さて、次はC君の認知分析です。今日は、息子の認知状態を通じて、子どもの頃の認知に関する成長についてお話をしたいと思います。


(この記事は、こちらを筆頭 とする連載ものです。)

【視知覚認知テストからみる発達障害のこだわりの実例  目次】

(1)出題

(2)正解ご披露!

(3)Aさんの認知(発達障害のこだわりの原因)

(4)C君の認知(認知のゆがみの実情)

(5) C君の認知(10歳頃の成長の不思議)

(6) Bさんの認知(凡化とは異なる精査の仕方)

(7) Bさんの認知(成長し続ける認知能力)



C君は、現在8歳の「特定不能の高機能広汎性発達障害」児である、うちの息子です。


彼の回答のおさらいです。


息子「①なにか、見せてる」(たぶん、女の子のことを語っていると思われます)
息子「②あっ、クリスマス」(赤い靴下を見て気付いたと思われる)

そして、数秒のち・・・・

息子「③ほらね、これ。(といいながら、画面中央のクリスマスリースを指差して)やっぱり、クリスマスや」

さらに、数秒の沈黙ののち・・・

私 「他になにかない?」
息子「ない・・・・・」

所要時間:30秒程度


特徴を述べるなら、クリスマスである事は認知しているものの、パーツから連想しているに過ぎません。女の子についても、動作は認識しているようですが、その表情や行動の持つ意味に意識は向かっていない様子です。親の存在にも気がつかず、この絵の持つストーリーにまでは、思考はたどり着いていない模様です。(実際、たったこの1問では学術的には判断しきれないのでしょうね。実際には入力は出来ていて、出力がないだけの可能性もないとはいえませんが、ここでは次に話を進めてまいります。)


しかし、3つの事は出来ているといえます。

【A】まず絵の中心に意識が行き、

   それが何かを認識している。・・・①

【B】その次に周囲を見回し、状況判断をしている。・・・②

【C】更に、周囲の精査を続け、

  【B】を裏付けるパーツを見つけ出し、

  認知を確信している。・・・③


ぼくは、彼がこの回答をした時、お恥ずかしいのですが、目頭があつくなってしまいました。嬉しかったのです。彼が5歳の頃、同様のテストを保育園でやった事があるのですが、その頃から、確実な成長があったからです。


もし、5歳の頃の彼なら、たぶんこんな回答になっていたでしょう。


出題者「ハイ、テストを始めますね!

     これは、何の絵でしょう?」

息子 「あっ!ゆきだるまやぁ!かわいいなぁ!」

    「お菓子!ほしいなぁ!」

    「クレヨン!きれいやなぁ!」




まさに、とらわれです!

当時の彼の認知は、その時捉えてしまったパーツに釘付けになり、中々全体を見回すという事に行き着きませんでした。気になったものに気を散らし、課題に集中して取り組む事が出来なかったのです。(この状況は、単に幼児性の落ち着きのなさ・幼さではありません。息子は、6歳児に医師に「発達障害」と診断されたときも、この認知特性の強さが、診断のひとつの基準になったと聞いています。)


それを考えると、今回の結果は・・・・。


ひょっとしたら、息子の回答は8歳の子にしては、まだ幼いものかも知れません。しかし、こうした小さな成長にも気持ちを動かされる・・・ぼくは、そんなことも、楽しんで、彼との暮らしを続けています。それに、これから彼は、発達障害の多くの方が、それまでの認知のゆがみを大きく改善したといわれる10歳頃を、まもなく迎えます。そのあと、どんな彼が現れてくるのか、今から楽しみだったりもします。


もし、定型発達の子だけを育てていたら、

こんな小さな事は感じるセンサーもなかったでしょうし、

こんな感激をする事もなかったでしょう

ぼくは、自分にこうした感受性を育ててくれた、

息子に感謝をしています。


さて、話を戻します。発達障害の認知特性や認知のゆがみですが、それは一生消えてなくなる事はないそうです。しかし、このように一歩一歩ちいさな歩みではあっても、成長し改善されていくのだと思います。そして、これが成人の当事者さんになると、さらに思考を駆使して、経験を積み重ねて、困難を克服していかれるようです。


発達障害は、たしかに先天的な脳の機能障害ですが、

今のぼくは、「乗り越えていける可能性があるのだ!」と考えています。


妻や兄弟を含めた家族全員で、

彼とのかかわりを大切にし、

発達障害を持つ長男に

肯定的な体験を沢山積んでもらうことで、

彼が二次障害にならずに、

成長していけるようにしていきたいと思っています。


さて、今日はここまでとします。

次回は、発達障害児に10歳頃に訪れる、劇的な認知成長について考えてみたいと思います。



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