気がするが今後の研究で対策ができるかもしれない。


晴耕雨読

・“ナビゲイター”(PD出版)


 ※(詳細については以前のエントリーを参照のこと。)


 【今セッションについて】

 ・4人プレイ。2人がワンプレイ、2人が初めて。


 ・4人中2人が航海プレイ。もう1人が工場、私はポルトガルにほとんどひきこもり(笑)、教会プレイに。


 ・資金的に厳しいなかで無理に教会を買占めたり、タイミングを見計らってフェイズ2に移行させたりしてワーカーの供給を制限したつもりだったが失敗。みなさん労働者には苦労していなかった模様。おかしいな、どこでそうなったw


 ・とはいえ恩恵トークンも狙っていたものは入手できたし半ば勝利も信じていたが惜敗。おいしい香辛料の植民地が野放し状態でそれを一気にもっていったプレイヤーが勝利に。固執はいけない、盤面に対応した柔軟な方針が大事なんだと痛感。


 【個人的評価・所感】

 ・8点(10点満点)。


 ・やはり面白い。ゲルツのロンデルシステムのひとつの到達点だろう。


 ・またルールが比較的シンプルながら戦略は多彩で非常に研究しがいがあり、これからもあちらこちらでプレイされ続けるに違いない。


 ・他者の同行に最大の注意をはらいつつ、勝ち筋を求めて熟考する喜びはボードゲームのもつ最大の魅力のひとつではないだろうか。



 以上にてこの日の自宅ゲーム会も無事終了。たっぷりとボードゲームを堪能できた一日でした。


 参加していただいたみなさん、ありがとうございました。また宜しくお願い致します。