先日、藤井聡さんが公開討論の断りの表明について、
「橋下市長の公開討論の申し入れを脅しと解釈するのはオカシイ!!」
というコメントをする人が結構いるみたいなので、今回は、この橋下の公開討論の申し入れが一種の脅しであり言論弾圧であるという根拠を私の方からも一つ提示したいと思います。


当方の記事発表後から、今日までの橋下市長によるツイッターや記者会見での私に対する執拗な罵倒、例えば、「バカですから」や「チンピラ」等は異常としか言いようがありません。とても自治体の首長の振る舞いとは思えません。
つまりこれは「討論」でなく、「ケンカ」の申し入れなのです。
しかも私は、この申し入れを一種の脅迫と解釈しています。「公開討論という名の『ケンカ』を売られたり、ツイッターや記者会見などで罵倒されたりするのが嫌なら大阪都構想について発言するな!」と脅す、そんな手口なのです。

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橋下は、過去に『図説・心理戦で絶対に負けない交渉術』という本の中で、自身の用いる論争術、交渉術について解説しています。そこで、強調されているテクニックの一つが「仮装の利益」というものです。

 交渉において相手を思い通りに動かし、説得していくには、はっきり言って三通りの方法しかない。
 “合法的に脅す”“利益を与える”“ひたすらお願いする”の三つだ。そのなかで、最も有効なのは“利益を与える”ことである。
 この場合の利益には二通りある。一つは文字通り相手方の利益。もう一つは、実際には存在しないレトリックによる利益だ。不利益の回避によって感じさせる“実在しない利益”とも言える(6頁)。


 今回の都構想の議論では、この橋下の「三通りの方法を如何に用いるか?」という点をよくよく注意深く観察する必要があるでしょう。つまり、まず第一に、藤井聡さんのような反対者には「合法的に脅し」有権者には「ひたすらお願いし」最後に、大阪都構想に賛成する学者や論客には、「彼は実践的な思考能力を持った有能な知識人だ!!」という評価を与えることで煽て、さらに、自身のシンパを相手の見方に付けさせてやるというカタチで「利益を与える」でしょう。

 タネ明しをしてしまえば、これほど単純な方法もないですが、しかし、それだけに有効です。安倍政権が多くの有能であったハズの評論家や知識人を懐柔し、手玉に取った方法も(ここまであからさまでないにしろ)非常に良く似た手法です。つまり自身の意見に賛同する人間には有形無形の利益を与え、自分の敵対者には徹底的に圧力をかける。有権者には、自分を支持すれば何か利益があるかのように錯覚させる(ちなみに、ナチスのヒトラーが独裁的な権力を握る前も同様の手法を取ったということも付け加えておきます)。

 現在、橋下は政治的には窮地に立たされている状況ではありますが、彼の用いている政治的、心理的テクニックはシンプルでありながら非常に強力です。おそらくたとえ、そのマジックのタネが明かされたとしても、多くの人間(特に評論家連中)は、(たとえそれを意識しているか否かに関わらず)自らの利益のためにも橋下を支持するでしょう。

 大阪市民の理性的な判断能力を信じたいとは思いますが、同時に、橋下の政策に反対する論客や知識人は、橋下が用いている手法は、その政策が正しいか否かに関わらず、非常に強力に作用する可能性があるということを十分に理解し、ただ、正論を述べて相手の主張を論破するだけでは全く不十分であるということをよくよく理解すべきでしょう。





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